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神様に教えてもらった塩の味~仙台駅・塩竈藻塩弁当【後編】
期間限定!「塩」が主役の激ウマ駅弁!!~仙台駅・塩竈藻塩弁当【前編】
では、宮城県産ひとめぼれを使ったおむすびから食べてみます。ひじき飯のおむすびは「素朴」でありながら「贅沢さ」も感じ取れる逸品。味がぼやけておらず、噛めば噛むほどヒジキの味が濃厚に広がっていきます。そしてもうひとつが「白飯むすび・桜花飾り」。塩竈(しおがま)神社の境内に咲く天然記念物の「塩竈桜」にちなんだおむすびです。これがまた絶妙。桜の花は単なる飾りではありませんでした。甘ずっぱくも酢がほんのり効いた桜の香りが、食べると鼻孔からフッと抜けていく感覚。さらに、「藻塩」をすこーし振ってみると、うーむ美味い!!表現できないほどの美味さ!!
豪快な「山出し」と、華やかな「里曳き」~茅野駅・御柱祭弁当【後編】
日本三大奇祭のひとつといわれる御柱祭、その姿をテレビのニュースなどでご覧になったことのある方も多いと思います。もっとも有名なのは、急坂を滑り降りる巨木にしがみつく男衆の姿でしょう。しかしながらそれは、御柱祭の一部に過ぎません。御柱祭は、ロングランのお祭りなんです。 そもそもあの巨木(御柱)は何なのか?といったところから説明しましょう。全国に一万もの分社があるといわれる諏訪神社、その総本社が、長野県の諏訪湖周辺にある諏訪大社です。諏訪大社は、境内が4つあります。諏訪市にあるのが「上社本宮」で、茅野市には「上社前宮」、下諏訪町には「下社春宮」と「下社秋宮」。それぞれの社殿の四隅には、モミの巨木が建てられています。7年に1度、この計16本の巨木を建て替え、宝殿を新築するのが御柱祭なんです。 祭の期間は大きく「山出し」と「里曳き」の2つにわけられます。「山出し」では、長さ約17m、直径1m余り、重さ10トンを超える巨木を山から切り出し、里へ運びます。その道中のクライマックスといえるのが「木落し」。巨木に男衆がまたがり、傾斜約30度の急坂を滑り降ります。まさに命がけ!最後まで振り落とされなかった男衆は、この上ない賛美を浴び、後世までの語り草になるそうです。 ちなみに上社と下社では、ところどころ特長が異なります。上社の御柱には、V字型の「めどでこ」がついており、そこにも人が鈴なりにまたがります。一方、下社の御柱には「めどでこ」はついていませんが、木落しの坂は下社のほうが急。その分、スピード感と豪快さが際立ちます。 木落しを含む「山出し」が行なわれるのは、上社が4月2日(金) ・ 3日(土) ・ 4日(日)、下社が4月9日(金) ・ 10日(土) ・ 11日(日)です。 「里曳き」が行なわれるのは、上社が5月2日(日) ・ 3日(月・祝) ・ 4日(火・祝)、下社が5月8日(土) ・ 9日(日) ・ 10日(月)です。 7年に一度のお祭りを、ぜひ一度、ご自身の目でお確かめください!その際にはぜひ、駅弁「御柱祭弁当」もお楽しみくださいね。
7年に1度の味は、天下の大祭に恥じない美味さ!~茅野駅・御柱祭弁当【前編】
![]() 駅弁ファンにとって見逃せないのが、いわゆる「期間限定」の記念駅弁です。期間限定のイベントに伴って発売されたり、開業・開通の周年記念などで発売されたりすることもあります。今回ご紹介する「御柱祭弁当」もそのひとつ。7年に1度しか行なわれない日本屈指の大祭「諏訪大社の御柱祭」の平成22年開催を記念して発売されています。※確実に手に入れたい方は予約をされた方がいいでしょう。 包装紙からして、お祭りムード一色!賑やかの一言です。ポイントは、縄で縛られていること。急な坂に巨大な柱を滑らせ、その上に人が乗る奇祭が御柱祭。その柱には縄が結わえ付けられていることにちなんでいるんでしょう。 封を開けると、さらに賑やか。二重の幕の内タイプの駅弁です。それではさっそく、良い照り加減のうなぎからいただいてみます。これがまた、美味いのなんの!肉厚で口ざわりもよく、タレも濃厚。脂が程よく乗っていて、ふんわり感も抜群。下に敷いてあるご飯はしっかり酢を利かせた酢飯なんですが、意外や意外、うなぎとの見事な相性をみせてくれます。他に椎茸、人参、錦糸玉子、れんこん、きぬさや、しょうが、梅花れんこんが入った「祭りちらし」です。 そして多彩なおかず。馬肉のしぐれ煮は歯ごたえもよく、噛み締めるたびに風味が鼻から抜けていく感覚。野趣溢れる味でありつつ、臭みとは無縁なんです。上手に調理してあります。 ごぼうは「歯ごたえ重視」ではなく、じっくり煮込んだやわらか仕立て。これは駅弁としては珍しいですね。甘く煮てあって、味はしっかり沁みています。そして、煮物の中でいっそう目を引くのは、姫竹の山くらげ手綱巻。ヒョロリと長いタケノコの姿は、まさに御柱!その味だけでなく、楽しい気分に浸らせてくれる演出です。他にも人参などの煮物が入っていますが、すべて味が違うような気がしました。野菜の持つ独自の風味が生かされている証拠でしょう。信州氷豆腐はたっぷりとダシを含んでいて、口を湿らせてくれます。こんなにツユだく状態なのに、汁が漏れていないのも不思議。なにか秘訣があるんでしょうか? 駅弁のおかずとして定番の八幡巻も入っています。ただ、他の駅弁のものと一味も二味も違います。肉の形を留めている見た目もさることながら「美味しい肉を使用している」ことが一口でわかります。そして、この駅弁ならではの一品が「豚ひき肉のもち米包み蒸し」。これは思わず「美味ッ!」と口走ってしまいました。本格的な飲茶の感覚です。お醤油を少し垂らして食べると至福のひとときが訪れます。 これだけ充実していて、さらにデザートとしてカリンの果肉洋かんがついています。サッパリとした後味を残してくれて、甘すぎないデザート。香りもすばらしく良く、清々しい気持ちにさせてくれました。 ![]() 早い話、この駅弁は今まで当コーナーで紹介した駅弁の中で「五本の指」、いや「三本の指」に入る美味さでした!!天下の大祭にふさわしい駅弁にしなければ、というメーカーさんの気概を感じます。 さて次回は、諏訪大社の御柱祭についてクローズアップしてみましょう。奇祭と称されるお祭りの魅力をあますところなくお伝えいたします!
武士が消滅し、養鶏文化が生まれた!~名古屋駅・純系名古屋コーチンとりめし【後編】
なぜ、名古屋の地に美味しい鶏が普及したのか?そのルーツは明治時代にまで遡ります。明治維新によって「武士」という地位がなくなり、禄を失った武士達は、時代を折り合いをつけて新しい道を歩むことを余儀なくされていました。旧尾張藩士だった海部荘平、正秀の兄弟もまたしかり。二人が選んだ道は養鶏でした。明治初期、彼らが研究を重ね、地鶏と中国産の「バフコーチン」を交配して生まれたのが名古屋コーチンといわれています。明治後期になった段階で、正式に品種登録されたとのこと。現在、正式には「名古屋種」という名前で登録されていますが、やはり「名古屋コーチン」のほうが通り名として普及している状況です。 そもそも養鶏自体は、江戸初期から一部で普及してきました。身分の低い武士達が、わずかでも家計の足しになるように鶏を飼い、卵を採取していたといいます。が、その一方で「鶏といえば、チャボなどの“愛玩”か、軍鶏を戦わせる“闘鶏”か」という考え方が多勢を占めていました。 ところで、ういろうや味噌かつ、うなぎのひつまぶしなど、「食」の名産品が多く揃う名古屋ですが、鶏肉の料理として名を馳せているのが「手羽先」です。 元来、小ぶりな手羽先は他の部位に比べて「使えない」ものでした。せいぜいスープのダシに使ったりする程度。昭和30年代、これをなんとか出来ないものかと思案して生まれたのが、手羽先をカラリと揚げた料理でした。 名古屋が誇る鶏肉文化に敬意を表しつつ、今年の冬も美味しい鶏肉に舌鼓を打ちたいな、と思った次第です。
美味い鶏をシンプルに食す!~名古屋駅・純系名古屋コーチンとりめし【前編】
ご覧のとおり、パッケージは竹の籠。それだけで旅心をくすぐってくれます。さっそく封を開けると、ふわりと立ち込める甘辛の香味。彩りのバランスもなかなかのものです。 まずは・・・今回はご飯から頂いてみます。なにせ、味が沁み込んでいそう!一口頬張ると、ふんわりモチモチのうるち米&もち米のブレンドがやさしい口当たり。同時に、じわりと鶏の旨味が伝わってきます。コーチン鶏肉でダシを取っているようですね。冷めても美味しいのは、炊き込みご飯の特権!さらにうるち米ともち米も硬くなっておらず、上手く仕上げているなと感じました。 それでは名古屋コーチンの照り焼き、いってみましょう!純系の名古屋コーチンですから、当然お値段も張ると思いますが、駅弁そのものは1000円に満たないリーズナブルさ。そのため、鶏肉はちょい薄めです。でも、美味い!若干、燻製っぽい風味も感じました。当然ながら臭みなどは皆無です。 お肉とご飯を交互に頂きつつ、山菜やたくあんで箸休め。肉厚のしいたけは、ダシが存分に沁み込んでいてホッとする味でした。
さて、次回は名古屋コーチンのルーツについて触れてみたいと思います。養鶏はサムライの仕事だったって本当!?
城跡のど真ん中にできた駅~三原駅・松茸栗めし【後編】
しかしながら最近は、外国産のマツタケも多く出回っています。以前から中国、韓国などから輸入されていましたが、近年では北欧諸国やトルコ、カナダ、アメリカ、モロッコなどからも入ってくるようになりました。地域によって、味は国産マツタケより大味なものもありますが、香りの面では遜色ないものもあり、「香りマツタケ、味シメジ」という言葉になぞらえるなら、十分満足できる外国産マツタケも多く出回っています。 特筆すべきは、その価格。国産に比べて、10分の1のお値段がついているものもあるそうです。高値ですと土瓶蒸しや炊き込みご飯など、昔からある調理法で食べたいと思いますが、安いマツタケならパスタや洋食など、新たなマツタケ料理に挑戦してみるのもいいかもしれませんね。 もともとマツタケは、日本人のみが高値をつけ、その味を楽しむ民族だったといえるでしょう。逆に海外では、その独特の香りから敬遠されるたぐいのキノコでした。北欧産のマツタケは、学名に「不快」という意味をなすラテン語が入っているほど。しかしながら日本での異常人気にあやかり、日本への輸入品として積極的に栽培したり、はたまた自国でも「食べてみようか?」という気運が高まっている国もあります。お隣りの韓国でも、最近ではマツタケに対して日本とも負けず劣らずの値がつくこともあるほどです。学名も「トリコローマ・マツタケ」という名が世界各国に浸透しつつあります。 そんなマツタケの生産地、広島県。駅弁「松茸栗めし」を販売しているのは三原駅ですが、この駅があったところは、かつて「お城」でした。戦国武将、小早川隆景が築いたといわれている「三原城」です。
秋もだんだんと深まってきました。本格的な冬が訪れる前に、味覚と歴史の旅として訪れてみてはいかが?
マツタケと栗で秋を満喫!~三原駅・松茸栗めし【前編】
今年は残暑の影響もあり、関西方面のマツタケの出荷は軒並み低迷。そのせいもあって、ただでさえ高値のマツタケが、最高級品ともなると1キロあたり20万円近くの値がつくんだとか!!恐ろしい価格ですね・・・。しかしながら、昨今は外国産のマツタケも多く出回っており、比較的お安くマツタケを入手できるようにもなっています。今回ご紹介する駅弁「松茸栗めし」の価格は1,050円!安かろう悪かろうなのでは・・・と勘ぐる前に、実際に食べて確かめてみました! もみじのイラストに、栗の部分が透けたパッケージ。なんとも秋らしい見た目です。封を開けても、じつに秋らしい!ちなみに筆者、「好きなものは一番最後に食べる」タイプですので、あえてマツタケ以外のおかずからトライしてみます。 まずは牛肉。薄くスライスされたお肉が折り重なっていて、ボリュームは満点。味は、赤身特有の実にお肉らしい味が凝縮しています。 そして栗。ゴロリと粒そろいの栗は、瑞々しさと甘味が両立。牛肉の「辛」と栗の「甘」が駅弁の中でバランスを保っています。これだけでも、いっぱしの駅弁として成立しそうですが・・・さていよいよ真打登場ですぞ!
箸休めとなる漬物と山菜を口に運びつつ、牛、栗、マツタケの順に楽しむ・・・これぞニッポンの秋。同駅弁は広島県の三原駅などで販売されています。ご当地のカラーを醸しつつ、季節感も楽しませてくれる駅弁、じつにありがたいと思います。 次回は、マツタケの“最新事情”とともに、広島県三原駅についてご紹介したいと思います。この三原駅、実はご当地の歴史と深~い関わりがあるんです!
弁天様の琵琶が「しゃもじ」に 広島駅・しゃもじかきめし【後編】
フライに煮物に味噌和えも!! 広島駅・しゃもじかきめし【前編】
「どまんなか」は絶滅する!? 米沢駅ほか・牛肉どまん中【後編】
山形県米沢の名産品を現す「ABC」について以前、当コラムでご紹介したことがあります。記念すべき第一回目に紹介した駅弁、米沢駅の「鯉弁当」は「C」。鯉、つまり「carp」の「C」です。残りの二つ、「A」はりんご、つまり「apple」で、「B」は牛肉、「beef」。これら3つが米沢を代表する名産品です。◇ファンのみぞ知る「要予約」駅弁! 米沢駅・鯉弁当【前編】 ◇今も残る上杉鷹山の恩恵 米沢駅・鯉弁当【後編】 米沢の「B」をメインにした駅弁「牛肉どまん中」ですが、そもそもなぜ、この地で牛肉が有名になったのか?その歴史は明治4年まで遡ります。米沢といえば名君、上杉鷹山。鷹山公は藩内の教育にも力を注ぎ、いくつもの学校が設立されました。そのうちのひとつ「興譲館」の英語教師として招かれたのが、イギリス人のチャールズ・ヘンリー・ダラス氏です。 もともと横浜で貿易商を営んでいたダラス氏は、この地で英語を教えるために趣き、滞在中には米沢牛を非常に好んで食したといいます。教師としての任期を終えたダラス氏は、横浜に戻る際になんと牛1頭を連れて帰ったのだとか。その牛肉を知人らに振舞ったことに端を発し、「米沢の牛は美味い!」という評判が次第に広がっていったとのことです。もちろん、米沢が牛の飼育に適した風土であったことや、良質な牛を育てる技術とノウハウがその根底にあった、ということでしょう。 そしてもうひとつ、「牛肉どまん中」という駅弁のネーミングの由来にもなっているのが、山形県のブランド米「どまんなか」です。 1993年、同じく山形のオリジナル品種「はえぬき」とともに品種登録された「どまんなか」。それまでブランド米といえばササニシキ、コシヒカリ、あきたこまちなどが知られていましたが、「はえぬき」と「どまんなか」は米袋にかわいらしいイラストを使用し、ネーミングも公募したりして、華々しくデビューしました。「どまんなか」という名前には、山形県がお米の生産の“どまんなか”、つまりメインストリームであってほしい、という願いも込められています。 同じ山形県にあって、主に平野では「はえぬき」、山間部では「どまんなか」を栽培する傾向がありましたが、「はえぬき」のほうが作りやすいともいわれ、現在「どまんなか」を栽培する農家は大幅に減少しています。来年秋には山形の新しいお米「つや姫」のデビューも決まっており、ますます苦境に立たされることも予想されます。 ![]() ただ、「麺にするにはうってつけ」ということで、小麦麺に米を練りこんだ「どまんなか麺」が登場して人気を博すなど、まだまだ「どまんなか」に対する需要はあります。駅弁「牛肉どまん中」もまたしかり。「どまんなか」をふっくらと炊き上げてあります。農家の皆さんからすれば大変かもしれませんが、駅弁の人気と相乗効果をなして、いつまでも残り続けてほしい味といえるでしょう。
牛肉好きなら一度は食べて! 米沢駅ほか・牛肉どまん中【前編】
すきやき、ステーキ、焼肉、牛丼、ハンバーグなどなど、日本人のハートをガッチリ掴んでいるといえる食材が、牛肉です。牛肉をメインのおかずにした駅弁は数あれど、その名前のインパクトと美味しさで全国区の知名度を誇るようになった駅弁があります。米沢駅の駅弁「牛肉どまん中」です。デパートなどで開催される駅弁大会では長蛇の列が生じ、現在では東京駅などでも購入できるようになっています。ご飯の上に牛肉のそぼろと牛肉煮が乗っていて、横におかずが数品。駅弁自体は至ってシンプルです。さっそくそぼろ部分をご飯と一緒に頬張ってみると・・・思わずうなずいてしまいます。「人気の秘密はコレにあるのか」と。そぼろの小さな肉の粒、そこにこれでもかと旨味が凝縮しています。野趣溢れる濃厚な味です。たかがそぼろ、とは決して言えません! そして牛肉煮。こちらは優しく、ふんわりとしたすき焼きのような味。再びその美味しさにうなずいてしまいました。見た目には、脂身の部分が多く残っているんです。それゆえ、そぼろとは明確な味の違いが生じていて飽きのこないよう工夫されているのですが、「冷める」という宿命を背負う駅弁にあって、脂身を凝固させずにジューシーに保つワザが施されていると思います。 牛肉の旨味と脂の旨味は、本来異なるもの。そぼろでは牛肉の旨味をメインに、牛肉煮では脂の旨味も活かしつつ仕上げた、といったところです。 さらに、お米!米の味の良し悪しというのは「炊き方」にも大きく左右されますし、作り置きが基本の駅弁にとっては、なかなかお米の味まで堪能するのは難しいといえます。しかしながら、美味い!ふっくらしていて、べちゃべちゃしていない。ギュギュッと詰め込まずに、ふんわりと盛っているような印象を受けました。細かいところですけど、こういったところに「人気のあるなし」が表れるのかも、と思った次第です。 一方おかずは、玉子焼きと大根の桜漬、かまぼこ、そして人参とサトイモと昆布の煮物。サトイモには少々かつおぶしがまぶしてあって、美味。大根の桜漬はいわゆる一般的な味。箸休めなので香の物はこれでいいのかもしれませんが、やっぱり牛肉のクオリティがとても高い分、ちょっと桜漬だけはチープさが目立ってしまいますね。 ![]() ・・・などと重箱の隅を突つきながらも大満足で完食!日本人の、肉に対する嗜好を吟味しつくしたかのような駅弁で、リピーターが多いのも頷けます。 さて次回は。山形県米沢の牛が全国区になった理由を紐解きつつ、他のブランド米に押されつつも奮闘する「どまんなか」についてご紹介します!
トコロ変われば「鯛めし」変わる! 小田原駅ほか・鯛めし【後編】
ちなみに、明治30年には静岡駅の駅弁製造業、東海軒さんが桜飯の上に鯛そぼろを載せた「鯛めし」を創り上げ、今日まで人気を博す長寿駅弁となっています。その他、シューマイで有名な崎陽軒さんも「鯛めし」を手掛けており、もはや東海道を代表する駅弁になっているといえるでしょう。 その一方で、愛媛県にも「鯛めし」の食文化があります。こちらは丸ごと焼いた鯛を炊き込みご飯の上に乗せ、さらに土鍋で熱を加えて出すスタイル。なんとも豪快な郷土料理です。ご飯のかわりにそうめんを使い、煮汁を加えれば「鯛そうめん」と呼ばれる郷土料理に早がわり。ぜひ愛媛に足を運んだ際は食べてみてください。 また、同じ愛媛でも南予地方に行くと、鯛の刺身を使い、ご飯に乗せて生卵やタレ、薬味をぶっかけて食べる「鯛めし」もあります。こちらはもともと伊予水軍が考案した「まかない飯」であり、アジや赤身魚を使う「ひゅうがめし」がルーツだといわれています。
篭城する北条家に対し、真っ向から戦わずに大軍でジワジワと取り囲む戦術を取った秀吉は、相手の戦意をそぐために、この地に遊郭を作ったり、石垣山一夜城で茶会を催すなどして「余裕」を見せつけたといいます。そんな秀吉にあやかり、「第25回一夜城まつり」では邦楽演奏を聴きながらの野点や北條太鼓、小田原囃子、甲冑仕舞、ちょうちん製作などが行われ、合戦餅や合戦鍋も振舞われます。秋空のもと、戦国絵巻に思いを馳せながら、のんびりとした休日を小田原で過ごしてみてはいかがですか?
