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『駅弁ひとり旅・こぼれ話』 第88話

紅花の里
 

大ちゃん、すてき! 
新庄駅と山形駅の駅弁の名前「紅花の里」ですって。
女心をくすぐる、いいネーミングだわ!

 

菜々


大介

紅花かい? 山形県の県の花だね。見たことある?

菜々 : ううん。でも紅花って言うくらいだから、もちろん、くれない色の花でしょうね。

大介 : それがね、ぜーんぜん、違うんだ。僕も初めて見たときはびっくりしたよ。
     産地は山形県の村山、置賜地方が中心で、開花時期は、7月ごろ。
     梅雨の終わりから梅雨明けにかけて満開になるんだ。
     そして花の色はまっ黄色なんだよ。キク科だから、小さな黄色い菊って感じだね。

菜々 : それが、どーして、紅花って呼ばれるの?

大介 : うん、実はね、生花は黄色だけど押し花にしたり、ドライフラワーにすると赤くなるんだ。     水分を抜くと赤い色素が出てくるんだね。その紅を昔から口紅にしたり、
     染め物につかったりしてきたんだよ。

菜々 : へー、そうだったの、それにしても黄色い花が口紅の原料とは、オドロキね!

大介 : そうだ、山形県村山地方の天童市には、紅花を詠った芭蕉の句碑もあるよ。

     「ゆく末は 誰肌ふれむ 紅の花」芭蕉翁

菜々 : まあ、とても色香を感じさせる句だわ。そうそう、そういえば、
     新庄駅を中心とした陸羽東線、陸羽西線の沿線は松尾芭蕉の
     「おくの細道」のルートなんでしょう?

大介 : うん、そうだよ。もちろん、350年も前のことだから、鉄道はまだなかったけれど、
     沿線には芭蕉と曾良の足跡がたくさん残っているよ。
     たとえば陸羽東線堺田駅から徒歩7分の「封人の家」に、
     雨のために足止めをくらった芭蕉一行は、2泊したと記されている。その時の句が、

     「蚤虱 馬の尿する 枕もと」芭蕉翁

菜々 : んまー、痒そうだし、臭そうな句ね、芭蕉さんも大変な旅だったのね。

大介 : さらに、陸羽西線の古口駅付近からは進行方向右側の車窓に最上川が寄り添うんだ。     ここで詠んだ句が、かの有名な、「五月雨を 集めて早し 最上川」芭蕉翁

菜々 : うん知ってる。この句から、芭蕉さんは5月にこの付近を通ったことがわかるわね

大介 : ところが違うんだ。芭蕉の時代は旧暦でね、5月といえば現在の陽暦、
     6~7月に相当するんだよ。
     だから、五月雨というのは今の6~7月の梅雨を意味するんだね。

菜々 : へえー、そうだったのか。考えてみれば、5月は五月晴れって言うくらいだから、
     もともと雨は少ないものね。

菜々 : あ、この写真、大ちゃんが撮った鉄道写真ね。

大介 : うん、新庄の車庫で休息している陸羽東線と陸羽西線のディーゼルカー、
     キハ110系だよ。赤帯が「奥の細道ゆけむりライン」、黄帯が「奥の細道最上川ライン」。

菜々 : なるほど、陸羽東線が赤で、陸羽西線が黄色ね。

大介 : 一応は、そうなんだけど、車両の運用の都合で実際にはどっちも走っているよ。

菜々 : わかった! 黄色い「奥の細道最上川ライン」が乾燥すると、
     赤い「奥の細道ゆけむりライン」になるんだ。

大介 : ドテ!





    
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【監修】櫻井 寛
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