ねえ、大ちゃん。越後湯沢駅の駅弁「くるみ山菜すし」の 掛け紙の女の人が、駒子さんなの?
菜々
大介
うん。「駒子」って、掛け紙にも書いてあるから間違いないよ。
菜々 : 駒子さんて、小説『雪国』に出てくる芸者さんでしょ?
大介 : うん。そうそう。主人公が「島村」っていう男でね。確か、親譲りの財産で、 無為徒食の生活をしてたんだが、越後湯沢の旅館で駒子と出会い、恋に落ちる というストーリーだったよね。
菜々 : で、駒子と島村は結ばれたの?
大介 : ううん。結ばれはしたけど、島村はクールな男でね、行きずりの恋以上の関係を 持とうとはしないのさ。
菜々 : まあ、島村って嫌なヤツ。駒子さんが可愛そう!
大介 : イャン、駒子、コマッチャウ!
菜々 : きゃあ、大ちゃんヤメてよ。チョウ寒くなるじゃん。
大介 :ビューーー。『雪国』なんだから、寒いわけよ。ハッハッハ!
菜々 : ハイハイ! ところで、大ちゃん、『雪国』は、「国境の長いトンネルを抜けると 雪国であった。」で始まるけど、その長いトンネルって、上越線の清水トンネル のことでしょう?
大介 : うん。全長9702m、1931年(昭和6年)の開通。当時は日本最長のトンネルだった んだよ。川端康成が清水トンネルを初めて通ったのは昭和9年のこと。 そして『雪国』の発表は昭和10~12年。
菜々 : でも、その長い清水トンネルの前後にある、ループトンネルのことは、『雪国』では 一言もふれられていないわよね。川端康成さん、知らなかったのかしら。
大介 : いや、知ってたと思うよ。だって、清水トンネルとループトンネルの開通はほとんど 同時だし、ループトンネルは昔も今も非常に珍しいから、ニュースで大きく取り上げ られたはずだからね。
菜々 : そうか。ループトンネルのことまで書くと、「湯檜曽のループトンネルをくるりと 一回転しながら登り、続いて、国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」 てな感じで長くなっちゃうもんね。
大介 : 長いトンネルだからこそ、短く書くわけさ。
菜々 : それって、どういう意味?
大介 : だから、長いトンネルのことを長く書いても面白くないでしょう。トンネルなんて 真っ暗なだけで景色も見えないんだから。それに、トンネルって、お化けとか、 幽霊とかいそうじゃん。トンネルに入ったら、一刻も早く出たいよね。 川端康成大先生が、全長9702mもある清水トンネルのことを、「国境の長いトンネル を抜けると雪国であった。」って、一言で言いきっちゃう気持ち、よ~く、わかるなあ。
菜々 : 大ちゃん、もしかして、洞窟とかトンネルとか暗いところ嫌い?
大介 : うん大嫌い。実は、子供のころから押し入れもダメ!
菜々 : ダメだ、こりゃ。