ふんわり甘い鯛のおぼろ 小田原駅ほか・鯛めし【前編】
まず、この地域の「鯛めし」をご存じない方は、封を開けてビックリされるかもしれません。写真をご覧いただければわかるように、ご飯の部分は真っ白。日の丸弁当の梅干入れ忘れじゃありませんよ。これぞれっきとした「鯛めし」。鯛などの魚の「おぼろ」が一面に敷き詰められています。 そして駅弁にしては珍しく、割り箸に加えて木製のスプーンがついているのがちょっと驚き。今年の8月にリニューアルした際、スプーンを入れるようになったそうです。なるほど、「おぼろ」が細かいだけに、スプーンのほうが断然食べやすいですね。口当たりは粉雪のようにふんわり!甘めに仕上がったおぼろの味が、あっさり炊いた茶飯にマッチしています。ちなみに「おぼろ」を辞書で紐解くと「タイ・ヒラメ・エビなどの肉をすりつぶして味を付け、いり煮にした食品。そぼろ」とあります。個人的には、いわゆる一般的な「そぼろ」よりも細かく繊細な印象を受けました。口当たりでいえば「桜でんぶ」に近いかもしれません。 ただ、酒飲みの筆者には少々甘めに感じました。そこで功を奏するのがおかず類。コロッとした丸ごとの椎茸をたっぷりのダシでじっくり煮込んだ「含め煮」、その味が濃厚なので、鯛おぼろで甘さが行き渡った口の中を一旦洗い流してくれるかのよう。あけ貝の佃煮もまたしかり。ツンと鼻に抜けるワサビ漬けも効いています。全体のバランスを考えた上での「つけあわせ」ですね。その他、大根の桜漬、かまぼこ、竹輪も入っています。
ちなみにおぼろの素材はマダイのほかにオキサワラ、クロカジキ、アブラガレイなど。ここでちょっと豆知識。安さがウリの回転寿司で「えんがわ」があったとしたら、アブラガレイの可能性大です。寿司屋で「えんがわ」といえばヒラメですが、アブラガレイのえんがわも脂が乗っていて、それなりに美味しくいただけます。 さて、次回は全国津々浦々で異なる「鯛めし」についての雑学をお届けします!
江戸庶民が興じた「品川の潮干狩り」-品川駅ほか・品川名物 貝づくし【後編】
江戸時代、品川は東海道五十三次における第一宿。西の大名らの参勤交代や、お伊勢参りへ向かう人々で大いに賑わいました。陸路はもちろんのこと、海運においても交通の要所として栄えていたほどです。 といっても、江戸城の本丸からみれば、当時の品川は「郊外」。宿場の中心からちょっと離れると、田畑を耕す人々や、舟で漁に出る人々の姿をそこかしこで見ることができたといいます。農村や漁村としての顔も持っていたといえるでしょう。 さらにもうひとつ、品川は江戸の庶民にとって、格好のレジャースポットでもありました。現代風にいえば「日帰り“ぶらり”散歩スポット」ですね。今も地名として名を残す「御殿山」は、当時では上野のお山に匹敵する、江戸有数の花見スポット。八代将軍徳川吉宗の政策により、この地に桜が植樹され、御殿山から桜と富士を望む浮世絵を、葛飾北斎が描いています。 一方、安藤広重の浮世絵に描かれているのが、品川の遠浅な海を利用した潮干狩り。着物をたくしあげた女性が品川の地で潮干狩りに興じる様子が描かれています。今回の駅弁「品川名物 貝づくし」の由来といえるでしょう。ちなみに明治時代、モースによって「大森貝塚」が発見され、縄文時代からこの地で貝が採れていたことが証明されました。 さて、かつての品川名物として外せないものがあります。それは「海苔」。18世紀初頭には海苔の養殖が全国に先駆けて盛んになり、品川でとれた海苔はそのまま浅草に運ばれ、そこで紙漉きのような要領で加工され、皆さんご存知の「浅草海苔」となりました。 今となっては水位が上がった関係もあり、潮干狩りも海苔の養殖も厳しい品川の地ではありますが、海沿いには漁村時代を彷彿とさせる風景に、ふと出会うこともあります。魚介類をふんだんに使った天ぷら屋さんが多いのも特長のひとつです。秋の休日、品川郊外をそぞろ歩いて「かつての姿」を探してみてはいかがですか?
あさりにしじみに貝柱!-品川駅ほか・品川名物 貝づくし【前編】
駅弁とは、ただのお弁当にあらず。土地土地の名産を詰め込み、郷土色豊かに仕上げた駅弁が、昨今の主流といえます。では“東京の駅弁”はどうでしょう?まさか浅草名物雷おこしを入れるわけにはいきませんし、練馬大根だけではちょっと地味・・・そこで駅弁メーカーが着目したのは、かつての東京湾。豊かな漁場として機能していた東京湾の「海の幸」を彷彿とさせる駅弁が人気を呼んでいます。品川駅の「ジェイアール東海パッセンジャーズ」の売店で販売している「貝づくし」も、そんな駅弁のひとつです。 “づくし”と銘打つだけあって、封を開けて目に飛び込んでくるのは、ご飯の上にギッシリと敷き詰められた貝!3種の貝の合間には目にも鮮やかなグリーンピースと紅しょうが。さらに脇におかず類も入っていて、なんとも嬉しい気分になること請け合いです。 まずは、あさり。タレ仕立てのあさりはサラリとした甘さ、醤油仕立てのあさりは海の香りがほんのりと残り、なかなかの味。うすくち醤油ベースで炊き込まれたご飯との相性もバッチリです。 そして、しじみ。こちらは佃煮のように、まさに甘辛い感覚。ご飯がどんどん進んでしまいますね。最後は、貝柱。こちらはあっさり塩味で、刻みのりの風味がアクセントになっています。夜ならビールが欲しくなり、朝ならお味噌汁が欲しくなる・・・とでもいいましょうか。いやはや美味しいです。 ![]() これだけでもかなり満足しますが、おかず類の充実も見逃せません。甘めに仕上がった玉子焼きに加え、たけのこ、しいたけ、ふき、人参などの煮物。「おかずが多い」というだけでちょっとリッチな気分になります。さらに適度に塩っ気のある野沢菜漬の和え物が効いています。全体的に甘めのおかずが多いため、ピリッと引き締まるような感覚です。 今となってはなかなか東京湾の海の幸でお弁当を作るのは難しいですが、江戸特有の“いなせ”なイメージは、この駅弁にも存分に受け継がれているなと思いました。 さて次回は、品川にまつわる雑学を中心にお送りします。
鳥栖は“鳥の住処”なり~鳥栖駅・長崎街道焼麦弁当【後編】
豊前国・小倉の常盤橋から、肥前国・長崎の地を結ぶ57里(約228km)。それが、かつて栄えた長崎街道です。駅弁「長崎街道焼麦弁当」のお膝元、鳥栖にも轟木宿や田代宿といった宿場があり、交通の要所として栄えていました。長崎といえば、国内で唯一海外貿易がなされる地。長崎街道は数々の舶来品や渡来人が行き来するとともに、九州の大名達の参勤交代ルートとしても利用されていたことでしょう。 毎年10月になると、轟木宿と田代宿の間を、江戸時代の装束を纏ったガイドが案内するウォーキングイベント「長崎街道まつり」が開かれています。通行手形の発行や茶店、芸能演芸で賑わい、かつての街道筋の雰囲気を存分に伺い知ることができるイベントです。 次に鳥栖が「交通の要所」たりえたのは、鉄道です。明治になって初めて九州に鉄道が敷かれた時に鳥栖駅は開業。以来、操車場や機関区などが作られて、鉄道の街として名を馳せました。現在は行なわれていませんが、ブルートレインの分割・併合を行なった駅としてもおなじみです。 高度成長期には九州自動車道、長崎自動車道、大分自動車道を結ぶ鳥栖ジャンクションもあり、時代は変われど「交通の要所・鳥栖」はいまだに健在です。 そんな鳥栖の地の駅弁メーカー、中央軒が製造販売する「長崎街道焼麦弁当」。その中には「しゅうまい(焼麦)」と「かしわめし」、2つの名物が入っています。その2つの由来について少し触れてみましょう。 ![]() まずは「かしわめし」。鳥栖は古くから鳥との縁が深く、応親天皇が在位した270年頃、鳥栖には鳥屋があり、さまざまな鳥を献上していたとか。「鳥巣の郷」が、後に鳥栖になったそうです。「栖」は「栖む(すむ)」、つまり「住処(すみか)とする」という意味があります。以来、鳥栖の地では「晴れ」の日の料理として鶏料理が振舞われる習慣が根付きました。そして焼麦。中央軒さんでは、長崎在住の中国人に本場の味を教えてもらい、その味にアレンジを加えて独自の焼麦を作り上げたそうです。 ひとつの駅弁で2つのご当地名物が食べられて、ちょっと得した気分になれる長崎街道焼麦弁当。鳥栖に立ち寄る際はぜひともお試しください。
焼麦&かしわめしが美味い!!~鳥栖駅・長崎街道焼麦弁当【前編】
古くから交通の要所として栄えてきた佐賀・鳥栖。今回ご紹介するのは鳥栖の駅弁「長崎街道焼麦弁当」です。今回のメインのおかずはズバリ、焼麦!!といっても焼いた麦じゃありませんよ。焼麦とは、しゅうまいのこと。一般的には「焼売」と書きますが、中国では「焼麦(しゃおまい)」とも言われていることから、駅弁販売元の中央軒さんはこの名前を用いています。それではさっそく焼麦、平らげてみたいと思います! パッケージにはレトロ感あふれるタッチで描かれた鳥栖駅。フタを開けると、目に鮮やかな三色の「かしわめし」と焼麦が5つ。その他、おかずが目に飛び込んできます。空腹の身としては、このギッシリ感がたまりません。 それではさっそく、焼麦を一口。こちらもまさにギッシリです!肉がたっぷり詰まっていて、肉汁の旨味も。カラシをつけるとさらに食欲がヒートアップ!食べれば食べるほどお腹が空くような気にかられます。それと、やっぱりお弁当に焼麦は合うということを再認識しました。冷めてもおいしくいただけるところがミソですね。 そして、かしわめし。かしわめしといえば福岡県折尾駅の駅弁「かしわめし」が有名ですが、こちらも負けず劣らずの出来栄え。鶏肉(かしわ)、錦糸玉子、海苔がご飯に乗っています。かしわはやや甘めの味付け。これは酢醤油とカラシをつけた焼麦と対をなす味ですね。交互に食べ進めると飽きがこなくてよいかも。ご飯は、鶏スープで炊き込んだ醤油風味の味付けご飯。あっさりとした仕上がりになっています。 ちなみに中央軒さんでは、駅弁「かしわめし」と「焼麦」も駅構内で販売しています。これを両方食べられるように一体化させたのが「焼麦弁当」。その「焼麦弁当」におかずを加えてさらにワンランク、グレードアップさせたのが、今回の「長崎街道焼麦弁当」なんです。 ![]() ということで、焼き鮭、かまぼこ、玉子焼き、蓮根と人参の煮物、ふき、菜の花、切干大根、香の物が入っています。こうなればもはや「幕の内」の様相。おかずがふんだんにあるってのは、なんとも幸せな気分になれますね。いやはや、ごちそうさまでした! さて次回は、古き良きニッポンの街道として知られる長崎街道のルーツ、さらに鳥栖の「かしわめし」と「焼麦」についてもご紹介したいと思います。
あごだしは雑煮の必需品~佐世保駅・南蛮平戸あごめし【後編】
幼い頃、初めて波の上を滑るように飛ぶ「トビウオ(あご)」を見たとき、びっくりしたのを覚えています。ぴょんぴょんと飛び跳ねるくらいだとタカをくくっていたら、ヒレを翼のように広げて100mくらい着水せずに飛ぶんですよね。まさに「トビウオ」!なんと、300mくらい飛ぶこともあるそうです。マグロなどの天敵に遭遇した時に飛ぶといわれていますが、確証のある理由はまだ判っていません。ではなぜ、長崎をはじめ九州や山陰など日本海沿岸地域では「あご」と呼ばれるのか?それは定かではありませんが、トビウオの一種、ホントビウオの学名を調べてみると「Cypselurus agoo agoo」とあります。“agoo”って「あご」のこと?当時の長崎は国内で唯一、西洋との交流があった地ゆえ、この方言が世界に広まって、その結果学名の一部になったのでは、といわれているんです。 では、「あご」は私達の食卓に、どのような形で上ってきたのでしょうか。まずは、お刺身。ただし新鮮なものに限られます。なにせ飛ぶ魚ですから運動量が多いせいか?脂肪が少なく、淡白であっさりした味わいです。 駅弁「南蛮平戸あごめし」のように、干物として食することもよくあります。炭火などで焼き上げた「焼きあご」の場合は、「だし」ですね。みそ汁やお正月の雑煮のダシとして使われます。焼いたあごを粉末状にして使いやすくしたものも昨今ではよく売られていますね。とりわけ平戸産の「あごだし」は高級品として愛用されています。 ちなみに、他の地域ではどんなふうに使われているのか?たとえば新島や八丈島などでは、ムロアジとともに「くさや」の材料として使われています。山陰などでは「あごちくわ」として竹輪の材料になることも。山形県の酒田では、煮干や鰹節などとともにラーメンのスープを取る際に使われているそうです。 ![]() 平戸地方では秋になると「あご」漁が盛んになります。その頃に、この地方に吹く風を「あご風」というのだとか。そういえば富山でブリ漁が盛んになる頃に響く雷鳴を「ぶり起こし」と言ったりします。漁業と気候は密接に関係しているんですね。それゆえ、秋にこの地方を旅行すると、新鮮な「あご」の刺身にありつける可能性もグンと高まります!ぜひ、その時期に訪れてみてはいかがですか?
これぞトビウオの親子丼!!佐世保駅・南蛮平戸あごめし【前編】
長崎県平戸といえば「あご」で有名。といっても「顎」じゃありません。「あご」とはトビウオのこと。東日本にお住まいの方には馴染みがないかもしれませんが、西日本や日本海沿岸地域で「あご」といえば、高級な「だし」を取る魚として知られています。今回は長崎県佐世保駅の駅弁「南蛮平戸あごめし」を食べてみました。パッケージは水色をベースにした、わりとあっさりしたデザイン。しかしフタを開けると、ご覧のとおりなかなか素敵です。キヌサヤやタケノコがキレイに斜めに配置されていて、そのラインと垂直に「あご」が並んでます。勢いよく波の上を飛んでいるかのよう! さて、それでは一夜干しの「あご」を一口。まず香ばしさが口の中に広がって、それから芳醇な「あご」の味がじわじわと・・・噛めば噛むほど味が出ます!いやはや、濃厚です。といっても見た目より硬くなく、ほどよい柔らかさ。「あご」はご存知の通り、波の上を飛び跳ねる魚。それゆえ小柄でも「マッチョ」なんですかね!?しなやかな筋肉の弾力、といった感覚です。ご飯も「あご」からとっただしで炊き込んであり、塩気と醤油の味がほのかに効いています。 「あご」には、オレンジ色の魚卵がまぶしてあります。巷では「とびっこ」と称されるものですね。寿司ネタとしてもお馴染みです。これは「あご」の卵。ということは、この駅弁はトビウオの親子丼!!プチプチした食感と風味が存分に楽しめます。 その他のおかずとしては、たけのこ。こちらは至って普通のお味。あさりは醤油で煮てあります。身が厚めでプリプリしているところがいいですね。また、ご飯にはシソがのっていて、これが隠し味として駅弁全体を上品に、味わい深く演出しています。 駅弁の定番である海苔も、粉末のように細かくて、ご飯と共に食べると磯の香りが偏ることなく口の中に広がります。錦糸玉子も、通常の駅弁に入っているものよりも薄くて長め。細かいところにまで気が行き届いているなぁと感心しました。 ![]() 駅弁のメインは「あご」の一夜干しですから、正直なところ最初は「干物がメインの駅弁かぁ」と少々テンションが低かったんですよ(笑)。しかし食べてみると、味や色彩のバランスがとてもよく、存分に楽しむことができました。パッケージが少々地味だからといってあなどってはいけませんね! さて次回は、「あご」にまつわる雑学をお届けいたします!
“贅沢禁止”から生まれた祭ずし~岡山駅・桃太郎の祭ずし【後編】
賑やかさ満点!これぞ「ハレ」の駅弁~岡山駅・桃太郎の祭ずし【前編】
出雲と酒の親密な関係とは?~松江駅・ごきげんべんとう【後編】
2本の日本酒でご機嫌上々!!松江駅・ごきげんべんとう【前編】
出張の時、「行き」と「帰り」で駅弁の選び方が変わる人、いませんか?「行き」の場合は往々にして、その後仕事が入っている。よって普通に腹が満たされる駅弁。逆に「帰り」の場合は、会社に寄らずに直帰することも多いので「酒の肴」になるような駅弁。自分自身に「出張おつかれさん!」の意味を込めて、駅弁で一杯・・・お酒が好きな方は、そんな選択をしていることもありますよね?
そんな皆さんがついつい手を伸ばしてしまうような駅弁が、今回ご紹介する「ごきげんべんとう」です。 包装紙には酒を酌み交わす浮世絵風の男。そして日本酒が、なんと2本!お酒がついている駅弁は他にもいくつかありますが、2本ついているとなると、筆者の知る限りではありません。酒飲みにとっては、これだけで「ごきげん」モードに突入しますね。 封を開けると、なるほど、ご飯は俵状の小さいおにぎりが4つ。お酒を飲むからそんなにご飯はいりませんもんね。その反面、おかずの種類が多いこと!完全に「肴」として機能するべくチョイスされた品々が詰まっています。 さて、肝心の日本酒。口当たりのよいやや甘口の「國暉(こっき)」と、淡麗ですっきりした辛口「湖上の鶴」が入っています。ちゃんとカップが2つついているところも気が利いてますね。それではさっそく一杯やりますか! まずは白魚の天ぷらに醤油をちょっと垂らして一口頂いて、矢継ぎ早に「湖上の鶴」をグイッ。こりゃ至福!塩っ気のあるものと辛口日本酒の相性は、やはり抜群でした。しじみ、赤貝(サルボウ貝)、やたら漬と立て続けに食べてはチビリチビリとお酒を頂いていきます。 次はやや甘口の「國暉」の番です。基本的に甘口のお酒は、酢の物や甘い物との相性がよいので、ここはまずわかさぎの甘露煮でしょう。ちなみに松江あたりでは「あまさぎ」と呼びます。一口食べてみると、予想以上に柔らかくて美味い。そして日本酒を口に含むと、いっそう豊穣な風合いが広がります!次は酢で和えた茹でガニ。こちらも、やや甘口の酒との相性は格別!少し取っておいて辛口との相性もチェック。おっと、これも美味い!どうやら酔っ払ってきて、なんでも美味しく感じるモードに入ってきてしまいました(笑)。 他にも、すき焼き、うなぎの蒲焼、かまぼこ、タケノコ煮などが入っています。そうこうしているうちに2本とも空になり、お弁当もすっかり空になりました。これで1,500円(税込)は安い!もしこのページをご覧になっている駅弁業者の方がいたら、ぜひともお酒入りの駅弁を販売してください。よろしくお願いします!さて次回は、松江、ひいては出雲の国と日本酒の関わりについて紐解いてみたいと思います。意外や意外、日本酒のルーツは出雲にあり!?
