【週刊ノリスケ】 めまぐるしく変わる車窓が魅力の「宇和海」

宇和島駅の特急「宇和海」

写真の特急「宇和海」(うわかい)は、予讃線の松山~宇和島を走る特急で、JR四国が開発した2000系特急用ディーゼルカーを使用しています。愛称の「宇和海」は、四国と九州を隔てる豊後水道の四国沿岸を指す海域名で足摺宇和海国立公園として自然公園名ともなっています。

四国の西端、予讃線の末端区間を走る特急ですから、馴染みのある方は少ないかもしれませんが、乗ってみるとなかなか楽しく、乗り応えがある列車でした。強力なエンジンを積む2000系の最高速度は120km/h、さらにカーブを高速で走っても乗り心地の低下が少ない振子式を採用しています。この結果、アップダウンやカーブの多い区間でも速く走ることができます。

国鉄時代は、松山~宇和島間103.2kmを特急で2時間弱、急行で2時間強で結んでいました。現在、特急「宇和海」の最速列車は、1時間14分で松山~宇和島間を走りぬけます。これは、短絡新線の開業やJR化後、高性能な2000系の登場やポイントやレールなどの線路自体の改良が進んだことで実現しました。

短絡新線とは、国鉄末期の1986年3月に開業した向井原~内子間と新谷~伊予大洲間です。これにより、距離は6.3km、所要時間は約10分短縮しています。内子~新谷間は、五郎~内子間だった内子線の一部を改良して使っています。このような経緯から、両側を予讃線にはさまれている不思議な状態にある現在の内子線があるわけです。

さて、このような背景を持つ「宇和海」に松山から乗ってみましょう。向井原までは松山平野を走ります。伊予長浜経由の旧予讃線と別れ新線区間に入ると、明らかに他の区間に比べ近代的な線路となります。急勾配ですが、そこは強力なエンジンの強みで100km/h前後の速度で登ります。大洲盆地を横切ると夜昼峠を越えて宇和海に面する港町・八幡浜に下ります。方向を南に変えると、標高200mほどの宇和盆地に、向う峠路です。八幡浜~宇和島間はローカル線の規格で建設されたので、急カーブも多く、幹線系では全国的にも数少ない、33‰の急勾配があります。一方、宇和盆地内には水田の中に長い直線区間があり、ここでは最高速度の120km/hを体験できます。下宇和を通過すると法華津(ほけつ)トンネルを抜けて、宇和海の法華津湾を見下ろしながら一気に33‰勾配で海に近い伊予吉田へ下っていきます。カーブが多い区間を抜けると終点の宇和島です。列車の背後に写っているヤシ並木は、駅前通りの並木で、南国ムードを感じる街です。

全国的に名が知られるような峠こそありませんが、100km程度の区間に峠越えが4ヶ所もあるので、大げさに言えばジェットコースターのような路線です。さらに、昭和末期に建設された近代的な区間あり、戦前にローカル線の規格で建設された区間あり、平坦な水田地帯あり、海を見下ろす絶景ありと、目くるめく車窓に飽きることがありません。機会があれば「宇和海」の車窓をお楽しみください。