
この7月1日から、走りはじめた東海道・山陽新幹線の新形車N700系は、大勢のレールファンが集まる様子がテレビニュースや新聞で報じられましたので、ご存知の方も多いでしょう。実は、この週刊ノリスケでも試乗会の感想を6月3日の記事で書いてます。
その記事でも書いたとおり、N700系にはさまざまな特徴があります。そのなかでも高速走行のために新たに採用した仕組みが、車体傾斜システムです。これは、他の新幹線よりもカーブがきつい東海道新幹線で、これまで255km/hの速度制限を受けていたカーブを直線の最高速度と同じ270km/hで通過するために採用した機能で、乗客が遠心力で不快な横方向への力を受けないよう、僅かに車体をカーブの内側に傾けて走るという仕組みです。
このような機能を持つ電車には、旧国鉄が1973年に世界に先駆けて実用化した、振り子式電車があります。国鉄時代は、少数の採用にとどまっていましたが、JRとなってから各社で採用され、全国各地で走ってます。この振り子式は、傾きを大きく出来るので効果は絶大ですが、車両の構造がやや複雑になり、高価な点が課題でした。そこで開発されたのが、台車にある空気ばねを利用した車体傾斜システムです。これは、車体の傾きこそ振り子式ほど大きくできませんが、構造が比較的単純なため安価だそうです。
この方式を国内で初めて採用したのが、写真のJR北海道キハ201系ディーゼルカーです。同車は、電車とそん色ない所要時間で非電化の函館本線小樽以西から札幌に直通するために、車体傾斜装置を搭載した札幌近郊区間用の通勤形ディーゼルカーで、1997年から函館本線と札沼線で活躍してます。その後JR北海道では、稚内行きの新形特急用ディーゼルカーのキハ261系にもこのシステムを採用しました。
その次に採用した名古屋鉄道では、1600系特急用電車での試用を経て、2004年から中部空港連絡特急用の2000系で本格採用しました。さらに、2005年には小田急が50000形ロマンスカーVSEで採用しています。そして新幹線N700系試作編成に採用され、この夏に営業用でデビューしたわけです。新形新幹線の重要技術の一つが、元々は北海道の普通列車用として登場したって、意外な感じを受けますよね。