駅弁に秘められた3つの“日本一”~名古屋駅・抹茶ひつまぶし 日本一弁当【後編】
1個で3度美味しい駅弁「抹茶ひつまぶし 日本一弁当」。なぜゆえに“日本一”を語るのかと申しますと、この駅弁に3つの“日本一”な食材が入っているからなのです!
まず1つ目。これは主役たるうなぎそのものです。このうなぎは「三河一色産」。愛知県幡豆郡一色町は、昭和58年以来、うなぎの市町村別生産量が日本一!全国の約1/4を占めるほどの「うなぎの街」です。 この地で養殖が始まったのは明治の頃。もともと養蚕業がさかんな土地柄ゆえ、うなぎの餌となる蚕のさなぎが入手しやすいことも、うなぎ養殖が発展した理由のひとつといわれています。その後、さまざまな技術改革がなされ、さらなる発展を遂げて現在に至ります。 そして2つ目。それは「抹茶」です。抹茶とは、収穫前に日光から遮った茶葉を蒸して乾燥させてできる「碾茶(てんちゃ)」を粉末状にしたもの。 駅弁に付属していた抹茶は、「三河の小京都」といわれる西尾市が産地。西尾市は抹茶の生産量が日本一なんです。全国の約20%のシェアを誇ります。抹茶というからには京都界隈が生産地と思いきや、ですね。ちなみに「茶摘み」の時期は短期間に集中しているため、この時期は市内の学生達も学校行事の一環として茶摘みに参加しているとのこと。市民総出で「抹茶日本一」を支えているというわけです。 そしてもうひとつの「日本一」が、付け合せとして添えられていた守口漬。これは「守口大根」を酒粕で2年ほど、漬け替えしながら作られるお漬物です。細長くてゴボウのようにヒョロリとした守口大根は、その長さが日本一、いや世界一とさえ言われています。通常は直径が3センチ程度で、長さは1メートル20センチほど。ときおり1メートル80センチくらい長いものも出るとか!知らない人がみると「うわっ!白ヘビだッ!」とびっくりするかもしれません。漬物になると琥珀のような美しい色合いとなります。よくお土産屋さんなどでは、丸い容器にぐるぐる巻きにした状態で売られていますよね。 大根が長くなるには、「柔らかい土壌が深くまで続いている」ことが大切。その条件を満たしているのが、愛知県丹羽郡の扶桑町。土地が「砂質」ゆえ栽培に適していて、さらに今では深く耕せる機械を使って土をならしているそうです。長さゆえ、掘り起こすのも昔は「手掘り」ゆえかなり大変だったそうですが、現在では機械で掘れるようになったとのこと。
かようにして、駅弁「抹茶ひつまぶし 日本一弁当」には3つの“日本一”が使われていました。名古屋へ立ち寄る際にはぜひご賞味ください。
1個で三度美味しいひつまぶし!抹茶ひつまぶし 日本一弁当【前編】
ご当地グルメの多さでは日本随一といえる名古屋。以前当コーナーで駅弁、「びっくりみそかつ」を取り上げましたが、今回は名古屋名物の駅弁第二弾の登場!「抹茶ひつまぶし 日本一弁当」です。
うなぎの蒲焼を細かく刻んでご飯の上に載せる「ひつまぶし」。関西では鰻丼のことを「まむし」と呼んだりすることから「ひつまむし」と呼ばれることもあります。さて、駅弁のパッケージは、なんとも高級品漂う装い。封を開けると容器の内側は金屏風のように光ってます!なんてんの葉っぱもあしらってあり、なんだか尾張の殿様になったようで「苦しゅうない、世は満足じゃ」といった気分。 駅弁の中には「名古屋流の食し方」なる説明書き。まず一膳目は「そのまま」食べます。一口食べてみると、うーむ柔らか!タレも辛すぎず、個人的には好みの塩梅です。うなぎが細かく刻んであるため、通常の蒲焼のようにかぶりつく必要がない。それゆえ上品な感じも漂いますね。 そして二膳目。付属しているわさび、刻みのりを載せて食べます。うなぎには山椒がまぶしてありますが、わさびと山椒って良く合いますよね。お互い主張が激しいのに、お互いの良さを消しあうことがない。鼻につんと抜けるわさびの香りと、そのあとにやってくる山椒の香り。うーむ、よく出来ています。
三膳目は、お茶碗にひつまぶしをよそって、付属している抹茶とわさび、のりをかけて、お茶を注いでお茶漬けに。お茶の風味が加わって、まさに香りのアンサンブルが実現します。さっぱりさらさらと流し込むお茶漬けにすると、味わいが一膳目や二膳目と微妙に変わって良いものです。ご飯は白米ではなく、うるち米ともち米とタレを混ぜ合わせた「味ご飯」になっているので、お茶漬けにするとご飯の旨味がお茶にじんわり染み出てくるところも堪りません! かようにして、3度に分けて別々の食べ方をするのが名古屋流。ちなみに筆者は9回に分けて、それぞれの食べ方を3回づつ味わいました。普段は大口を開けてガバガバと食べ尽くす主義なんですが、やはり上品に仕上げられていますので、小分けにして食べることに抵抗がないんですよね。小分けにすればするほど満腹感も得られる気がします。
そうそう、忘れてはならないのが、付け合せの守口大根の漬物。奈良漬ほどではありませんが、ほんのりお酒の香りをまとっていて、ひつまぶしと良く合います。そして極めつけが、うなぎの肝焼き。こちらは濃厚!濃い!肝特有のわずかな苦味が食欲に火をつけますね。 ところで皆さんも疑問を感じていると思いますが、なぜ駅弁名が「日本一弁当」なのか?この日本一たるゆえんは、次回の当コーナーでお伝えいたします!
次にブレークする宮崎名産品はコレだ!~宮崎駅・元祖 椎茸めし【後編】
宮崎県といえば東国原知事の登場により、名産品が次々とメディアで紹介されるようになりました。地鶏、日向夏、そしてマンゴー。特にマンゴーは、今年の初競りで2個20万円の最高値をつけた「太陽のタマゴ」など、最高級ブランドの地位を得たものもあります。
そんな中であまり目立ってはいないものの、椎茸も宮崎県のれっきとした特産品です。干し椎茸の生産量は大分県に次いで全国第2位。宮崎県の各地で椎茸栽培が行なわれています。椎茸の栽培にかかせないクヌギの木をはじめとした森林の豊かさと、温暖な気候が良質な椎茸を育むというわけです。 椎茸の食文化は古く、鎌倉時代には日本産椎茸が中国へ輸出されているほどです。人工的に栽培されるようになったのは江戸時代に入ってからといわれています。当初はクヌギの木を伐採し、ナタで傷をつけて放置しておき、そこに椎茸の胞子が自然に入り込むのを待つ「ナタ目栽培」を行なっていました。こうした栽培を最初に始めたのはどこか?一説には大分とも伊豆ともいわれています。その後、人の手で胞子を着床させる技術などが発明され、従来の「運を天に任せる」方法から、大量生産が可能な生産スタイルに移り変わっていきました。今では全国各地で椎茸栽培が行なわれています。 少し話を元に戻しましょう。先日、テレビに東国原知事が出演していて、宮崎県の椎茸を紹介するVTRが流れました。そこで紹介されたのは、椎茸の中でも「香菇(こうこ)」と呼ばれるものです。
まず椎茸は、“採れる時期”によって春子(はるこ)、藤子(ふじこ)、秋子(あきこ)、寒子(かんこ)などと呼ばれます。そして“どの生育段階で採ったか”によっても呼び名が変わり、椎茸の傘が開かないうちに収穫した肉厚のものを「冬菇(どんこ)」、「冬菇」より若干遅めの収穫をした大型のものを「香菇」、さらに収穫時期を遅らせて傘が開いた状態のものを「香信(こうしん)」と呼びます。一般的に、肉厚なボリュームを楽しむ料理には冬菇が、香り高いダシを取るときは香信がよく用いられます。一方、テレビで紹介されていた「香菇」は希少価値が高く、椎茸の中ではかなりの高級品と見なされているんです。もしかすると、今後「宮崎の香菇」は大ブレークするかもしれませんよ!
宮崎に旅行した際には、チキン南蛮や冷や汁、宮崎牛など名物料理を楽しみつつ、椎茸も忘れずに味わってみてはいかがでしょう。
昭和28年デビューのロングセラー駅弁~宮崎駅・元祖 椎茸めし【前編】
昨今の駅弁は1000円台が主流。名産品を取り入れて創意工夫を凝らしているものが多く、さらに買う側も、せっかくの旅路だしケチケチしてもしょうがない!という気分が高まることもあり、1000円台は「妥当なライン」と見なされていると思います。
ただ、良心的なお値段で、現地の名産物を取り入れた駅弁もたまにみかけます。今回ご紹介する「元祖 椎茸めし」もそのひとつ。2009年6月現在、720円で頑張っています。これで味がよければ言うこと無し!さっそく食べてみました。 正直、食べる前に感じていたのは「果たして椎茸が弁当の主役を張れるのだろうか・・・」という疑問。きのこがおかずとして入っている駅弁は多々ありますが、駅弁名になるほど主役を張っているといえば、北海道・北見駅の『しめじ弁当』、新潟県・長岡駅の『まいたけ弁当』くらいしかパッと思いつきません。 しかし!一口食べてみて、そんな不安は取り越し苦労だったことに気づかされました。みるからに肉厚で、味がしっかり染みた椎茸。うっとりするくらい美味いんですよ。刺身のように舌触りは滑らか。ダシの味と椎茸の味がケンカせずにお互いを引き立て合っています。宮崎名産の干し椎茸を水に戻し、そこからじっくりと味をつけているので、濃厚な味わいが後を引く。メインディッシュになるだけのことはあります! この椎茸、そして玉子と鶏そぼろで「三色」をなしている椎茸めし。鶏そぼろは甘すぎず辛すぎず、ご飯を食べ進めるのにちょうどよい味わい。ちなみにご飯は鶏ガラスープで炊き上げています。 その他の脇役もなかなかの「やり手」です。みずみずしさを保ったフキと高野豆腐が、ほどよく口を湿らせてくれます。その他、ミートボールにダシ巻き玉子、かまぼこ、タケノコ、つぼ漬けとおかずは実に豊富。ご飯が足りなくなるくらいでした。ちょっと残念だなぁと思ったのは、デザートのリンゴが高野豆腐と隣り合わせになっていて、高野豆腐にリンゴの味がちょっと移ってしまっている点(笑)。まぁご愛嬌ですな。
というわけで今回も満足!「元祖 椎茸めし」は昭和28年にデビューした、ロングセラー駅弁です。今なお人気を誇るのは、味付けの絶妙さと、宮崎県が誇る名産品、椎茸そのもののパワーといえるでしょう。次回は宮崎の椎茸のヒミツにクローズアップしてみたいと思います。
秋田~青森、初夏のおすすめスポット - 秋田駅・白神鶏わっぱ【後編】
秋田駅で駅弁「白神鶏わっぱ」を購入。そして「リゾートしらかみ」に乗って、いざ青森方面へ。奥羽本線、五能線沿線には、見どころが実に豊富です。そこで今回は、これからの季節に相応しい「途中下車したい観光スポット」をご紹介しましょう。まずは、奥羽本線の森岳駅。初夏、清涼な水をたたえる沼や池、その水面が緑に覆われます。そう、同駅弁のおかずにもなっている「じゅんさい」の一大産地なんです。 じゅんさいは、池沼で育つ水草。万葉集にも登場するほど歴史は古く、酢の物や天ぷら、味噌汁や吸い物の具など、重宝されてきました。ぬめりのある粘膜に覆われていて、喉越しはつるりと爽やか。夏の味覚「ところてん」のような感覚ですね。冷やして食べると、夏が来たことをまざまざと感じる「食の風物詩」です。 そのじゅんさいを摘む風景も、初夏の風物詩として知られています。小さな箱型の舟に乗り、長い竿を操りながら沼を行き来して、じゅんさいを摘む人々。いつまでも残したい、のんびりとしたふるさとの風景です。 そんなじゅんさい摘み採りを体験することができます。森岳駅のある秋田県山本郡三種町では、グリーンツーリズムとして「やまもと百姓大学 」を開講中。地元の農家の皆さんが、じゅんさいの摘み採りをレクチャーしてくれます。もちろん、摘み採ったじゅんさいは持ち帰ることが可能。他にもそば打ち、がっこ(漬物)作り、お菓子や野菜作り・収穫体験なども随時実施中です。美しい自然を眺めるだけでなく、地元の人たちと温かい交流ができる旅としておすすめです。 次のおすすめ途中下車スポットは、能代駅。日本最大規模の松林「風の松原 」の最寄り駅です。なんと、東京ドーム163個分の広さを誇り、「森林浴の森 日本100選」「日本の音風景100選」「かおり風景100選」などにも選出されている名所です。 そこから先も、おすすめポイントが満載。白神山地が見渡せる「二ツ森」にはあきた白神駅、時間帯によって鮮烈な青色を発する「青池」には十二湖駅、白神山地の雰囲気を手軽に体験できる「ミニ白神」には鯵ヶ沢駅、6月の花、ニッコウキスゲが一面に広がる「ベンセ湿原」には木造駅、樹齢約400年を誇るブナの巨木「マザーツリー」には弘前駅でそれぞれ下車しましょう。初夏の東北の旅を、こころゆくまで楽しんでみてはいかが?
白神山地を眺めつつ比内地鶏を食べる! - 秋田駅・白神鶏わっぱ【前編】
人の手が加えられていない、ありのままの原生林が広がる白神山地。世界遺産に登録されてからは多くの観光客が訪れるようになりましたが、それに伴い、ローカル線として名を馳せる五能線など、この地域を走る鉄道もにわかに注目を集めるようになりました。今回は、そんな白神・秋田の味覚をギュッと閉じ込めた駅弁「白神鶏わっぱ」を食べてみます。パッケージには、美しい白神山地の写真と、秋田駅~弘前駅・青森駅間を奥羽本線、五能線経由で走る臨時快速列車「リゾートしらかみ(くまげら編成)」の写真。胸のすくような青空と美しい自然が旅情を盛り立ててくれます。それでは封を開けて、いざご対面。地味になりがちな茶色系のおかずが中心なんですが、いやいやどうして賑やかじゃないですか。素朴でありながら「ごちそう」っぽさも備えているような、そんな感じ。 炊き込みご飯は、あきたこまちを秋田比内地鶏ガラスープとミネラル豊富な「白神の塩」で炊き上げてあります。うーむ、うまい!あっさりとした味わいながらも、鶏の旨味がじんわりとしみこんでいますね。さらに追い討ちをかけるように比内地鶏肉煮をかきこむと・・・至福の時。比内地鶏は胡麻そぼろと和えたものもあり、こちらも美味いの一言です。胡麻の量が多めなので、その香りが鼻をくすぐってさらに腹が減る! ご飯の上には鶏肉煮以外にもおかずがどっさり。舞茸は瑞々しくてしっとり。食べてしばらくは、良い香りが口の中に残ります。そして、あわび茸。これは初めて食べましたが、口に入れた瞬間に笑ってしまうほど、食感があわびそのものです。 そして、とんぶり。「畑のキャビア」の異名を持つ秋田の名産品です。もうちょっとプチプチしているかなと思いましたが、それほどでもない感じ。その一方で、しじみの佃煮の味付けが濃いめなので、あっさりしたとんぶりは駅弁のバランスを取っていると思います。 つけあわせも名産品のオンパレード。秋田名物、ハタハタのうま煮。これだけでご飯一膳いけますね・・・。そして大根と人参の漬物。この地域でいうところの「がっこ」ですね。 いぶされた燻製の味がして、脳裏にひなびた囲炉裏端が広がります。ああ、東北へ来たんだなぁと実感できる味です。そして、これも名産品のじゅんさい。湯葉のような口当たりで、駅弁のおかずの中で唯一の酢の物。ホッと一息つけます。これだけ数多くの名産品をひとつの駅弁に盛り込み、それぞれのおかず同士がうまく調和している駅弁は、あんまりないですね。ズバリ、おすすめです! さて、次回は白神山地や五能線のおすすめ観光スポットをご紹介してみたいと思います。この駅弁のおかずのうち、収穫体験ができるものもありますよ~。
鴨料理の伝統を守る湖北-米原駅・湖北のおはなし【後編】
鴨も例外ではありません。晩秋になると大陸から飛来してくる真鴨、その味に魅了された人は多く、鴨が飛来してくる土地ではさまざまな料理が生まれました。有名どころですと、石川の治部煮、新潟の鴨汁、島根県は宍道湖の鴨の貝焼きなどがあります。琵琶湖に鴨が飛来する湖北地方も、鴨すきや鴨鍋などの食文化が古くからあり、今でも冬場になると鴨料理目当ての観光客がはるばる訪れるほどです。とりわけ鴨すきは、単に鴨肉だけでなく、鴨の骨をたたいてミンチのお団子状にした「たたき」も食べるのが、この地方の伝統的な食べ方。ぜひとも味わってみたいですよね。 ただし現在、琵琶湖は禁猟区となっています。そのため天然に近いかたちで養殖(飼育)した鴨や、他の地域で獲れた天然の鴨を用いたりして、郷土の食文化を守っています。 ではここで、ちょっと雑学。天然の真鴨のオスは頭部が緑色などで「青くび」とも言われています。その真鴨から人工的に生まれたのが「家鴨(あひる)」。家鴨と真鴨を掛け合わせて生まれたのが「合鴨」です。
そんな湖北の鴨とともに、晩秋から冬にかけての風物詩といえるのが「赤かぶら」。赤い色をしたカブです。滋賀県はカブの一大名産地。古くから漬物などに加工され、京都の貴族達にも親しまれていました。駅弁「湖北のおはなし」のお膝元、米原市や琵琶湖西部、いわゆる「湖西」地方などでは、晩秋から初冬にかけて、赤かぶらを竹を組んだ「ハサ」と呼ばれる木枠に干して、天日と風にさらします。赤い色彩がズラリと並ぶその姿は、まさにこの地域ならではの風物詩。一見の価値があります。 地域の名産を品よく散りばめた駅弁「湖北のおはなし」。機会があればぜひ、その味覚を楽しんでみてください。
おばあちゃんの温もりを駅弁に-米原駅・湖北のおはなし【前編】
滋賀県で東海道新幹線が停車する駅といえば、米原(まいばら)。米原市をはじめ、長浜市、東浅井郡、伊香郡、つまり琵琶湖の北に位置するこの一帯のことを「湖北」といいます。今回ご紹介する駅弁は、米原駅の「湖北のおはなし」です。
駅弁に同封されている紙には、こんな一節があります。「きびしくてながい湖北の冬です。まちから帰ってきたお嫁さんや孫のために、おばあちゃんがそっともたせてくれたのが、このお弁当です」。風呂敷を思わせる唐草模様の包装紙。ドロボーじゃありません、「おばあちゃんが持たせてくれた」お弁当です! 包装紙を開けると、葦(よし)で編まれたお弁当箱が出てきました。琵琶湖、とりわけ湖北には葦の群生地があります。湖北らしい演出ですね。そして封を開けると、色鮮やかで品よく敷き詰められたおかず、そして黒豆入りのおこわが目に飛び込んできました。いやーほんとに美しいですね。 おこわは、抗菌シートで包まれています。一見すると情緒がないように思われるかもしれませんが、木と葦で出来た容器ゆえの措置だと思います。しかし、このシートに包まれていたせいで、開けたとたんにイイ匂いがフワーッと立ち上がるんですよ。ん?この匂いは・・・と思って食べ進めてみると、やはりそうでした。ご飯の下に桜の葉っぱが敷いてあります。おこわにほんのりと桜の葉の香り、そしてほのかな塩味がきいています。これは上品。 ちなみに、黒豆は冬期限定です。春は山菜、夏は枝豆、秋は栗が炊き込まれるとのこと。すべての季節の「湖北のおはなし」を食べてみたくなります! そしておかず。お弁当の色彩のアクセントになっている赤かぶらの酢漬け。これは濃厚な味わいでおこわとよく合います。煮豆には甘辛のじゃこがまぶしてあり、丁寧な仕事ぶりに改めて感服。十五夜にお供えする小芋丸煮はまんまるで美しく、やわらかい。玉子焼きはふんわりふわふわ。鶏肉は鍬焼き風の味噌風味。こんにゃくは、古くから近江の永源寺の禅僧達が食べていた地域名産品。甘辛く田舎風に炊き込んであります。
そして湖北といえばやっぱり鴨!古くから鴨すきや鴨鍋などの鴨料理がこの地の名物です。粒こしょうでローストしてあって、ほどよく脂が乗っていました。粒こしょうがまた食欲を煽る煽る!洋食の食材として使われるヤングコーンも和風の味付けがしてあって、美味しかったです。その他、しいたけに梅干し、ねぎとお揚げのぬた、菊の菜、ごぼうなど、おかずには事欠きません。ということで、いろいろなおかずが楽しめる「幕の内」駅弁派の筆者としては、大満足の駅弁でした!次回は湖北の名産「鴨」と「赤かぶら」に迫ってみたいと思います。
年貢米の代わりに丹波栗 園部駅・丹波名産 栗めし【後編】
日本人は古くから、栗と接してきました。青森県の三内丸山(さんないまるやま)遺跡から出土した栗をDNA鑑定してみたところ、野生種ではなく栽培種の可能性が高いことが判明。栽培していたとなると、稲作が登場する以前の、貴重な炭水化物として食べられてきたのではないかといわれています。茹でたのちに天日で干して作る「かち栗」は保存も効き、「かち栗=勝ち栗」という縁起の良さもあるため、「兵糧」としても重宝されてきました。 丹波の栗の歴史も古く、「日本書紀」「古事記」などにも登場し、丹波の栗に倣って全国に栗栽培を奨励した記述もあるほどです。また、稲作がままならない地域では、果実や黒糖、火薬の原料となる塩硝(えんしょう)などが年貢米の代わりとして納められていたといいますが、丹波の場合、栗や黒豆で納められていたそうです。また、これら名産品は、京を中心とした和菓子文化の発展にも一役買っています。大粒で甘味があり、香しい丹波の栗は、さまざまな和菓子を生み出しました。 駅弁「丹波名産 栗めし」は、そんな栗の素晴らしさを全国に伝えるお弁当。ちなみに園部駅では「丹波名産 栗めし」の他、丹波名物の「鮎寿し」や、丹波牛のしぐれ煮などを使った「幕の内弁当」も売られていますが、もうひとつ、これらの駅弁同様「淡路屋」さんが作る「幻の駅弁」があります。それが「松茸めし」です。しかしながら丹波松茸が不作の年は、一切売店に並びません。日本一との呼び声も高い丹波松茸ですから、1本5000円くらいはザラ。当然、駅弁の値段も跳ね上がってしまうわけです。
ただ、昨今の駅弁ブームによって、高級食材を取り入れた高値の駅弁も出現していますので、予約販売制で導入するのはアリかもしれませんね。 京都から嵯峨嵐山、亀岡、園部と続く山陰本線沿線には紅葉の名所が多く、秋は多くの観光客が訪れますが、新緑の季節も清々しくてオススメです。園部町の南西部に広がる「るり渓」は春のハイキングにも最適。ぜひとも訪れてみてはいかがでしょう。駅弁「丹波名産 栗めし」も、ぜひ味わってみてくださいね。
飯の塩味が栗の甘味を引き立てる!園部駅・丹波名産 栗めし【前編】
京都府の中部を中心とした地域は、かつて「丹波国」と呼ばれていました。丹波牛や丹波松茸、丹波黒大豆など、全国区の知名度を誇る名産品が多々ありますが、「丹波栗」もそのひとつ。今回は、京都から福知山方面に伸びる山陰本線の園部駅で売られている駅弁「丹波名産 栗めし」をいただいてみました。栗をあしらったシンプルな包み紙を解くと、今では珍しくなった経木の弁当箱。しかも「栗」のカタチをしています。これだけでちょっと心が和みますよね。そしてご飯の中には当然ながら栗!京丹波町ないし福知山で採れた丹波栗です。 まずは栗だけちょっとかじってみますと、なるほど、名にしおう味!口に広がる濃厚な旨味と甘さ。さらにご飯には塩っ気があるので、余計に甘さが引き立っている感覚。といっても、「甘すぎない」ところが個人的には好きです。酒飲みだからでしょうか、サツマイモなどもそうですが、どうも個人的に「甘いもの」と「ご飯」は合わない気がします。そんな自分にうってつけの味でした。 ざっくりと剥かれた栗の見た目もいいですね。手で剥いているため微妙に渋皮が残っていますが、もちろん渋味はありません。「ゴロッ」と無骨に入っているところが、かえって贅沢な気がします。ほこほこしていて火の通り加減も素晴らしい。 栗ご飯だけでも全然食べ進められるんですが、おかずも素朴ながら気が利いています。昆布の佃煮はつややかでしっとり。ゴボウの煮物はどの駅弁にも入っている定番おかずですが、同駅弁のものは後味が特徴的。京都ならではの上品なダシの味が、飲み込んだあとにフワリと一瞬口の中に広がります。関東以北ですと醤油と砂糖の味つけが際立ちすぎている場合も多いんですが、こんな上品な味付けもいいものですね。 鶏肉煮はふやけた感じがせず、硬めに仕上げてあります。ちょっとかじってご飯をかきこむには最適です。さらに手作り感あふれるダシ巻き玉子、そして揚げ豆腐も美味しかった!
