
皆さんは「速い電車」といえばどんな電車を想像しますか?やはり新幹線でしょうか?それとも最新のリニアモーターカーでしょうか?…実は在来線も負けてはいません。今回は新幹線顔負け…は言い過ぎかもしれませんが、在来線ではトップクラスの速さを誇る、特急「はくたか」のお話です。
写真の特急「はくたか」は新潟県の越後湯沢駅と石川県の金沢駅・和倉温泉(わくらおんせん)駅・福井県の福井駅を結ぶ特急電車です。越後湯沢駅~六日町(むいかまち)駅はJR東日本の上越線、六日町駅~犀潟(さいがた)駅はほくほく線、犀潟駅~直江津(なおえつ)駅は再びJR東日本の信越線、直江津駅~金沢駅・和倉温泉駅・福井駅はJR西日本の北陸本線・七尾線と、1つの電車が3つの会社をまたいで運行されています。
ほくほく線は「北越急行」が所有する第三セクターの鉄道路線です。同線が誕生したのは1997年3月と比較的新しいのですが、工事自体は1968年に開始されています。工事開始から開通まで実に30年近くかかっていますが、これには理由があります。
ほくほく線は元々、8月2日ののりものマメ知識でご紹介した「記念すべき1番列車は「1」がいっぱい-井原鉄道」でも登場した日本鉄道建設公団(鉄道公団)が「国鉄北越北線(ほくえつほくせん)」として工事を着工した路線です。雪深いこの土地は、冬場になると道路が雪で埋もれてしまい自動車やバスの運行に支障をきたしていました。そのため鉄道の開通はかねてからの願いでした。そして地元住民の強い要望により1968年より北越北線の建設が始まります。同線は長大トンネルで直線的に結ぶルートで計画されました。しかし地質に恵まれなかったため難工事となり、工期が長くかかりました。さらに日本国有鉄道経営再建促進特別措置法(国鉄再建法)により、規定の需要が見込めない新線の建設は凍結される事になり、1980年には同線も凍結されてしまいます。しかし、この時点で概ね6割近くの工事が完了していたこともあり、1984年に第三セクターの「北越急行」が設立され、翌年の1985年より工事は再開しました。
さて、ほくほく線の大きな特徴はその線形です。前述のようにトンネルで山を貫く路線ですので、基本的にカーブが少なく高速運転が可能です。またトンネル以外のほとんどの区間が高架で、踏切は2箇所しかありません(JR線との接続駅である六日町駅と犀潟駅付近にのみ存在します)。この線形を利用し、当時、建設の目途が立っていなかった北陸新幹線の代替ルートとして、1989年に高規格化が決定しました。これにより、非電化の計画を全線電化に改め、最高速度160km/hを想定した線路や信号施設で建設されました。1997年3月に公募で決められた「ほくほく線」という線名で開業した当初から、在来線では最も高規格の設備を備えていました。しかし、前例のない在来線における160km/h運転の安全性確認のため慎重に準備が行われ、開業時の最高速度は140km/hに抑えられていました。そして翌1998年には最高速度を150km/hに向上させ、さらに2002年には目標の160km/h運転を開始しており、在来線では最高速となっています。
実は2010年7月に開業した「成田スカイアクセス」を走行する新形「スカイライナー」も最高速度は160km/hです。「はくたか」は在来線唯一の160km/h運転ではなくなりましたが、在来線最高速であることは変わりません。
余談ですが、のりものマメ知識2010年2月5日の「京成電鉄を快走!「スカイライナー」と仲間たち」をお送りした頃は、まだAE100形が「スカイライナー」として走っていたのですね。現在、AE100形は「スカイライナー」の役を新形の2代目AE形に明け渡し、「シティライナー」として第二の人生を歩んでいます。
…話がそれました。
現在、特急「はくたか」として運行される電車は、北越急行所属の681系2000番台と683系8000番台、JR西日本所属の681系0番台です。いずれの系式も160km/時の高速運転が可能な系式で、ほくほく線内を160km/時で駆け抜けています。なお、160km/時で運転できるのはほくほく線内のみで、それ以外の区間では最高速度は130km/時に制限されます。
北越急行所属の681系2000番台と683系8000番台の車体色は、ホワイトをベースにさわやかなレッドの帯をまとったデザインです。一方、JR西日本所属の681系0番台は、同じくホワイトがベースながらも、青い帯がアクセントとなり、両者の車両の雰囲気は全く異なります。それぞれに6両の基本編成と3両の付属編成があり、運行は6両(基本編成単独)と9両(基本編成+付属編成)の2つがあります。2010年8月10日にお送りしたのりものマメ知識の「カラフルスタイリッシュ-特急「フレッシュひたち」」と同様にパターンを計算すると、色と編成の組み合わせは全部で12通りあることになります。どのパターンの電車が来るかは日ごとに異なりますが、北越急行のホームページに掲載されています(2010年7月現在)。狙った編成に乗るのも良し、お出かけ前に確認して行くのも良し、はたまたどのパターンが来るのをワクワクしながら待つのも良いですね。

次回は再び“あの”国鉄形気動車の登場です。お楽しみに!