かつての漁村が産んだ香ばしい「焼き蛤」~JR千葉駅・やきはま丼【後編】

焼き蛤さていきなり問題です!「焼き蛤」←これを何と読みますか?
正解は「やきはまぐり」もしくは「やきはま」。ただしこの2つ、蛤であることに違いないのですが、一部地域では「別のもの」と見なされているんです。

千葉の九十九里浜沿岸をドライブしていると、しばしば「焼き蛤」なる文字が書かれた看板を目にします。この場合、多くは「やきはまぐり」。網の上で閉じた蛤を炙り、パカッとあいたら醤油をすこーし垂らす・・・堪えられませんよね!でも、「やきはま」はちょっと違います。

「やきはま」とは、蛤を串に刺し、タレを塗りつつ焼き上げたもの。駅弁「やきはま丼」にも2本入っています。千葉県内で「やきはま」のメッカといえば、意外と思えるかもしれませんが、今や西洋のお城が立ち並ぶ「ディズニー」の地、浦安なんです。

昭和30年以降に埋め立てが進み、現在は「ベイサイド」といった雰囲気を持つ浦安。しかしかつては、活気溢れる漁村でした。貝漁などに使われる木製の船「べか舟」が海を行き交い、貝を加工する「むき身屋」が軒を連ね、そこで働く「むき手」と呼ばれる女性達の活気が街を包む・・・その姿は山本周五郎の小説「青べか物語」に鮮明に描かれています。ぜひ一読してみてから浦安散策に出向いてみてください。浦安の、のんびりとした風情漂う「もうひとつの顔」が見えてきます。

焼き蛤浦安駅のそばには、現在も営みを続ける「焼き蛤」専門店、「越後屋焼蛤店」と「さつまや」があり、香ばしくも懐かしい味を楽しむことができます。持ち帰って晩酌の肴にするもよし、その場で一串買って、食べながら浦安散策をするのもまたよし。また、浦安の沿岸「三番瀬」は開発を免れた貴重な地。今もなお東京湾の生きもの達の住処になっています。

1950年代の雰囲気にどっぷり浸かりたいのなら、浦安市郷土博物館へ行ってみましょう。漁村・浦安が野外に再現されていて、船宿や海苔製造場、べか船も見ることができます。営団地下鉄東西線浦安駅から徒歩2分の地にある浦安魚市場もお薦め。貝むき作業、佃煮の量り売り、蛤を焼く姿に出会うことができます。

駅弁「やきはま丼」で腹ごしらえをして、浦安散策でタイムスリップ。そんな都心近郊の小さな旅も魅力的ですよ!


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