揚げ豆腐にはひじき、豆、にんじん、たけのこ、玉ねぎ、魚のすり身が入っています。それぞれの素材が喧嘩していないのに、しっかり揚がっていて味が濃いところがポイント。さすが豆腐文化を育んだ京都。「野菜」ではなく「肉」のようです。他のおかずや栗めしがサッパリとしているので、駅弁のバランスとしてちょうどよいのではないでしょうか。季節外れではありますが、駅弁「丹波名産 栗めし」、美味しくいただきました。満足度、高いです。さて次回は、丹波栗のウンチクをお届けいたします!
キャベツなしが福井流!福井が一番 ソースカツ丼【後編】
県内に多くの支店を構える「ヨーロッパ軒」さんのホームページによると、同店創業者の高畠増太郎氏が明治45年、ドイツ・ベルリンでの6年間の料理留学を終えて帰国。ドイツ仕込みの「ウスターソース」を活かした料理を考案する過程でソースカツ丼が生まれたといいます。大正2年、東京で開催された料理発表会でソースカツ丼を披露し、早稲田に構えた自分の店で売り出していたとのこと。いわゆる「卵とじ」のカツ丼が現れたのは大正10年といわれていますので、それよりも前にソースカツ丼が存在していたことになります。 福井の駅弁といえば「越前ちゅんちゅんかにめし」や「越前かにめし」など、ご当地名産の越前がにを扱ったものが“王道”といえますが、最近は、いわゆる「ご当地B級グルメ」の普及により「福井といえばソースカツ丼」といった認識も広まりつつあります。そこでこの駅弁が登場し、人気を博しています。 製造元の番匠本店さんは、他にも「ソースカツ棒」なる駅弁も作っています。これはスナック感覚で食べられるよう、ソース味のご飯を棒状にして、表面に豚肉とシソの葉を巻いたもの。昼ごはんはさっき食べたばかり・・・といった方でも、これならおやつ感覚で食べられますね。
ちなみに、ソースカツ丼をご当地名産グルメとして推しているところは福井の他にもいくつかあります。長野県駒ヶ根でも「カツ丼」といえば「ソースのかかったカツ丼」のこと。昭和初期より広まり、現在では市内の40店以上で食べることができます。福島県の会津若松も、早くからソースカツ丼が広まった地。こちらは「キャベツ」がカツの下に敷いてあるスタイルです。群馬県の桐生や山梨の甲府あたりも「カツ丼といえばソースカツ丼」の土地柄です。 では、これら「ソースカツ丼が主流」な土地で、「卵とじ」のカツ丼を食べたい場合はどうすればいいか?土地によって異なりますが「煮カツ丼」「卵カツ丼」などと呼ばれているそうです。でもせっかく「ソースカツ丼が主流の地」を訪れたからには、そちらを食べてみたいですよね。福井へ旅行した際には、ぜひとも“元祖”の味を堪能してみてください。
キャベツなしが福井流!福井が一番 ソースカツ丼【後編】
福井県は、「ソースカツ丼」の発祥地といわれています。駅弁名にある「福井が一番」にも、「一番先に生まれた」という意味合いが含まれていそうです。県内に多くの支店を構える「ヨーロッパ軒」さんのホームページによると、同店創業者の高畠増太郎氏が明治45年、ドイツ・ベルリンでの6年間の料理留学を終えて帰国。ドイツ仕込みの「ウスターソース」を活かした料理を考案する過程でソースカツ丼が生まれたといいます。大正2年、東京で開催された料理発表会でソースカツ丼を披露し、早稲田に構えた自分の店で売り出していたとのこと。いわゆる「卵とじ」のカツ丼が現れたのは大正10年といわれていますので、それよりも前にソースカツ丼が存在していたことになります。 福井の駅弁といえば「越前ちゅんちゅんかにめし」や「越前かにめし」など、ご当地名産の越前がにを扱ったものが“王道”といえますが、最近は、いわゆる「ご当地B級グルメ」の普及により「福井といえばソースカツ丼」といった認識も広まりつつあります。そこでこの駅弁が登場し、人気を博しています。 製造元の番匠本店さんは、他にも「ソースカツ棒」なる駅弁も作っています。これはスナック感覚で食べられるよう、ソース味のご飯を棒状にして、表面に豚肉とシソの葉を巻いたもの。昼ごはんはさっき食べたばかり・・・といった方でも、これならおやつ感覚で食べられますね。
ちなみに、ソースカツ丼をご当地名産グルメとして推しているところは福井の他にもいくつかあります。長野県駒ヶ根でも「カツ丼」といえば「ソースのかかったカツ丼」のこと。昭和初期より広まり、現在では市内の40店以上で食べることができます。福島県の会津若松も、早くからソースカツ丼が広まった地。こちらは「キャベツ」がカツの下に敷いてあるスタイルです。群馬県の桐生や山梨の甲府あたりも「カツ丼といえばソースカツ丼」の土地柄です。では、これら「ソースカツ丼が主流」な土地で、「卵とじ」のカツ丼を食べたい場合はどうすればいいか?土地によって異なりますが「煮カツ丼」「卵カツ丼」などと呼ばれているそうです。でもせっかく「ソースカツ丼が主流の地」を訪れたからには、そちらを食べてみたいですよね。福井へ旅行した際には、ぜひとも“元祖”の味を堪能してみてください。
しっとりソースカツ丼が美味い! 福井が一番 ソースカツ丼【前編】
関西で「きつね」といえば「きつねうどん」が当たり前。しかし関東で「きつねちょうだい!」と蕎麦屋で言ったとしたら「そばですか?うどんですか?」と必ず聞かれることでしょう。同じ名前であっても、地域によって「常識」が異なることが多々あります。
「カツ丼」もそのひとつ。「カツ丼」といえば、揚げた豚カツをダシの効いた「卵とじ」にして丼の上に載せる・・・というイメージが浸透していますが、福井県などでは、卵でとじない「ソースカツ丼」が一般的のようです。今回は、福井駅の駅弁「福井が一番 ソースカツ丼」を食べてみました。冷めてしまうと味が落ちてしまいがちな「揚げ物」。駅弁において「揚げ物を美味しく食べてもらう」ようにするには、さまざまな工夫が必要といえます。この駅弁の場合、まず最初の工夫は「加熱式」にすること。封を開けない状態で紐を引っ張るとシューッと湯気が出て、8分ほどするとホカホカになります。 ふんわりとソースの香りが立ち込めてきたところで、いざ封を開けてご対面。おお、思ったより見た目が「茶色」だ。これぞ、福井のソースカツ丼。ソースカツ丼というと、ソースの「黒」やキャベツの「きみどり」の色合いもあるかと思っていたので、ちょっと意外。 カツは2枚。「薄く大きい」のが特徴ですね。一口食べてみると、なるほど、「甘辛」具合が絶妙でクセになる味。ソースの甘味と酸味が程よくて、ご飯が進みます。食感もGOOD。サクッと揚げたカツをそのまま飯の上に乗せてあるのではなく、ソースがじんわりと衣に沁みこんでいます。いうなれば「みぞれ煮」の食感に似ていて、美味い。カツには適度な歯ごたえがありますが、「みぞれ風」の食感に仕上がっているだけに、バランスがいいなと思いました。
おそらく「サクッと揚げたカツをそのまま飯の上に乗せる」スタイルのソースカツ丼ですと、加熱式駅弁の水蒸気で生じる「水っ気」で衣がフニャフニャになり、台無しになってしまうことでしょう。しかし「福井流」のソースカツ丼の場合は、もともとソースがよく沁みこんでいるものなので、その心配がない。「加熱式」との相性が良い料理なんですね。付け合わせの紅しょうがとの相性も抜群でした。惜しむらくは、ちょっとご飯が少ないこと。しかし裏を返せば、小食な方や女性には良さそうです。旅路で食べるなら駅弁以外にも美味しいご当地名産を食べたいですもんね。駅弁は「腹八分」が基本です! さて次回は、なぜ福井で「ソースカツ丼」なのか、そのルーツを紐解いてみたいと思います。
トンバイ塀が連なる有田の街を行く 有田駅・有田焼カレー【後編】
JR佐世保線で有田駅~上有田駅間を走る際、車窓からは煙を上げる煙突がいくつもみえます。これは磁器窯の煙突。有田は歴史ある磁器の街です。有田の泉山で見つかった白磁鉱で、江戸時代初期に日本初の磁器「有田焼」が作られました。ヨーロッパの王族も欲しがるほど輸出品として尊ばれてきましたが、その船便の拠点となったのが伊万里港。それゆえ、この港から積み出される有田焼や波佐見焼(はさみやき)、三川内焼(みかわちやき)などは、総称して「伊万里焼」と呼ばれるようになりました。 現在、泉山磁石場で採掘はほとんど行なわれていませんが、切り崩された山の奇観は今でも見ることができます。他にも、白磁鉱を最初に発見した李参平を祀った陶山神社や、山の斜面を利用した天狗谷窯跡、有田焼を扱う店が軒を連ねる世界最大規模の有田焼ショッピングモール「有田陶磁の里プラザ」、柿右衛門様式や古伊万里様式など、美術品として価値の高い一品が揃う「有田陶磁美術館」など、有田焼にまつわる観光スポットが街のあちこちにあります。 有田町が賑わいをみせるのは4月末からゴールデンウィークにかけて。有田焼の店などが約600軒ほど並ぶ 有田陶器市 が開かれます。有田駅前やきもの散歩道、皿山通り、トンバイ塀通りなど、有田駅から上有田駅までの間が賑わいの中心。とりわけ、登り窯を解体した後の耐火レンガ(トンバイ)などで塗り固めて作った「トンバイ塀」が連なるトンバイ塀通りは風情満点です。
駅弁「有田焼カレー」の容器も、もちろん有田焼製。温めて食べたほうが美味しい駅弁だけに(冷めたカレーも、それはそれで美味しいですが・・・)、買ってそのままお土産として持ち帰るのもひとつの手ですよね。ちなみに「創ギャラリーおおた」さんの有田焼カレーは今年東京進出を果たし、中目黒のカフェ「アンティロミィ」でも食べることができます。カレー駅弁「有田焼カレー」、機会があればぜひ味わってみてください。
日本初の「カレー」駅弁~有田駅・有田焼カレー【前編】
日本人のハートをガッチリとキャッチした洋食といえば、カレーライス。西洋から入ってきたカレーに小麦粉を加えたりして、日本独自のカレー文化がこれまで培われてきました。いわゆる家庭で作るカレーライスから派生して、現在ではさまざまなカレーが登場しています。北の大地、北海道では、スープ状のルーを使った「スープカレー」が台頭。かたや九州では、発祥地といわれる北九州の門司港を中心に、オーブンで焼き上げる「焼きカレー」が人気を博しています。今回は、佐賀県有田駅の駅弁「有田焼カレー」を食べてみました。 駅弁名にある「焼」の一文字は、ご当地の磁器として有名な有田焼の「焼」でもあり、焼きカレーの「焼」でもあります。器は、シンプルで美しい有田焼の磁器製。もちろん、食べた後は器として利用できます(現在、我が家でもラーメンや丼物の器としてフル稼働中)。 「焼カレー」というからには、アツアツの状態で食べたい、と思うのは至極当然。でも加熱式容器ではなく有田焼の磁器。そのため、駅で購入してすぐに食べる人には、レンジでチンしてくれます。うーむ、そんな駅弁、日本広しといえどもここだけではないでしょうか。そもそも、同駅弁を作った「創ギャラリーおおた」さんが駅前にあり、ここのカレーのファンだった有田駅の名物駅長、西田辰実氏が、駅弁として売り出そうと一念発起。「レンジでチン」のサービスも「美味しい状態で食べてもらいたい」という駅長の願いの現れかもしれません。
さて、肝心の味ですが、アツアツ状態のカレーから立ち上る香り、焦げた部分の風味、とろけたチーズが絶妙に絡み合って、間違いなく美味しい本格カレーでした!使用されているスパイスは28種類。とりわけコリアンダーシードが効いてるような気がしました。チーズと「焼き」のおかげか、スパイシーというよりもマイルドな味わい。あんまり辛いカレーは苦手なので、個人的にはちょうどよい按配で楽しめました。ルーは一週間ほど煮込んでいるそうです。さて次回は、世界に誇る磁器「有田焼」のルーツを辿ります!
6年間で217億円の経済効果!~富士宮駅・駅弁版 富士宮やきそば弁当【後編】
手軽で安くて庶民の味。気取ってなくて、どこか懐かしい。そんな「B級グルメ」、皆さんのお住まいの地域にもありませんか?「札幌ラーメン」などはもはや全国区ですが、その地域でしか知られていない、ローカル色豊かなご当地B級グルメは全国にたくさんあります。そんなグルメが年に一度集い、雌雄を決するイベントがあります。それが2006年から行なわれている「B-1グランプリ」。イベントに参加したお客さんは、それらB級グルメを食べることが可能な上、審査権があります。栄えある第1回、第2回のグランプリに輝いたのが「富士宮やきそば」でした。 もともと、富士宮周辺で「やきそば」といえば、「蒸し麺」でした。ご当地で製麺業を営むマルモ食品工業さんの創業者が、戦地で食したビーフンを再現しようとして誕生したとのこと。その蒸し麺やきそばとお好み焼きが、「洋食」としてご当地で持てはやされていました。関西圏にも「お好み焼き+やきそば」のB級グルメ「モダン焼き」がありますよね。やはり戦後まもなくは、ハイカラな料理だったんでしょう。 富士宮界隈には、現在でも多くのお好み焼き屋があります。かつてはメイン料理はお好み焼きで、やきそばは、いわば「その他のメニュー」として存在していましたが、今では人気が逆転している感があります。ブレイクのきっかけとなったのは2000年、地元の有志一同が集まり、「富士宮やきそば」を盛り立てるために「富士宮やきそば学会」を作ったことです。 以来、地道なPR活動や、3776人分のやきそばを振る舞うギネス挑戦企画の実施、秋田県横手市の「横手焼きそば」、群馬県太田市の「太田焼きそば」とともに「三国同麺協定」の締結、「富士宮やきそば」VS北九州市の「小倉焼きうどん」のバトル「天下分け麺の対決」など、次々に企画を展開。じわじわと知名度が上がり始め、先に述べた「B-1グランプリ」での連覇で一気に全国区に上りつめた、といえるでしょう。富士宮やきそばが食べたいがためにご当地へ足を運ぶ人も多くなりました。 富士宮やきそばがもたらした経済効果は、なんと6年間で217億円とのこと。ここで大切だなぁと思うのは、やきそば自体の美味しさはもちろんのこと、「三国同麺」「天下分け麺」といったように、ジョークを交えてアピールした点です。。 堅苦しさはなく「町おこしに必死」な感もなく、自ら楽しみながら普及させていく姿勢。富士宮やきそばのブレーク以来、全国各地でこぞってB級グルメを地域振興に活かす動きがみられていますが、やっぱり大事なのはジョーク!美味しくて「キャッチー」なものに、メディアも人も惹きつけられるんだなぁと強く感じます。現在は、東京駅~東名富士・富士宮駅・白糸の滝間を運行する高速バス「やきそばエクスプレス」も走っています。ぜひ「ご当地」の味を堪能しに出かけてみませんか?
