日本には、ご当地の名前のついた食品が多々あります。「松坂牛」「讃岐うどん」「夕張メロン」など、名前を耳にするだけで高級感が漂う「ブランド食材」のひとつが、「かごしま黒豚」。今回紹介する駅弁は鹿児島県出水(いずみ)駅の「かごんま黒ぶた弁当」です。
赤い掛け紙に、房の付いた紐。真ん中が膨らんだ長方形の容器。黒豚が持つ高級なイメージがそのままパッケージに現れています。封を開けると真ん中にドーンと黒豚。味噌漬けのお肉は見るだけで唾液が出ます。まさに鹿児島名物の横綱といった風格です。その横に、鹿児島名物の大関といえるさつま揚げ。反対側にはお漬物、これも鹿児島名物の小結といえる「つぼ漬け」です。これで「きびなご」があったら満点でしょうが、そこまで望むのはさすがに贅沢でしょうね。
さて、まずは黒豚の味噌漬けを一口。なんとも柔らかい!「かごしま黒豚」特有のコクとほのかな甘味、そこにまろやかな味噌の味が加わり、絶妙なハーモニーを奏でています。すかさずご飯が欲しくなり、急いでかきこむとこれまた美味。白米と麦、あわの三穀米です。麦はもっちりしていていかにも腹持ちがよさそう。そこにあわ特有のプチプチッとした食感が加わり、なんとも楽しいご飯に仕上がっています。
お次はさつま揚げ。地元風の言い方をすると「つけ揚げ」です。ちなみに語源は琉球料理の「チキアギー」が訛って「つけ揚げ」になったといわれています。さっそく食べてみると、シンプルですが味わい深い。フワッとした食感もオツで、駅弁全体のバランスを取っている気がします。その他、人参、椎茸、たけのこの煮物も至ってシンプルですが、素材の旨味がギュッと詰まっています。さらに、つぼ漬け。冬の寒風にさらした大根を塩漬けにして、さらに調味料で味付けしたものです。大根の漬物といえば「いぶりがっこ」など東北のイメージがありますが、鹿児島のつぼ漬けもなかなかのもの。少しかじってはご飯を食べ、黒豚を食べてはご藩を食べ・・・と進めていると、ご飯が瞬く間になくなりますので配分を考えて食べることが大切!もしくは芋焼酎を用意しておけば鬼に金棒かも!?
さてここで問題です。芋焼酎と「かごしま黒豚」の共通点、おわかりになりますか?答えはどちらも「サツマイモ」の恩恵を受けていることです。現在「かごしま黒豚」と名乗るものは、肥育後期に飼料含量あたり20%のサツマイモが与えられているとのこと。鹿児島の大地が育んだ栄養価の高い飼料、さらに気候や風土が、ほのかに甘くて柔らかい「かごしま黒豚」を産みました。もちろん「かごんま黒ぶた弁当」で使われているのも「かごしま黒豚」。出荷証明書付きです。
しかし黒豚は、はじめから現在の味だったわけではありません。次回は「かごしま黒豚」のルーツを探りつつ、駅弁を販売する「出水」の地の知る人ぞ知る名物を紹介します。