濃厚!全国屈指のB級グルメ駅弁 富士宮駅・富士宮やきそば弁当【前編】
高級レストランで味わうような「本格的なグルメ」ではなく、手軽で安くて庶民の味方といえるグルメが「B級グルメ」のイメージではないでしょうか。ラーメンやカレーライスなども、いわば「B級グルメ」として親しまれています。最近では、そんな「B級グルメ」が「ご当地名物」になり、地域に多大な経済効果をもたらしている例もあります。その代表格が「富士宮やきそば」。今回食べてみたのは、「駅弁版 富士宮やきそば弁当」です。この駅弁を購入したのは、京王の駅弁大会です。通常、JR身延線富士宮駅で売られている「駅弁版 極 富士宮やきそば弁当」は加熱式駅弁ですが、今回のものは特別仕様。その場でジュージュー調理する「実演販売」でしたので、一般的なスチロール製の容器になっていて、その分お値段も“極”に比べて安め。中身も若干違っていました。 さて、富士宮やきそばですが、皆さん食べたこと、ありますか?濃い目の味付けとジャンクフードをこよなく愛する筆者からすれば、食べ終えた瞬間に「もう一個買っておけばよかった!」と思ったほどでした。 ソースは、おたふくソース的な濃厚さが備わった、ちょい辛なテイスト。麺は、一般的なやきそばに比べると太め。さらに、富士宮やきそばは、製麺の際に茹でる工程を取らない「蒸し麺」。それゆえなのでしょうか、程よいコシがあります。具も一般的なキャベツに加え、豚肉からラードを絞った後に残る「肉かす」が入っている点が特徴です。 そして、ご飯。えっ、ご飯?炭水化物のオカズが炭水化物は重いっ!と思うかもしれませんが、これが抵抗なくすんなりとお腹に収まるんです。その理由としては、ご飯にワサビ菜がちらしてあること。
香り高くさっぱり、すっきりとした味付けなので、濃い目の富士宮やきそばを食べるにあたって、「箸休め」の意味合いも兼ねている感覚です。なんとも不思議。その他、ご飯の上には、やわらかーく仕上がった「うなぎの蒲焼」が乗り、やきそばの上には風味豊かな削り節と、食感が楽しい桜海老の炒り煮。「B級グルメ」といえども、それぞれの素材と心意気は、間違いなく「A級」。そんなふうに感じた次第です! さて次回は、「富士宮やきそば」のルーツや特徴について、B級グルメブームの現状も交えつつ、さらに深く切り込んでいきたいと思います!
肉の柔らかさのヒミツとは? 赤ワインステーキ弁当【後編】
「鹿児島黒豚 赤ワインステーキ弁当」は、鹿児島県産黒豚を赤ワインソースに漬け込んで焼き上げたものがメインディッシュです。しかしながら、赤ワインの香りはほとんどしません。調理のどの過程でお酒を用いるかによって、「効き目」が変わってきます。フランス料理などで、調理の仕上げに使われる技法が「フランべ」。ブランデーなどのアルコール度数の高いお酒を振りかける調理法で、フライパンから豪快に炎が上がります。これによって生まれるのは「香り」。アルコールを飛ばし、香りだけ残す調理法です。 一方、同駅弁などのようにお酒を仕込み段階で使うと、臭みが消え、お肉本来の旨味が引き出されるといわれています。さらに特筆すべきは、火を通しても硬くなりにくく、柔らかく仕上がること。この場合、ブドウを原料としたワインなどの果実酒がオススメです。それは、果実には肉を柔らかくするタンパク質分解酵素が入っているから。パイナップル、パパイヤ、キウイなどもしかりです。ご自宅でも、調理する前に30分程度、それら果物のジュースなどにお肉を漬け込んでおいてもよいでしょう。ワインに関していえば、一般的に甘口よりも辛口で、牛や豚は赤ワイン、鶏肉は白ワインが良いとされています。 さて、同駅弁のデザートとして入っているのが「リンゴのコンポート」。コンポートとは、果物をシロップやお酒などで煮込んだもの。果物にはりんご以外にも梨、桃、いちじくなどがよく使われ、お酒はワインやラム酒などが用いられます。そのまま食べるのはもちろん、ヨーグルトやアイスと一緒に食べるのも美味しいですよ。 フランス料理、とりわけブルゴーニュ地方の郷土料理などでよく使われる赤ワインソースで仕込んだ黒豚。さらにフランスの伝統的なデザートとして知られるコンポート。前回、同駅弁は「豚、ライス、マスタード」の相性が抜群!と感想を述べましたが、デザートもフレンチの調理法を用いることで、「駅弁全体の相性」に一役買っていたんですね。細かいところまで良く練られた駅弁だなぁと思います。ああ、赤ワインを傾けながら食べたくなってきた!!皆さんも南国を旅する機会があれば、ぜひとも舌鼓を打ってみてください。駅弁は「洋風」でお腹を満たし、現地では薩摩料理を楽しむ・・・そんな旅がしてみたい!
「肉好き」が泣いて喜ぶ美味さ! 赤ワインステーキ弁当【前編】
肉が好きな人の中にも「牛肉派」「豚肉派」「鶏肉派」がいると思います。今回はとりわけ「豚肉派」の方にオススメしたい駅弁を食べてみました。鹿児島県出水駅の駅弁製造メーカー、松栄軒さんが作る「鹿児島黒豚 赤ワインステーキ弁当」です。単なる「豚」よりも「黒豚」と書かれたほうがグッと魅力的になる上に、「赤ワインステーキ」です。食いしん坊の脳髄にダイレクトに響く、素晴らしいネーミングだといわざるを得ません。 封を開けると、黄色いサフランライスの上に黒豚が敷き詰められています。使用されているのは出荷証明書付きの「鹿児島県産黒豚」。赤ワインソースに漬け込んで焼いてあります。パクリと一口食べてみると、ビックリするほどの柔らかさ!そして程よい甘辛さを伴った、濃厚な美味さ!多幸感に包まれるような味です。 そのままの勢いでサフランライスを食べてみると、これがまた相性抜群でした。正直、サフランライスは賑やかしの「彩り」担当かと思っていたのですが、こんなに豚肉との相性が良いとは・・・。香辛料が鼻をくすぐり、バターの香りがうっすら残る(脂っぽさは皆無)サフランライスと柔らかい黒豚。料理やワインの世界では、相性が良いことを「マリアージュ(結婚の意)」と言ったりしますが、まさにそんな感覚です。 さらに相性の良さを発揮するものがもうひとつ。マスタードです。いわゆるお弁当に入っている、ごく一般的なマスタードなのですが、豚肉との相性も、サフランライスとの相性も、文句なし。「これって特殊なマスタードなの!?」と思わずパッケージを見直してしまうほどです。豚肉とサフランライスの「マリアージュ(結婚)」をさらに素晴らしいものにする、ヤリ手の仲人のよう。なにしろ豚肉を食べずに「ライスにマスタードをつけて食べる」こと自体が美味いんですもの。そしてデザート。リンゴのコンポートです。正直、駅弁のデザートに期待を寄せることはあまりないのですが、これも美味かった。純然たるデザートとして楽しめました。 同駅弁を販売する松栄軒さんといえば、以前当コーナーで紹介した「かごんま黒ぶた弁当」のメーカーさんです。黒豚を知り尽くした上で、素材の良さを引き立たせる調理法を選んできたな、という印象を受けました。いやはや、素晴らしい。 黒豚の味噌漬けが絶品!JR出水駅・かごんま黒ぶた弁当【前編】 15代将軍徳川慶喜も首ったけ!!JR出水駅・かごんま黒ぶた弁当【後編】 さて次回は、肉料理における「赤ワイン」の使い方、お肉を柔らかくする方法、コンフォートという調理法など、料理をテーマにお送りしてみようと思います。ご期待ください。
寒ぶりのメッカ、氷見で「ぶりしゃぶ」! ぶりかまめし【後編】
師走間近になると、富山湾ではときおり雷鳴がとどろき、海が時化(しけ)る日があります。そんな悪天候のことを、現地では「ぶり起こし」と呼びます。この雷鳴は、本格的な冬の始まりを告げる合図であるとともに、ぶり漁の季節が始まる合図でもあるんです。夏、ぶりは日本海を北上し、冬になると南下します。産卵前の脂が乗り切った時期にちょうどさしかかるのが、「天然のいけす」とも呼ばれる富山湾。その富山湾の北西に位置する「ぶりの街」こと氷見の漁港では、12月から3月頃にかけてピチピチの寒ぶりが水揚げされます。 しかしながら、昨シーズンは深刻な不漁に見舞われました。今シーズンも出足はイマイチで、昨シーズンの二の舞かと懸念されていましたが、年が明けてからは豊漁の日も増え、軒並み好調。水揚げ量は昨年のおよそ4倍を記録し、漁業関係者は肩をなでおろしています。氷見のぶりは冬の観光資源でもあるため、旅館や飲食店なども一安心といったところでしょう。 そんな氷見のぶりは、煮て良し、焼いて良し、刺身で良し。とことん味の染みたブリ大根なんか、想像するだけでお腹が鳴りますよね!どんな食べ方でも美味しいといえますが、ご当地である氷見がプッシュしているのは「ぶりしゃぶ」です。この冬、氷見市では「本場!氷見のぶりしゃぶまつり」を開催中。市内の旅館やレストラン、総勢30店以上が参加している同イベントは、文字通り「ぶりのしゃぶしゃぶ」を観光客に楽しんでもらおうというもの。刺身でも食べられる新鮮なぶりを、サッと湯にくぐらせて食べる「ぶりしゃぶ」は、旬を迎えたぶりの脂分が適度に洗い落とされ、サッパリとした味わいがあると定評があります。外に軽く火が通り、中は生。そんな寒ぶりをおろしポン酢で食べる・・・これもお腹が鳴ります!鳴りすぎます! 「本場!氷見のぶりしゃぶまつり」は2月28日(土)まで。しかしながら3月に入ってからもぶりしゃぶやぶり料理を堪能できる宿や飲食店もあるかと思います。逆に、その日その日の水揚げ状況によっては、まつり期間中であってもぶりしゃぶにありつけない可能性も。「天然モノ」ゆえ、といえるでしょう。お出かけ前に、それぞれの宿や飲食店に確認しておくことをおすすめします。これから春を迎えるにあたり、ブランド魚「氷見鰯」も旬を迎えますし、サヨリやサクラマス、ホッケ、ホタルイカなども美味しい季節となりますよ!
骨まで食べられるぶりかま!! ぶりかまめし【前編】
寒い冬は魚が美味い!ということで今回は冬に旬を迎える「ぶり」の駅弁、富山県氷見駅の「ぶりかまめし」の登場。「ますのすし」で有名な「源」さんからリリースされている駅弁です。「ぶりかま」とは、ぶりのエラの後ろ側。当然ながら1匹につき2つしか取れない部位です。初めて「かま」や「かぶと」を食べた時は、「骨ばっかりで、あんまり食べるところないんじゃないかなぁ」と思っていましたが、そんなことはありませんでした。身もたっぷりで、脂の乗った部分やゼラチン質の部分、赤身の部分など、食べるところによって微妙に味わいが違う楽しさもあります。 そんな「ぶりかま」が丼狭しとドーン!と乗っているのが「ぶりかまめし」。タレに包まれて金色に輝いているところがなんとも魅力的!封を開けると甘いタレの香りがふわ~んと立ち上ります。 箸でむしって食べてみると、柔らかくて脂が乗りに乗ってる!「かま」の部分は脂身が豊富。素材の旨味とタレの風味、そこに「焼き」の香ばしさが加わり、なんとも至福な気分です。そして、食べ進めるうちに「骨まで食べられる」ことが判明。ガタゴト揺れる列車、そして狭いテーブルで食べる駅弁において、魚の骨を取り除くことはけっこう面倒です。それゆえ、鮭の骨のない部分の切り身を塩焼きにしたり、甘露煮のように骨まで柔らかく煮込むといった調理法がよく用いられます。「ぶりかまめし」の場合は後者。じっくり煮込んであって、太めの骨でも違和感なく、口の中でホロリと溶けていくような感覚です。 ご飯も手が込んでますよ。わさび菜と京菜が混ぜてある酢飯です。あっさりした味付けの魚にはちょっと不向きかもしれませんが、ぶりかまのように脂が乗っている部位にはよく合います。わかめは一見するとぶっきらぼうな印象がありますが、煮汁多めで弱火でじっくり煮込む「含め煮」です。ぶりかまやわさび風味酢飯ともマッチしていて、箸休めとしても活きています。そんなこんなで、ごちそうさま。空になった駅弁には魚の骨、一本も残ってません。お見事!ちなみに「ぶりかまめし」を作っているのは、以前当コーナーでも紹介した富山の「ますのすし」で有名な「源」さんです。 「みんなで食べる」駅弁の代表格といえばコレ! 源のますのすし【前編】 倹約家・吉宗をも唸らせた、神通川の鱒と米 源のますのすし【後編】 次回は、“寒ぶりの街”として知られる氷見の魅力をお届けします!
黄門様も納得の納豆!? 珍味・しょぼろ納豆漬け JR水戸駅・印籠弁当
その名のとおり、お弁当箱の真ん中には「目に入らぬか!」とばかりにドーンと三つ葉葵の紋所!印籠をかたどったお弁当箱は、気品ある2段重ねになっています。彩り鮮やかなおかずが並ぶ中、やっぱり注目したいのは納豆です。 水戸周辺の保存食として古くから食されてきたものに「切り干し大根」があります。これを刻み、糸引き納豆と混ぜてしょうゆ漬けにしたものです。シャキシャキ、コリコリとした大根の食感と、柔らかい納豆の食感。初めて食べましたけど、これは納豆好きにはたまらない!食感の楽しさのみならず、納豆の風味も味わいも、通常の糸引き納豆より上かもしれないと思いました。しょうゆで漬けることによって濃い目の味になっているので、少量でもご飯が進みます。そのぶん、納豆が苦手な方にはちょっとツラいかもしれません。
同駅弁はデビュー以来、おかずの品が変わったり、パッケージが紙からプラスチック製になったり、3段重ねから2段重ねになったりと、リニューアルを繰り返してきています。ただし、印籠のカタチと威光は健在!水戸駅を代表する人気駅弁として評判です。
京王駅弁大会に行ってきました!!
さっそく行ってきました!駅弁ブームの火付け役といってもいいでしょう、京王百貨店新宿店7階大催場で1月20日(火)まで開催中の「第44回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」。今年もスゴイ熱気です。200を超える駅弁とグルメが大集結しています。訪れたのは開催2日目。「おかげさまで初日の売上は前年を上回りました」とは、広報担当の杉本氏。おりからの不況で、なかなかおいそれと旅に行けない、せめて旅の気分でも味わいたい・・・という人が足を運んでいるのかもしれません。かくいう私もその一人ですが。場内は活気に溢れ、時折ご当地グルメを売る方の訛りが耳に飛び込んできたりして、存分に旅気分が味わえるのも同駅弁大会の醍醐味のひとつです。
まず向かったのは、同大会名物の「対決」コーナー。今年は「いかVSたこ対決」ということで、鳥取駅の「いかすみ弁当黒めし」と高松駅の「たこ飯」が登場。やはり「対決」は人気の的で、整理券をまず入手しないといけない状況でした。そのお味のほどは後ほど述べますが、この2つだけでなく、毎年人気を博している森駅の「いかめし」、西明石駅の「ひっぱりだこ飯」も健在。加えて「うまいもの」ブースでも元祖たこ焼き、大阪名物玉子入りいか焼き、天日干しするめ、いかしゅうまい、たこザンギなどがズラリと並び、「いかVSたこ」の熾烈なバトルがそこかしこで繰り広げられています!見たところ、駅弁だけでなく「うまいもの」ブースも例年以上に盛況な印象を受けました。
対決はもうひとつ。「伊豆の人気駅弁」対決です。首都圏からですとクルマで赴く方も多い伊豆方面の駅弁、雌雄を決するは伊豆急下田駅の「とろ金目の塩焼き弁当」と、修善寺駅の「あじ寿司」。金目鯛もあじも伊豆を代表する味覚です。そして相変わらずの人気を博しているのが、米沢駅の有名駅弁「牛肉どまん中」。長蛇の列が出来ていました。実際のところ、東京駅などでも「牛肉どまん中」を入手することはできますが、やっぱり「実演」の魅力なんでしょうね。その場で作るできたての駅弁を食べたくなる心情はヒジョーによく分かります!
B級グルメとして全国区の知名度を得た「富士宮やきそば」の駅弁「富士宮やきそば弁当」も、まさに実演向きといいますか、ソースのいい香りが立ち込めて急激にお腹が空いてきます。昨年は「ご当地グルメ」駅弁としてクローズアップされたため、完売に次ぐ完売で結局購入できずじまいだったんですが、今年はなんとか買えそうな気配。昨年「牛肉対決」の土俵に上がった松江駅の「およぎ牛弁当」もしかりです。「一年越しの愛」が実るような感覚ですね。
もうひとつ個人的に注目したのは「復刻弁当」。今年は千葉県の弥生軒さんの「復刻幕の内弁当」です。掛け紙に描かれているのは「裸の大将」こと山下清画伯の絵。現在、弥生軒さんは駅弁製造をしていませんが、かつては駅弁を製造・販売し、無名時代の山下画伯が約5年間働いていたそうです。しかし、お金が少し貯まったら放浪に出てしまい、ある日ふらっと「ただいま」といって戻ってくることもしばしばだったそうな(笑)。まさにドラマのまんまですね。ふつうはクビになってもおかしくないところですが先代は寛容で、山下画伯は有名になった後に自らの絵を寄贈しています。今回の駅弁はその絵を掛け紙にし、先代の記憶をもとに駅弁メーカーのNRE大増さんが再現したものだそうです。鮭に梅干に玉子焼きに煮物といった、とても素朴な幕の内ですが、実際に食べてみたら美味しかったですよ!特に煮豆の味付けが秀逸でした。
実演コーナーをぐるりと回った後は、輸送駅弁のコーナーへ。文字通り、ご当地から早朝に輸送されてくる駅弁がズラリと並んでいます(一部の輸送駅弁は午後到着)。今年人気を得ているのは「お酒付き駅弁」。この日は夕方3時に赴いたのですが小淵沢駅の「甲州ワインランチ」と松江駅の「ごきげんべんとう」は既に売り切れ。わずかに新潟駅の「酒楽弁当」が残るのみでした。ご購入をお考えの方は朝から出向いたほうがよさそうですよ。また、松阪駅の「モー太郎弁当」でお馴染みの駅弁メーカー「あら竹」さんの「松阪牛物語」も売り切れていました。松阪牛証明書つきの高級駅弁です!現地でも予約制の駅弁が新宿で手に入るのは、駅弁マニア冥利に尽きます!
ちなみに今年から、輸送駅弁コーナーの入り口に、駅弁の売り切れ情報をタイムリーに反映するボードが掲げられていますので、お目当ての駅弁がある場合はまずここでチェックするとよいでしょう。この日もすでに売り切れが続出していました。個人的に人気だなぁと思ったのは「牛肉」系と「カニ」系、そして「0系新幹線夢の超特急弁当」や「アンパンマン弁当」などお子さん向けの駅弁です。狙っている方は早めに出向くことをオススメします!
そんなこんなで大盛況の京王駅弁大会。広報担当杉本氏いわく「この大会だけは、社員総ぐるみで取り組んでいます。ハッピを着た売り子さんの中には、紳士服や婦人服売り場担当の社員もいるんですよ」とのこと。なるほど、各部署の社員さんが「応援」に駆けつけて、この活気が生まれているんですね。もはや冬の風物詩ともいえる駅弁大会。ぜひ皆さんお出かけください。※ ※ ※ ※ ※
・・・・そうそう忘れるところでした。さっそく編集部に帰ってきて、いざ「いかVSたこ対決」を吟味!まずは「たこ飯」です。瀬戸内産の真だこと醤油ベースのダシが効いたご飯がうまい!その上にドン!といいだこ煮が乗っています。ニョロリと長い足の吸盤がプチプチ、コリコリしていて食感が楽しめます。ほのかに甘辛く、それでいてあっさりしている味つけで、さすが「対決」の土俵に上がるだけのことはありますナ!
そして「いかすみ弁当黒めし」。パッケージが真っ黒なので、濃厚なイカスミパスタみたいに歯が黒くなったらどうしよう・・・という心配はご無用です。いかすみと醤油で炊き上げたご飯は、まさしく絶妙。ガーリックオイルを少し垂らせばそのままイタリアンになりそう。いかはやわらかく、プリプリした歯ごたえがたまりません。付け合せのらっきょうの素揚げ、これは初めて食べましたが、ビックリしました。カラリと香ばしく、口当たりはふんわりと軽め。どこかにんにくを彷彿とさせる味。作り方聞いておけばよかった!個人的には「いか」に軍配を上げたいなぁ・・・でも「たこ」も捨てがたい。皆さんも実際にご自身の舌でお確かめください!◇駅弁大会への道'09
冬の恒例イベント、京王駅弁大会は1月8日(木)から!!
筆者はかれこれ5年くらい毎年通っていますが、毎回うまいこと趣向を凝らしているなぁと感心させられます。百貨店の物産展で駅弁フェアが行なわれることはよくありますが、京王の場合は「対決シリーズ」「ご当地グルメ駅弁シリーズ」「頑張れローカル線シリーズ」などのテーマがあって面白いんですよね。 もちろん、品揃えも充実。北は北海道から南は沖縄まで、全国各地から200種類以上の駅弁が集まります。駅弁を作る実演販売やその場で食べられるコーナーもあって毎年大賑わい。エネルギッシュなお祭り感があるところも魅力のひとつです。 ちなみに2008年の実演販売駅弁の売り上げ個数ベスト10は以下のとおり。 1位 いかめし 北海道・森駅 1位の「いかめし」の売上個数は60,598個。2位の「牛肉どまん中」が25,875個ですので、ブッちぎりの強さです。価格が500円でお求めやすい点と、コンパクトな分、実演でたくさん作れることも1位たるゆえんといえるでしょうね。やっぱり目の前で調理されている実演販売駅弁は食欲をそそるので人気の的です。 また、2008年の対決シリーズは「牛肉三つ巴対決」でした。対決を繰り広げた「牛肉どまん中」「およぎ牛弁当」「但馬の里牛肉弁当牛王」のいずれもランクインしているところが、同シリーズの注目度を現しています。2009年の対決は2つ。1つは日本人にとって身近な食材である「いか」vs「たこ」対決。もう1つは「金目鯛」vs「鯵」の「伊豆の人気駅弁対決」。昨年も「房総半島vs伊豆半島」の対決がありましたが、車で行くことの多い関東近郊の駅弁対決、その第二弾といえそうです。
実演販売だけでなく、全国各地から航空便や自動車便を駆使して運ばれてくる「輸送駅弁」も150種類以上が揃い踏み。いやはや、今から楽しみです!詳しい対決の模様は、今後の当コーナーでじっくりレポートしますのでご期待ください。
グルメ満載!冬の新潟旅行へ出かけよう えび千両ちらし【後編】
こはだ、えび、いか、うなぎ。「えび千両ちらし」には美味しい魚介類がギュッと詰まっています。駅弁を売っているのは新潟県新潟駅ですが、言ってみれば「冬の新潟」そのものに、美味しい旬の食材がギュギュッと詰まっているといえるでしょう。そのあたり、新潟自身も重々承知の上。毎年、冬の味覚をアピールするイベント「にいがた冬 食の陣」が開催されています。今年で17回目を迎える同イベントの開催期間は3月31日まで。県内選りすぐりの料理店54店舗が参加する「自慢の料理と逸品」お客様人気コンテストでは、美味しいと感じた順番に3店とメニューをはがきに書いて投票すると、抽選で100名が5月開催予定の「春夏の食の陣 自慢の料理フェア」に招待されます。 また、2月7・8日の2日間は、古町や万代シティ、新潟・ふるさと村、新潟駅東側連絡通路を会場とした「当日座」を開催。新潟名産を駆使した料理の数々をいっぺんに楽しめるイベントです。今年のテーマは「丼と鍋」。イクラやウニ、ブリなどの魚介類がテンコ盛りの「海鮮丼」や「もち豚カツ丼」「村上牛サーロインステーキ丼」などの丼部門と、海の幸を駆使した「日本海ブイヤベース」「真鱈の白子鍋」「キムチチゲ」などの鍋部門が胃袋を満たしてくれます。また、「新潟バーガー」なるファーストフードもあり、海老しんじょうバーガーやローストビーフバーガー、イカ・タコバーガーなど、新潟ならではのハンバーガーを楽しめます。会場によって提供されているメニューが異なるため、お目当ての料理がある場合は事前に問い合せてからお出かけください。さらに、少々先の話になりますが、3月14・15日には朱鷺メッセ「ウェーブマーケット」にて「にいがた酒の陣 2009」が開催されます。米どころ、酒どころとして名を馳せる新潟ゆえ、多くの日本酒ファンが押しかけること必至です。 しっかりお腹を満たした後は新潟観光!前々回の当コーナーでも紹介しましたが、やはり2009年はNHK大河ドラマ「天地人」の効果によって新潟・山形・福島観光が人気を呼びそうです。日銀新潟支店の試算によると、ドラマ放映によって新潟県には約204億円の経済効果が生じるとのこと。兼続が幼少期を過ごした新潟県南魚沼市にはたくさんのスキー場もありますし、2009年2月14・15日には「南魚沼市雪まつり」が開かれます。郷土芸能や冬の夜空に打ち上げられる花火、そして「ほんやら洞(かまくら)」内での郷土色豊かなおもてなし等、冬を満喫できる旅行になること請け合いです。グルメと歴史と雪まつりの旅、今から計画してみてはいかがですか?
「品格」を感じる魚介類と玉子のハーモニー・えび千両ちらし【前編】
せっかくの旅行だから、ちょっぴり贅沢したい。そんな風に心抱く人を惹きつけているのが、JRの「大人の休日」ブランドの駅弁です。平成13年から販売が始まり、様々なラインナップの商品がこれまで世に出ています。今回食べてみた「えび千両ちらし」もまたしかり。といっても1200円(税込)ですから、いわゆる一般的な駅弁とあまり変わらないお値段です。が、しかし!そこはかとない「大人の品格」を感じる駅弁に仕上がっていました。品のある金色のパッケージを開け、フタを取ってみてまずビックリ。むき海老のおぼろが載っていますが、その他、目に飛び込んでくるのは全部玉子焼!これ、鼻緒つけたらまるで下駄じゃないですか!ちょっと前代未聞の見た目です。それだけに「この下にどんなお宝が埋まっているのか」とてもワクワクします。 さっそく玉子を食べてみましょう。たまに「やけに黄色い」着色料を使った玉子焼きもありますが、これはまったく別物。独特の「くすみ」がかかった、和風テイストの落ち着いた黄色です。一口食べてみると、さすが「大人の休日」といったところでしょう。甘さは控えめ。しかしながら優しい旨味がじんわりと広がっていきます。うーん、ありきたりの表現になってしまいますが、やっぱり「優しい味」という言葉がしっくりきますね。これは他の具も期待できます。 一口食べた玉子の下から現れたのは、まずうなぎの蒲焼でした。蒲焼を食べてみて思ったのは「これは、駅弁のうなぎじゃない・・・」ということ。うなぎの蒲焼をおかずに加えた駅弁はいくつもありますが、群を抜いているように思いました。「老舗のうなぎ屋」のうなぎです。これだけでも食べる価値、あります。 お次に登場したのは、こはだ。こちらもしっかり酢で〆てあり、身も肉厚でおいしかったです。
お次は、反対側の玉子焼の下。探ってみたところ、現れたのは蒸した海老でした。駅弁に入っていたお品書きには「酢通し醤油からめ」とあります。いやはや、これは食感がプリップリです!この食感と、ご飯にまぶしてあるクルミのコリコリ感、これはぜひとも同時に味わってもらいたいところです。さらに玉子焼も一緒に食べると・・・本当に美味しいです。まさに「多幸感」です。そして最後に登場したのが、塩イカの一夜干し。このイカには、かなりトキメキました。プルプルした食感で、噛むと口の中でプチンをはじけて噛み切れます。そして旨味がゆっくりと押し寄せてくる・・・そんな感覚です。 そうそう、言い忘れましたが、コシヒカリの酢飯と具の間には、とろろ昆布が敷いてあります。前に出ずに「風味」のみ提供している名脇役、といったところです。すべてがすべて、本当によく出来てると思いました。 そんな「えび千両ちらし」が売っているのは、新潟県の新潟駅。 次回は、冬の新潟のグルメ情報をお届けいたします!
直江兼続が奮闘した米沢の地へ!!おらだのごっつお【後編】
そして今年は、山形を通過して米沢まで「つばさ」で出向く人も増えるのではないでしょうか?理由は、NHK大河ドラマ「天地人」。例年、NHK大河ドラマの舞台となる地は、前年比を上回る観光客が押し寄せることで有名です。今年は上杉家の武将、上杉景勝に仕えた直江兼続が主人公。ということは、兼続が幼少期を過ごした新潟県南魚沼市、武将としての心得を学んだ春日山城(現在は城跡)のある新潟県上越市なども賑わいをみせそうですが、おそらく最も「天地人」ファンが押し寄せると思われるのが、山形県米沢市です。 まずは、なんといっても上杉神社!上杉謙信が祀られています。宝物殿「稽照殿」には上杉家ゆかりの刀や甲冑などが展示され、直江兼続が使っていたとされる甲冑もみることができます。直江兼続の甲冑といえば「愛」。前面に「愛」の一文字が掲げてある兜は必見ですよ! また、上杉神社から程近いところにある米沢市上杉博物館も足を運んでおきたいところ。ここはかつて米沢城があった場所です。上杉家ゆかりの品々をみることができますが、兼続関連で見逃せないのが「直江状」の写し。秀吉の死後、飛ぶ鳥を落とす勢いで頭角を現してきたのが徳川家康。その家康が越後を攻めようとしていた際、兼続が家康宛てに送った書簡「直江状」は、あの家康に堂々と啖呵(たんか)を切った内容でした。自らに落ち度は全く無い。言いがかりを持って攻めてくるなら、それもまたよいでしょう。存分にお相手いたしますぞ、といった武士らしい潔い内容でした。 ちなみに江戸時代の上杉の君主として有名な、上杉鷹山(ようざん)についての資料もたくさんあります。そういえば、「全国駅弁レポート」の記念すべき第一回目に取り上げた米沢駅の「鯉弁当」のご紹介の中でも、上杉鷹山について触れました。 首都圏から旅する際は、「行き」に大宮駅で「おらだのごっつお」を購入。米沢見物を終えて「帰り」の旅路では、米沢駅で「鯉弁当」、もしくは有名な「牛肉どまん中」を買って食べる・・・というプランはいかがでしょう。充実の駅弁の旅が実現しますよ!
チャーシュー感覚の激ウマごちそう~山形駅ほか・おらだのごっつお【前編】
旅の楽しみは美しい風景と美味いご飯、そして旅先で触れ合う人々の温かさ。とりわけ地元のおかあさんなどが口にする「なまり」を耳にすると、グッと旅情が深まるものです。そんな土地土地の方言をタイトルにした駅弁が全国にはいくつかありますが、今回食べてみた「おらだのごっつお」もそのひとつ。山形県庄内地方などで使われる方言で、訳すと「私達のご馳走」という意味合いです。ではさっそくご馳走になるとしましょう!フタを開けると、ご飯を覆い隠すように、厚めにスライスされた庄内豚が4枚。なかなかのボリュームです。一口食べてみると、うわ、柔らか~い!そして豚の旨味と、漬け込んだ特製ダレのほんのりとした甘辛さがどんどんとこみ上げてきます。飲み込むのがもったいないくらい。「こだわりのラーメン屋」のチャーシュー丼、というイメージがピッタリきます。脂の部分が凝り固まるから、冷めた豚肉はちょっとキツイんじゃないかなぁ・・・という予想を気持ちよく裏切ってくれました。 山形の肉といえば「米沢牛」がまっさきに浮かび、牛肉をあしらった駅弁も県内の駅で数種類発売されています。この「庄内豚」というブランドも絶品だと感じました。なんでも、他の豚に比べると栄養価は同等ながら、低コレステロール、低脂肪が特徴なんだとか。「冷めてもうまい」理由のひとつは、案外そこにあるのかも。 そしてご飯は、「山形産はえぬき」を100%使用。財団法人日本穀物検定協会が認定している「食味ランキング」というものがあるんですが、「はえぬき(山形内陸産)」は10年以上連続で最高位の「特A」を獲得しています。風土と美味い水が穀物を育み、その穀物が良質な豚を育む、といったところでしょうか。 また、駅弁の「脇役」たちも頑張っていますよ。厚切りの甘酢生姜、いわゆる「ガリ」は口の中をリセットするのに一役買っています。「カリカリ菜なめこ」は山くらげ、なめこ、えのき茸の醤油漬け。あっさりした味付けが心地よさを伴っています。そして漬物は東北特有の味の濃さ!ご飯が何杯でもいけますね。駅弁のパッケージにある原材料名をみると「オーからい」と書いてありました。そのまんまですね(笑)。 おそらく山形の老舗漬物屋さん「丸八やたら漬
」のお漬物だと思います。大根やニンジンなどの野菜と唐辛子を細かく刻み、しょうゆ漬けにしたもの。またまた「こだわりのラーメン屋」にたとえると、カウンターに「お好みでどうぞ」と書かれて乗っている、気の利いた辛子高菜のようなイメージです。まじりっけなし、正真正銘の「ごっつお」をいただいた気分で、とても満足。次回は、NHK大河ドラマの影響で来年ますます脚光を浴びるに違いない山形の観光スポットをご紹介してみたいと思います!
駅弁の美味さと「月光仮面」の関係~限定発売・はやて弁当【後編】
川内氏といえば、近年の「おふくろさん」騒動で再びクローズアップされましたが、「月光仮面」「愛の戦士レインボーマン」の原作をはじめ、歌謡曲の作詞や評論も多く手がけてきた人物。家がお寺だったこともあり、作品を通じて人間の心の在り方を説いてきました。 「月光仮面」は勧善懲悪の物語ではありますが、ヒーローである月光仮面は過度に悪者を痛めつけることはしません。持っている銃も「敵を撃つ」のではなく「威嚇」。その作品の根底にあるテーマは「憎むな、殺すな、赦(ゆる)しましょう」でした。ちなみに「♪坊や良い子だねんねしな」で有名な「まんが日本昔ばなし」の主題歌作詞も川内氏。筆者は二番の歌詞「夢をたぐればほろほろと、花もほころぶかぐや姫。人の情けが幸せを、そっと運んだかさ地蔵」が好きです。 そんな川内氏の、ビシッと一本筋の通った生き方が、駅弁「はやて弁当」にも現れているような気がしました。派手さはなく、地味なおかずでありながら、本物の素材を駆使して美味しいお弁当に仕上がっています。たかが駅弁、されど駅弁。ちょっと大袈裟かもしれませんが、「質素でもよいが、偽物だけは作らない」という気骨のようなものを感じました。偽物を作ったら、川内氏から大目玉を食らいそうな気もします・・・。そんなこんなで良い素材を駆使しているため採算が合わず、「限定発売」になっているのかも!? また、東北新幹線「はやて」デビューを記念した駅弁への協力は、川内氏が「東北の人」だったことも、関係している気がします。函館出身の川内氏は昭和49年、月光仮面の像を函館市に寄贈しています。台座には「憎むな、殺すな、赦しましょう 川内康範」の文字が刻まれており、現在でも函館市松風町グリーンベルトで見ることができます。
今回食べたのは、箱入りの「はやて弁当」でしたが、発売当初は数量限定で、昔懐かしいアルマイト製容器の「はやて弁当」も販売されていました。ぜひ、限定発売でもいいので復刻を期待します!
「ごくごく質素な」激ウマ駅弁!~限定発売・はやて弁当【前編】
その駅弁の名は「はやて弁当」。今回は、去る10月に東京駅構内で開催された東日本縦断駅弁大会でゲットしました。もともとは2002年、東北新幹線が八戸まで延伸された際にデビューした新幹線「はやて」を記念した駅弁です。 ご覧の通り、パッケージに描かれているのは月光仮面のイラスト!「♪疾風(はやて)のように現れて、疾風のように去っていく」という月光仮面の主題歌の歌詞から「はやて」つながりということで使用されているわけですね。筆者は月光仮面世代ではありませんが、それでもなんだかグッとくるパッケージです。絵の下には月光仮面の原作者、川内康範氏のクレジットが刻まれています。 今回「どうしても」紹介したい理由は、それだけではありません。蓋を開けてビックリ。よく言えば「懐かしい」、悪く言うと「華のない」おかずのラインナップ。正直、最初はちょっとガッカリしました。しかし最初に箸をつけた鮭の塩焼。これが美味かった!身が厚く、全体的にしっとりしています。パサついた鮭はすぐ身がほどけてしまい、味気ないもの。塩辛いだけのおかずになり下がってしまっているケースもままありますが、この鮭は明らかに違う!鮭そのものも、相当良いものを使っているはずです。 そして、ごぼう。ごぼうに感動することなどあまりないのですが、これもみずみずしい。甘味が若干強めながらも、噛めば噛むほど味が染み出してきます。濃厚で、まさに大地の恵み!添えられた菜の花もまたみずみずしく、潤いを与えてくれます。
しらす干しは旨味だけが引き立ち、過度の塩辛さなどは感じません。出し巻玉子はほのかな甘味で、これも「良質な卵」である感覚を抱きました。甘く煮た豆は、おふくろの味そのものです。 あまりにもおかずの一品一品が美味しくて、白飯が足りなくなるくらいでした。おかずの種類は何の変哲も無い、ごく普通のものばかりです。一度ちょっとガッカリしたものの、その落胆が180度喜びに変わる「はやて弁当」、恐るべし。いつの日かまた、必ず復刻してほしい駅弁として筆者の脳裏に刻まれました。 次回は、「なぜこんな素朴で、かつ美味いのか?」を、筆者なりに考証してみたいと思います。川内康範氏が重要な鍵を握っているような気が・・・。
湘南は秋も冬もカップルにオススメ!~大船駅ほか・湘南ツイン弁当【後編】
湘南電車とは、東京~熱海間を運行する列車の通称です。1949年、その区間に国鉄80系電車が登場。かつて、電車の色といえば茶色が一般的でした。そこに突如出現した、緑とオレンジのツートンカラー。そのインパクトは絶大だったはずです。筆者が子どもの頃にはすでに山手線がキミドリ色でしたが、それでも初めて80系湘南電車を見たときには、純粋に「カッコイイ!」と思ったのを覚えています。電車前面の色の塗り分け方が「仮面」に見えるんですよね。オレンジ色の部分が菱形になっていて、これはかつて「金太郎の腹掛け」といわれていたそうです。またプロ野球横浜ベイスターズの前身、大洋ホエールズも、一時期この緑とオレンジ色を基調にしたユニフォームを使っていて、湘南電車カラーのユニフォームとして一部では名が通っていたとか。そんな80系も車両の老朽化等により、1983年に姿を消しました。現在のステンレス車両のためダイナミックな全面塗装ではありませんが、E217系やE231系などに伝統のツートンカラーが施されています。 ではここで、湘南電車で出かけたい秋・冬のスポットをいくつかご紹介しましょう。 まずは江の島展望灯台。12月13日(土)から12月25日(木)までの期間、「江の島展望灯台ライトアップ2008~江の島ファンタジー~」が開催されます。期間中毎日、江の島展望灯台と江の島サムエル・コッキング苑内がライトアップ。期間中の土曜日には打ち上げ花火やライトアップコンサートが開かれます。また、13・14・20・21・23日限定で、オリジナルピンバッチのプレゼントも実施(配布数限定)。プレゼント進呈場所は「恋人の丘」にある龍恋の鐘入口付近です。この龍恋の鐘には、「恋人同士で鳴らすと別れない」という言い伝えがあります。二人で仲良く分け合って食べてほしい、という願いから生まれた「湘南ツイン弁当」をカップルで食べて、さらにこの鐘を鳴らせば鬼に金棒!?かもしれませんね。
もうひとつライトアップ関連をご紹介。こちらは11月の「紅葉ライトアップ」です。舞台となるのは鎌倉の長谷寺。境内のモミジやカエデ、イチョウなどがライトアップされ、幻想的な雰囲気をかもし出します。普段は夜間拝観は実施していないため、このライトアップ時期にしか見ることができない「池に映る逆さモミジ」は必見です。開催期間は11月22日(土)~12月7日(日)まで。ライトアップ時間(17:00~18:00)は入山無料です。 幻想的な湘南の秋・冬を存分に楽しみ、カップルやご家族の絆をしっかりと深めてみてはいかがですか?
「駅弁ひとり旅」コラボ駅弁!大船駅ほか・湘南ツイン弁当【前編】
「駅弁“ひとり”旅」なのに「湘南“ツイン”弁当」なのはなぜか?「駅弁ひとり旅・こぼれ話」でも触れていましたが、いろんなおかずが2つずつ入っていて、ご飯も2種類。カップルの聖地ともいえる湘南で、仲むつまじく2人で食べてもらいたい、という願いからこうなったそうです。仲むつまじく食べる相手がいない・・・という人は筆者のようにひとりでガッツリ食べましょう! 蓋を開けると、なるほど「ツイン」ですねぇ~。さっそく箸を伸ばしたのは、包装紙にも描かれている80系湘南電車、そのオレンジとグリーンの色を再現した、グリンピース入りのカレーご飯。この夏、大船軒さんと江ノ電が共同開発して販売していた駅弁「えのべん ごちそうさま~弁当!(第1弾)」でも、同じようなご飯が使われていました。 一口食べると、なにか懐かしさを伴うカレーの味。ひじきと一緒に炊き込まれているからなんでしょうね。子どもの頃に食べたカレーの味そのまま、というわけではありませんが、なんとなく日本人にとっての「懐かしさ」を覚えるカレーご飯です。 その上には鶏の照焼が2つ。いわゆる駅弁の定番おかずですが、個人的に駅弁の照焼は「凝固している脂が多くないか否か」「鶏肉特有の臭みがあるか否か」で甲乙を判断しています。その意味で合格(エラそうにスイマセン)!なかなか美味しいですよ。 さて、もうひとつのご飯にも箸を伸ばしてみます。こちらはトマト風味のご飯ですね。湘南から伊豆、静岡にかけての名産、しらすが乗っています。季節によっては「生しらす」が楽しめる湘南の地ではありますが、駅弁では茹でしらす。でも負けじとこちらも美味しい。程よい塩味が、薄めの味付けのトマトご飯とよく合ってます。ちなみにこの駅弁を作った大船軒さんの「湘南名物しらす弁当」も絶品ですので、ぜひお試しください。
最後の大福は「ツイン」ではありませんので、カップルで1つの駅弁を食べている方は半分にしたり、ジャンケンしたりしてお楽しみください。 さて、次回は、この駅弁のコンセプトともいえる80系湘南電車、ならびに今の季節、カップルやご家族で楽しめる湘南のスポット&イベントをご紹介します!
JR宇都宮駅構内でジャズを聴こう!! 宇都宮駅・ジャズの宮【後編】
まずは横浜。大正時代、日本で初めてジャズが演奏された地といわれています。戦後も米軍が駐留した横浜では、関内や伊勢佐木町にジャズを聴かせる店がいくつもあったとか。さらに古くから外国人がコミュニティを形成していた神戸や、上海から入ってきたジャズが一大ブームとなり、街中にジャズスポットが溢れた大阪・道頓堀なども「ジャズの街」として名を馳せてきました。1950年代以降は、日本に「ジャズ喫茶」ブームが到来。宇都宮は神戸や横浜に比べるとジャズの歴史は浅いといえますが、この頃になるとジャズ喫茶やジャズの流れるクラブが人気を博しました。 しかし宇都宮が「ジャズの街」たるゆえんは、なんといっても「多くのジャズミュージシャンを輩出した街」だから。ジャズファンでなくとも名前が知れ渡っているアルトサックスプレイヤー、「世界のナベサダ」こと渡辺貞夫氏も宇都宮出身です。他にも世界で活躍する多くのジャズメンを輩出しています。 そんな宇都宮で開催される一大ビッグイベントが「MIYAJAZZ INN 2008」。1974年に第一回目が開催され、ジャズを愛する人々の手で守り抜かれてきたイベントです。今年の開催日は11月1日(土)・2日(日)の2日間。オリオン市民広場(オリオンスクエア)、JR宇都宮駅構内、二荒山神社下の宮、オリオン通りイベント広場(曲師町)でストリートイベントが繰り広げられ、宇都宮ジャズ協会加盟13店舗でライブハウスイベントが催されます。
それだけではありません。「宇都宮餃子祭り2008」も“ミヤジャズ”と同じ11月1・2日に開催されます。もしかしたら、この2日間は「1年を通じてもっとも宇都宮に多くの人が集う」日になるかも。ぜひとも秋の休日、宇都宮でジャズと餃子を楽しんでください。
益子焼とともに楽しむ絶品ジャンバラヤ 宇都宮駅・ジャズの宮【前編】
ピアノの鍵盤のような細長いパッケージはアメリカンテイスト満載。封を開けると抗菌シートがフタと具の間に敷いてありますが、これにも五線譜と音符が描かれている徹底ぶり♪がぜん気持ちが高ぶります。そのシートを取ると、これまた賑やか!ジャズの巨匠が集って一大セッションが繰り広げられているかのような見た目です。 おかずはジャズの本場、ニューオリンズを意識したかのような「洋食」系でまとめられています。ミートボールは串に刺さっていて・・・これは音符に見立ててあるのかな?そしてアーモンドスライスを衣にしたエビフライは、見た目がサックス!なかなかの凝りようですね。アーモンドの香ばしさが際立っています。マグロカツは、味はわりと普通ながらもボリュームがあるので満足できます。箸休めには食感と香りが楽しいワイン漬けらっきょう。さらに定番のスパイシーポテトと、バラエティに富んだおかず達・・・しかし声を大にして言いたいのは「ごはんの美味しさ!」です。
ジャンバラヤを食べて濃厚な味に染まった口の中をさっぱりとさせてくれるのは、サーモンのエスカベッシュ。日本でいうところの「南蛮漬け」です。そして!このエスカベッシュの器が、陶芸作家・佐藤巧氏による益子焼のコーヒーカップ。通常販売されている駅弁「ジャズの宮」には、この器は入っていません。2000円バージョンならではのアイテムです。カップを包むシートと、小さくて洒落たビニール製の手提げが駅弁に同梱されているので、持ち帰りも安心です。 宇都宮に訪れた際は、餃子とともにぜひ食べてほしい「ジャズの宮」でした!ところで一体なぜ「宇都宮=ジャズ」なのか、そのあたりのルーツに次回迫ってみたいと思います。
駅弁に垣間見える「黄金文化」 一ノ関駅・平泉ふかひれ海鮮弁当【後編】
まず「海がない」とはいえ、岩手には日本屈指の漁港を擁する三陸海岸があります。一ノ関駅では他にも魚介類を主役にした駅弁が多々販売されているので、まぁ細かいことは言いっこ無し、ということですね。しかも、平泉のほぼ真東に位置するのは気仙沼!気仙沼といえばなんといっても「気仙沼ちゃん(若い方はご存知ない可能性大)」ですが、駅弁「平泉ふかひれ海鮮弁当」の主役であるふかひれの名産地でもあります。 ふかひれの「ふか」は一般的に「サメ」のこと。日本一のサメの水揚げ港である気仙沼には、ふかひれの姿煮やスープはもちろん、ふかひれのラーメンやお寿司などを楽しめる飲食店が市内にたくさんあります。 以前、この駅弁レポートで一ノ関駅の「潮さい三陸あわび弁当」を紹介した際にも触れましたが、ふかひれはあわび、なまことともに「俵物三品」と呼ばれ、江戸時代から日本が誇る「輸出品」として尊ばれてきました。今でもご存知のとおり「高級食材」として名を馳せていますよね。あくまでも憶測ですが、この「高級感」が、平泉の駅弁に活用されたひとつの要因なのかもしれません。
このきらびやかな平泉の文化を、駅弁「平泉ふかひれ海鮮弁当」がうまく物語っているなと感じました。黄金色のふかひれをはじめ、いくらやウニが見る者の目を楽しませ、上品でありつつ贅沢な気持ちを与えてくれる。そんな気がします。 さらにこれからの季節、平泉の地にも「紅葉」が訪れ、一段ときらびやかな雰囲気に包まれます。秋には「黄金週間(ゴールデンウィーク)」はありませんが、「黄金休日」をこの地で楽しんでみてはいかがでしょう。
あの高級食材が駅弁に!一ノ関駅・平泉ふかひれ海鮮弁当【前編】
まさにこの駅弁、封を開けただけで「しあわせ~♪」とジンワリ鳥肌が立つようなオカズのラインナップです。ふかひれはもちろんのこと、イクラにホタテ、ウニまで入ってます。平泉ばんざい!さっそくメインのふかひれからいただきました。友人の披露宴で食べて以来、久々のご対面(笑)。うむ、これは噛めば噛むほど味が行き渡ってゆくような感じ。急激にお酒が飲みたくなってきますが、ご飯のおかずとして食べる際は、ちびちびと食べるよりゴソッ!と一気に箸に取って食べたほうが美味ですね。なによりこの黄金色、藤原氏の頃の平泉の栄華を思い起こさせます。 そしてウニ。経験上、駅弁でウニといえば蒸したウニが多いようですね。生ウニに比べてねっとりとした食感はありませんが、ほこほこして甘味が際立っていて、私は好きです。あっさり味のおこわとの相性も抜群でした。ウニとホタテはおこわの上に乗っています。これも相性を考えてのことなんでしょう。
それにしても、高級食材のふかひれまで駅弁になるとは、すごい時代になったもんです。ちなみにこの駅弁、ご当地での購入ではなく、昨年秋に催された 東日本縦断駅弁大会で購入したもの。今年は10月12日と13日、JR東京駅中央通路「東京エキッチン」内にて「東日本縦断駅弁大会 ~秋~」が催されます。全国津々浦々の駅弁が集いますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。もちろん私も行きます!2日間とも! さて次回は平泉の食文化と歴史にスポットをあててみたいと思います。なぜこの地の名産が「ふかひれ」なのかを紐解きますよ!
5人のうちのひとりは「日本鉄道の父」~下関駅・長州ファイブ【後編】
彼らは日本では「長州五傑」といわれていましたが、「長州ファイブ」のほうが断然親しみやすさを感じますよね。この名の由来は、彼らが留学したロンドン大学にあります。そこに建つ顕彰碑には「Choshu-five」の文字。近年になってこのことが判明し、「長州ファイブ」としても映画化され、日本にも顕彰碑を!ということで5人のうちのひとり、山尾庸三の生家のある山口市秋穂二島に建てられました。幕末といえば坂本龍馬や西郷隆盛、長州藩では桂小五郎や高杉晋作が有名でしたが、その影に隠れていた5人もスポットライトを浴びたわけです。 では、彼らはそんな決死の覚悟までして、ロンドンで何をしてきたか?5名のうち、伊藤博文と井上馨は長州藩が外国の連合艦隊に攻撃されることを知り、すぐに帰国の途について講和担当役となりました。教科書などにも載っているので、その功労は比較的有名ですよね。 じゃあ、他の3名は?ロンドンのパブで貴婦人たちと遊んでたの?いえいえ、ちゃんと勉強してました。明治維新には関わらなかったものの、その後の日本の発展に、その勉強が大きく役立ちます。遠藤謹助は“造幣の父”。お金を刷る技術です。そして山尾庸三は“工学の父”。グラスゴーで造船技術を学び、のちの東京大学工学部にあたる工学寮を創立しました。 そして井上勝。彼が学んだのは鉄道技術です。日本初の鉄道となった新橋駅(品川駅)~横浜駅間の鉄道開通や東海道線などの開通事業で陣頭指揮を執りました。後年、“日本鉄道の父”とすら呼ばれるようになったほどです。ちょっと話がそれますが、牛乳などでおなじみの「小岩井」。これは岩手県に小岩井農場を作った3名の苗字を1文字づつとったもの。このうち「井」の字は他ならぬ井上勝の「井」なんです。
オススメのルートは、下関観光をした後に、駅弁「長州ファイブ」を買って、仙崎(萩方面)へ向かう山陰観光列車『みすゞ潮彩』号を利用。同列車は眺めの良い3箇所のビュースポットで列車が停まります。美しい風景をみながら駅弁を食べる・・・秋の旅行にはもってこいですよ!
クジラにアンコウ、ウニやフグまで!!~下関駅・長州ファイブ【前編】
パッケージには、その5人の勇姿が刻まれています。初代内閣総理大臣の伊藤博文、初代外務大臣の井上馨、鉄道長官の井上勝、造幣局長の遠藤謹助、工部卿の山尾庸三。彼らについては追って触れるとして、さっそく食べてみます! まずはシロサバフグ煮!いきなりフグですよフグ!さっぱりしていてシンプルな味わいです。パッケージには「フグ・・・伊藤博文」とあります(笑)。それぞれの海産物を長州ファイブにあやかった、と書かれていますが、フグ調理の解禁に関わったといわれる伊藤博文以外は、どんな因果関係があるのか謎。そこは深く突っ込んでほしくない雰囲気が駅弁から立ち上っています。あ、そうだ。お伝えし忘れましたがこの駅弁、湯気が立ち上る加熱式駅弁です。やはり火の通ったフグは、温かいほうが断然美味いです。 さて、次のおかずは井上馨(笑)。クジラの竜田揚げです。これは個人的にはフグより美味いと思いました。噛めば噛むほど獣肉っぽい旨味が口の中に行き渡っていく感覚です。わりと濃い目の味付けもGOOD。 そして井上勝こと、アンコウにトライ。これはから揚げになってますね。加熱式ゆえ、若干コロモに水蒸気が付着して柔らかくなってしまっているのが気になるところ。次は遠藤謹助こと、焼き明太子です。うーむ、さすがにホカホカご飯との相性は抜群!香りもいいし、プチプチとした歯ざわりも素晴らしい。他のおかずに比べて若干地味ですが、決して負けていませんね。ホッとする味であるとともに、本当に美味しい。
さて、次回は「長州ファイブ」のお膝元、山口県の下関や萩にスポットを当てつつ、5人のうちの1人にクローズアップしてみたいと思います!
特急「はくたか」or「ゆめぞら」号で北陸へ! くびきの押し寿司【後編】
そんな頚城区(くびき駅)を通る列車といえば、「北越急行ほくほく線」です。新潟県の六日町駅と犀潟駅を結んでいます。北越急行はいわゆる第三セクター鉄道ですが、軒並み赤字に悩む他の第三セクター鉄道会社をよそに、図抜けた黒字を計上し続けている「超優良路線」といえます。その理由は、関東近郊と富山・石川方面を行き来する人にとって、確固たる「足」になっていること。東京方面からですと、越後湯沢駅まで上越新幹線を利用し、その後にほくほく線を走る特急「はくたか」に乗る、というコースが一般的です。越後湯沢駅で「くびきの押し寿司」を買って「はくたか」で食べるという方も多いと思います。 「はくたか」は、その美しく品のあるフォルムはもとより、快適性にも配慮がなされています。車内をできるだけ静かにし、気圧の変化によって耳がキーンとすることも減らす工夫を施しているほど。さらにスピードも、新幹線を除く在来線としては日本最高速度となる160km/hで走行しています。 人気なのは特急だけではありません。通常の快速列車ながら、土・日・祝日を中心に運行しているシアタートレイン「ゆめぞら」号を利用する方も多くいます。
そんなほくほく線ですが、2014年度の北陸新幹線長野駅~金沢駅の延伸開業が、ひとつの分岐点になるといわれています。これまで富山・石川方面へ上越新幹線→ほくほく線ルートを辿っていたお客が北陸新幹線を利用するようになると、経営面でも大きな影響を受けることでしょう。ぜひ皆さん、ほくほく線を応援する意味でも、北陸への鉄道の旅を楽しんでください!
見た目とは裏腹に味は淡白!~越後湯沢駅ほか・くびきの押し寿司【前編】
「くびき」とは、新潟県の米どころ「頚城(くびき)」地方のこと。弥生時代の頃から清らかな水がおいしいお米を育み、長い年月改良を重ねて「頚城米コシヒカリ」が生まれました。もちろん、駅弁「くびきの押し寿司」で使われているのもコシヒカリです! 封を開けると、ちょっとびっくり。パッケージの写真には3つの押し寿司が写っていますが、実際はすべて重なっていてケーキのよう。色とりどりの食材が層をなしているさまは、まるでミルフィーユ。で、コレどうやって車内で食べるの?誰がケーキ入刀するの?と一瞬戸惑いますが、とりあえず上から切り崩していくようにしました。 押し寿司は三段になっていて、一番上の段は桜海老のような「アミ」が一面にまぶしてあります。プチプチとした食感がご飯によく合って美味しい。香りのいい白ゴマもまぶしてあるので、食感の楽しさ倍増です。食べ進めていくと、お箸が笹の葉にあたります。それぞれの段が、抗菌作用を促す笹の葉で区切られているんですね。そういえば富山の有名駅弁「ますのすし」も笹の葉が使われていました。伝統食の中で息づく昔の人々の知恵にはいつも感心させられます。笹の葉が挟まっているってことは、ケーキ入刀は必要ないわけです。 そして二段目。こちらはシソとタマゴです。紫と黄色のコントラストがなんとも美しい。優しいタマゴの味に、アクセントとしてシソの味が意外なほどよく合います。家庭で作るサンドイッチとかにも応用できるかも。
通常、押し寿司といえばシメサバや鮭、マス、アジなどの魚があしらわれていますが、この「くびきの押し寿司」の魚介類は「アミ」のみ。ちょっとインパクトに欠けますが、それを補って余りあるのが、見た目の華やかさでしょう。明治時代は春の田植えの「こびり(農作業の合間のご飯)」として、今は盆や正月に帰省する人々へのご馳走として主に作られているとのこと。「晴れ」のご飯としての華やかさは、旅路に彩りを添えてくれることでしょう。
阿賀野の自然と「電車の生まれ故郷」を訪ねて SL浪漫弁当【後編】
一方、客車は大正ロマネスク。レトロなつくりで「汽車に乗ってる!」感覚を存分に味わえると思います。また、乗車の際には展望車にも訪れてみてください。大型の窓から見える阿賀野川の風景が楽しめるとともに、オリジナルグッズや地ビール、各種駅弁の販売も行なっています。ちなみに昔懐かしい赤い丸型郵便ポストもありますが、これは単なる飾りではなく「ホンモノ」。ここで手紙を投函すると「SLばんえつ物語」号オリジナル消印で郵送されます!ぜひとも残暑見舞いなどをご持参の上、乗車ください。 さて、沿線の魅力も少しご紹介しましょう。まずは「森と水と浪漫の鉄道」たるゆえんといえる阿賀野川。日本景勝100選のうち、河川の部第1位に選ばれたほどの風景を作り出しています。その風景を間近で楽しみたいのなら「阿賀野川ライン下り」。約13km、所要時間50分ほどのコースです。船頭さんが「阿賀の舟唄」を口づさみ、名勝や奇岩、その土地にまつわる伝説を語ってくれます。紅葉の季節はさらに格別ですよ!船着場はSLばんえつ物語号が走る磐越西線・三川駅から徒歩5分の距離です。 そして、鉄道ファンならご存知の新津。磐越西線をはじめ信越本線と羽越本線が接続し、かつては鉄道の街と言われた新津には、JRグループの直営車両製造工場、新津車両製作所があります。首都圏で走る通勤電車等も、じつはココで生まれているんですね。ときおり一般公開も行なっていて、今年の公開日は10月11日(土)。できたてホヤホヤ?の電車試乗会や車両製造工程実演、ミニ新幹線やミニSL、鉄道模型の運転など、鉄道ファンならずとも楽しめるアトラクションが繰り広げられます。 あ、そうだそうだ。SLばんえつ物語号は会津若松駅~新潟駅の走行ですが、磐越西線そのものは郡山駅から会津若松駅を経由して新津駅までの路線です。その郡山駅で以前食べた「磐越西線弁当」も美味しかった(写真右)!会津磐梯山をかたどった枠内に、にしんやするめの天ぷら、鶏のきじ焼、各種山菜などが華々しく収まっていて、そのどれもが美味!こちらの駅弁もぜひ機会があれば食べてみてくださいね。
森と水と浪漫のSLで駅弁!~新潟駅ほか・SL浪漫弁当【前編】
磐城国(福島県)の「磐(ばん)」と越後国(新潟県)の「越(えつ)」を取って「ばんえつ」。「SLばんえつ物語」号は、会津若松駅~新潟駅の間を走っています。通常、駅弁といえば一ヶ所の「ご当地」ものですが、「SL浪漫弁当」には福島と新潟それぞれの名産が散りばめられているところがミソですね。得した気分になります。
その一方で「やわらか」担当がまずウナギ!名古屋名物ひつまぶしのように小さくぶつ切りになって乗っていて、その香ばしさが食欲に拍車をかけます。そして海の幸を代表してエビとイクラです。駅弁の彩り担当でもありますね。 そして最後はデザート!新潟お土産の定番、笹団子です。よもぎの入った餅でアンコを包み、笹の葉でくるんだ笹団子、その美味さは皆さんご存知のところ。笹でくるんであるため、中身が「半生」に保たれてみずみずしい!蒸気機関車の旅にもよく似合います。ちなみに笹団子、一説によれば戦国武将の上杉謙信が出兵時の食糧にしていたとか。たしかに笹は防腐作用や殺菌効果が高く、携帯食として理に適っていますよね。当初はアンコが入ってなかったので、お菓子ではなく純粋な食糧としてみなされていたそうです。新潟には、米の粉を練った中に菜っ葉などの具材を入れて“おやき”状にした「あんぼ」という郷土料理もあります。
NHK朝の連ドラにも登場した“八丁味噌”の魅力 びっくりみそかつ【後編】
つまり、みそかつの前に串カツ、そして「どて鍋」ありきだったわけですね。どて鍋やどて煮は関西ではどて焼きとも言われていますが、名古屋のソレは当然ながら豆味噌仕立て。コトコトと煮込こまれた牛筋などの臓物がウマイですよね。他にも味噌田楽や味噌おでん、味噌煮込みうどんなど、名古屋のご飯はやっぱり豆味噌(赤味噌)が決め手!そうそう、限定商品となりますが、「金しゃち名古屋赤味噌ラガー」なるビール(発泡酒)まであるんです。 さて、そんな豆味噌の一種が、駅弁「びっくりみそかつ」でも使われている八丁味噌。「八丁」は地名に由来します。岡崎城からおよそ八丁の距離にあった八丁町(現在の岡崎市八帖町)で作られる味噌を八丁味噌と呼びました。岡崎といえば、かの徳川家康の生誕地。家康も八丁味噌をこよなく愛し、天下を統一して江戸へ移った後も地元から「お取り寄せ」していたといわれています。当時の平均寿命からすれば長寿だった家康(享年75歳)の健康の秘訣も、もしかすると八丁味噌だったかもしれません。 現在、脈々と続く八丁味噌の伝統を守りつつ製造しているのは「カクキュー」さんと「まるや」さんの2社。作っているところが2社ですし、天然素材を使って昔ながらの長い熟成期間を経て創り上げているため、当然希少価値も高いです。料亭や名店には欠かせない味といってよいでしょう。それを駅弁で楽しめる、というところが醍醐味ですよね。
海外に住む日本人が恋焦がれる、「こころの調味料」ともいえる味噌。ぜひ名古屋への旅でご堪能ください。
濃厚!びっくり!ワラジサイズの駅弁 名古屋駅・びっくりみそかつ【前編】
なにが「びっくり」なのか。その答えは封を開けると一目瞭然です。とにかくみそかつが大きい!ワラジ並み!この段階で大食漢の筆者は思わず笑みがこぼれてしまいます。 使用されている味噌はもちろん八丁味噌。八丁味噌とは米麹を使用せずに、大豆のみで造る豆味噌の一種。赤みを帯び、甘辛い味が食欲をこれでもか!とそそります。一口食べるとその味がじんわりと広がり、ご飯が進むこと請け合い。駅弁ですから、なかなかカラリと揚げたカツを実現させることは難しいです。では、カラリとしていないカツを美味しく食べるにはどうすればいいか。そのひとつの答えが、みそかつのような気がします。ふつうにカツにソースをかけて食べるより、最初から味噌と馴染んでいるカツのほうが美味しい!と感じました。
そしてカツが2切れ残ったところで、ご飯がなくなりました。味の濃いおかずならでは、ですよね。昔、子どもの頃におかずがハムカツ1枚だった時があり、母親に文句を言っていると「こうすればいいのよ!」と、母は半ばキレ気味にソースをどぼどぼ。無事にハムカツ一枚でご飯3膳食べられた記憶がよみがえりました。母と「濃い味」は偉大です。なので、電車の中で食べるときは最初の2切れくらいをビールの肴にして、その後に弁当を楽しむようにしようと思います。 さて次回は、みそかつを始め独自の食文化を持つ名古屋にスポットを当て、名物料理とその雑学を盛りだくさんでご紹介したいと思います!
この夏、真田軍が出陣! 小諸駅・真田御膳【後編】
そんな真田家のゆかりの地は信州上田。駅弁「真田御膳」を販売している小諸駅から、しなの鉄道・長野行きに乗っておよそ20分で上田駅に到着します。ちょうど駅弁を食べ終わるくらいの時間ですよね! さて、上田といえば今や日本有数の春祭りとなった「上田城千本桜まつり」が有名です。真田幸村の子孫らが幸村や真田十勇士に扮して城下町を練り歩きます。しかしながら夏の上田も魅力たっぷり!小諸までの鉄道の旅を楽しむのであれば、旅のお供として真田関連の文庫本を持参してみてはいかがでしょう。オススメは、ご存知の方も多いと思いますが池波正太郎氏の小説『真田太平記』。 武将、真田昌幸とその長男、信幸(信之)、次男の信繁(幸村)の生き様を描いた傑作です。猿飛佐助、霧隠才蔵、三好清海入道など、真田幸村に仕えた忍者軍団「真田十勇士」の活躍も魅力のひとつ。ちなみに俳優の根津甚八さんは「根津」のみ本名。真田十勇士の一人で、大阪夏の陣で真田幸村の影武者として討ち取られた「根津甚八」から名前を拝借したそうです。
当然ながら、上田には真田家に関する観光スポットも満載。真田昌幸が築城した上田城は、上田城跡公園として整備されています。今年の8月5日(日)・6日(月)には同公園で「風林火山・信州上田夏まつり」を開催。真田鉄砲隊をはじめ、真田軍の出陣が再現される予定です。 また、この地は良質な温泉が湧く地としても知られています。別所温泉は『真田太平記』にもしばしば登場。外湯のひとつ「石湯」の前には「真田幸村公隠しの湯」の標石があります。他ならぬ池波正太郎氏の筆です。 歴史に興味のある方もそうでない方も、夏の信州を楽しむ鉄道の旅へ出かけてみませんか?
真田の心意気「六文銭」の飯! 小諸駅・真田御膳【前編】
真田といえば信州の武家。真田幸隆、真田昌幸、真田幸村、真田大助などの武将や猿飛佐助、霧隠才蔵などの「真田十勇士」など、個性豊かで魅力的なキャラクターが歴史ファンに人気を博しています。そのあたりの話は後編でするとして、さっそくお弁当を食べてみましょう。パッケージには明治中期頃の上田城が描かれています。 封を開けてまず目に飛び込んできたのが、真田の旗印「六文銭」をかたどったご飯!まだ一口も食べていないのに、歴史ファンや真田ファンなら、もうこれだけで満足してしまいそう!白米のご飯と炊き込みご飯が3つづつ、計6つの「銭」ご飯です。炊き込みご飯のほうを食べてみますと、これがなんとも品のある味。“武将系”でありながら女性的とでもいいましょうか。しめじ、ひら茸、なら茸の3種のきのこが心地よい香りを担当しています。
そして、天ぷら。まずはじゃがいもの天ぷらですが、これ、じゃがいもが「ほくほく」ではなく「しゃきしゃき」な点を評価したいです。駅弁は「冷める」宿命にあるわけですから、なかなかカラリとした天ぷらは実現しにくい。どうしてもモチッとした衣になります。そこで中身まで「ほくほく」だと食感にメリハリが出ず、もっさりした味になってしまうことでしょう。抹茶塩とのコンビネーションも抜群でした。 そしてデザートとして、杏の天ぷら。これはあんずの果樹園が多い信州ならではの料理です。おそるおそる口に入れてみるも、びっくりするほど美味い!衣は限りなく薄いので「カリッ」とした食感となり、中の杏はしっとり柔らかい。先ほどのじゃがいもと逆の原理です。まるで上品な和菓子をいただいている感覚。真田様、恐れ入りました! ということで、やはり武将系駅弁は美味かった。次回は真田家のお膝元、信州・上田や小諸などで歴史探訪と参りましょうぞ!
琵琶湖を知り、なまず天丼を食べる旅へ 草津駅・照焼なまず弁当【後編】
そんななまずを育んだ琵琶湖には、現在、50種以上の魚が棲んでいるといわれています。ビワコオオナマズも、そのうちのひとつ。日本に棲息しているなまずの中では日本最大といわれ、日本の在来種の中では最大の淡水魚として知られています。大きいサイズだと、1メートルを超えるものも!寿命も長いもので20年程になるそうです。まさに「琵琶湖の主」といったところでしょうか。 そんなビワコオオナマズに出会える場所が、滋賀県立琵琶湖博物館です。駅弁「照焼なまず弁当」を販売している草津駅から近江鉄道バスの「烏丸下物線烏丸(からすま)半島行き」に乗り、琵琶湖博物館前で下車。所要時間は約25分です。水族展示室ではビワコオオナマズのほか、ビワマスやアユなど、琵琶湖に棲む魚達を見ることができます。その他、琵琶湖の生い立ちや人との関わりの歴史などが各種資料とともに展示されています。
外来魚は琵琶湖の生態系にも大きな変化をもたらしました。ビワコオオナマズも煽りを受けた魚のひとつ。エサが減り、絶滅も危惧されているほどです。そのため滋賀県では、ブラックバスやブルーギルといった外来魚の「キャッチ・アンド・リリース(釣った魚を逃がす行為)」を禁止しています。固有魚を守り、琵琶湖の生態系を取り戻す取り組みの一環としての条例です(滋賀県琵琶湖レジャー対策室)。 なまずを知り、なまずを食べる鉄道の旅、この夏いかがですか?
見た目とは裏腹に味は淡白! 草津駅・照焼なまず弁当【前編】
ウナギはあるけど、さすがになまずを使った駅弁は珍しい!日本で唯一かもしれません。そもそも、駅弁に限らずなまずを食べる機会もなかなかないですよね。まさに一度は食べてみたくなる駅弁です。 さて、パッケージには四コマ漫画が載っていて、食通と思しき旦那さんが「食通のわしを魅了する味なのだろうな」→「うまーい!」と唸っています(漫画的なオチはこれといってナシ)。そしてお弁当から紐がヒョロリと伸びています。ご存知、紐を引っ張る加熱式駅弁です。
ふと気がついたのですが筆者、なまずを食べるのはこれが初めてでした!でも少し調べてみますと、なまずの食文化を持つ地域もいくつかありました。たとえば埼玉県の吉川市。ここは「なまずの里」としてPRしています。江戸川や中川が流れるこの地では昔から川魚料理が根付いていて、なまず料理の店はもちろん、なまずグッズも販売しています。吉川駅の前には金色に光るなまずのモニュメントも!近くへ立ち寄った際は、ちょっと寄ってみようかと思います。ちなみに、天丼のチェーン店として有名な「てんや」さんでは以前限定で「なまず天丼」を販売していたことがあります。 さて、同駅弁を販売する草津といえば、なまずの生息する琵琶湖のお膝元。 琵琶湖のお話は後編に続く・・
松阪の名を知らしめた、牛を連れての大行列 松阪駅・モー太郎弁当【後編】
牛肉の需要が高まるなか、松阪の山路徳三郎なる人物が一計を案じます。松阪の牛を東京でも広めたい、その想いから、松阪から数十頭もの牛を引き連れ、徒歩で東京を目指しました。これが世に言うところの「牛追い道中」です。鉄道も使わず、クルマも普及していない時勢、徒歩での長旅は世間の注目を集め、牛鍋屋や社交場からの発注が相次ぎます。明治5年から始まった牛追い道中は、鉄道網がひとしきり整備された明治30年代に入るまで行なわれたそうです。今でこそブランド食材は多く世に出ていますが、今も昔も「人のやらないこと」を行い、インパクトを与えて有名にする、ということに変わりはありませんね。 そんな牛肉の食文化が広まる中で、駅弁「モー太郎弁当」を販売する「あら竹」さんが創業。明治28年のことです。以来、電車の中で駅弁を食べる楽しみを与え続けてくれています。駅弁の開けるとメロディが鳴る、という画期的なアイデアもさることながら、ある種のエンターテイメント性が「あら竹」さんの魅力のひとつ。その表れか、「あら竹」のホームページの充実度がスゴイんです!テレビ番組「タモリ倶楽部」に「モー太郎弁当」のオリジナルソングが紹介されたときのレポートなど、読み応え満点ですのでぜひ一度覗いてみてください。 ◇「あら竹」さんのホームページ
さらに松阪は、知る人ぞ知る「廃線の地」でもあるんです。かつて松阪駅から櫛田川中流の大石駅までを三重電気鉄道松阪線が走っていましたが、現在はバスターミナルとして活躍し続ける駅舎や、線路の面影が残るあぜ道などが郊外に残っています。 夏に向けて松阪への旅、いかがでしょう。本場で美味しい牛肉が待ってますよ!
腹が鳴れば音も鳴る!?絶品すき焼き駅弁 松阪駅・モー太郎弁当【前編】
パッケージからして一筋縄ではいきません。牛の角がニョッキリ出ています。紙の部分をとると、やけにリアルな牛の顔が出現します。これだけでも充分楽しめますが、この駅弁の真骨頂はフタを空けた瞬間にあります。パッ・・・・と開けるやいなや響き渡るオルゴール調の音色!フタの内側にメロディセンサーが付いていて、光に反応したセンサーが童謡「ふるさと」を奏でます!忘れがたきふるさと、忘れがたき駅弁ここにあり。ちなみにこのセンサー、取り外すことができます。中ブタには「2000回の再使用可能。机、冷蔵庫、クローゼットなどにシールでお取り付けいただけます」の文字。1日1回鳴ったとして5年以上持つなんて、ますます忘れがたい!
おっと、話がそれましたが、この「モー太郎弁当」とて美味しいことに変わりなし!肉は松阪名物の「すき焼き」仕立て。甘辛で美味しくてみずみずしく、脂身のバランスも絶妙です。ショウガの香りも鼻をくすぐります。いわゆる巷の牛丼などとはまったく違いますね。ねっとりと深みのある味わい。 しかしなぜ、松阪牛がこれほどまでに有名になったのかご存知ですか?次回はそのルーツを探るとともに、タモリさんも唸った「あら竹」の創意工夫、そして松阪の地を走っていた幻の鉄道など、盛りだくさんで紹介しようと思います!
ホーム立ち売りで郷愁を、祇園山笠で高揚を!折尾駅・かしわめし【後編】
鶏ガラスープで炊いたご飯に鶏肉を乗せる「かしわ飯」も代表的な鶏料理のひとつ。北九州のうどん屋さんでもよく扱われている定番メニューなんです。「かしわめし」を販売している折尾駅でも、通常の売店のほかにうどん屋さんでも駅弁を販売しています。そして折尾駅にはもうひとつ、「かしわめし」の購入場所があるんです。
東京からのアクセスですと、飛行機で福岡空港にひとっ飛び、もしくは新幹線で博多駅まで向かう方が多いかと思います。折尾駅をはじめとした一帯はスルーしてしまいがちですが、じつは見どころも豊富なんです。これからの季節ですと、「祇園」などのお祭りがオススメ。祇園といえば京都祇園祭が有名ですが、7月18日から20日にかけて行なわれる「小倉祇園太鼓」、7月20日から23日まで開催の「黒崎祇園」、7月25日から27日は「戸畑祇園大山笠」といった具合に、京都に負けずとも劣らない勇壮な祭りが目白押しです。ちなみに有名な「博多祇園山笠」は7月1日から15日まで開催です。 折尾駅のホーム立ち売りで「かしわめし」を楽しみつつ、北九州の勇壮な祭りを「ハシゴ」する旅、いかがでしょう!
「日本一」の呼び名高い鶏駅弁!折尾駅・かしわめし【前編】
「かしわめし」を販売しているのは、鹿児島本線と筑豊本線が交差する北九州の折尾駅。その周辺の路線図と観光地が描かれた包装紙を開けると、昔ながらの懐かしい経木の容器ですよ!今となっては珍しいですが、なんともぬくもりを感じます。封を開けると、これまたなんとも懐かしい見た目!色とりどりのそぼろご飯は、お母さんが作ってくれたお弁当を思い出しますね。
つけあわせは緑豆、奈良漬、こんぶの佃煮。ちなみに今回食べた「かしわめし」は、3種類ある東筑軒の「かしわめし」において「中」のグレード。価格は750円です。他にコンパクトな長方形の容器で650円の「かしわめし」と、エビなどのおかずがついた1000円の「かしわめし“おりお”」があります。おなかの空き具合に合わせて選びたいところです。 現在、「かしわめし」は折尾駅だけでなく、若松駅や八幡駅などでも販売されています。しかし、購入するなら折尾駅がオススメです!その理由は次週お送りいたします!
球磨川の急流が育む、大ぶりな「尺鮎」 JR八代駅ほか 鮎屋三代【後編】
駅弁の存在自体はまだ生まれたてといえますが、この味を創り出した「より藤」さんの歴史はとても深いんです。熊本県を走る日本三大急流のひとつ、球磨川。その恵みを受けた八代の地において、「より藤」の初代店主、頼藤清さんは鮎の行商を始めたとのこと。焼き鮎、甘露煮の秘伝は二代目に受け継がれ、現在の三代目がその味を「駅弁」というかたちで全国区にしました。 球磨川は、鮎の獲れる川として全国でも屈指の河川です。急流で揉まれて育った鮎は、一尺(約30センチ)を超えることも。いわゆる「尺鮎」と呼ばれています。駅弁「鮎屋三代」の包装紙にも、2002年9月24日に獲れた尺鮎の実物大魚拓がプリントされていて、体長は34センチ!これらの大物を狙う釣り名人が全国から球磨川に足を運ぶのもうなずけます。川を登る鮎の数は年々減っているとのことですが、今年の春はたくさんの稚鮎が放流され、昨年を上回るといわれています。例年8月には、球磨川の流れる球磨村で「日本一の大鮎釣り選手権大会」が開かれるので、腕に自信のある方は是非!
伝統の技が「鮎」に凝縮!九州屈指の人気駅弁 鮎屋三代【前編】
駅弁の封を開けると、中央に鮎がまるごと一本!艶やかなフォルムの鮎が、あめ色に照り輝いています。ここはひとつお行儀悪くいってみましょう。鮎を箸で取り、大口を開けてお腹のあたりをガブリとかぶりつく!すると、じんわりと鮎のほろ苦さと、甘露煮の柔らかい甘味がこみ上げてきます。美味いな~。甘露煮のタレが濃すぎると魚本来の味やほろ苦さを殺してしまいがちですが、さすがといいますか、薄めの味つけが絶妙です。もちろん、骨まで丸ごといただけます。頭までガブリといけちゃいますよ。ホロホロと口の中でほどけていく感覚です。背骨の辺りや頭は他より苦味が効いていて、お酒がほしくなること必至ですよ! 炊き込みご飯も、すばらしいの一言。焼き鮎からとったダシで炊き込んであり、爽やかな香りが鼻腔をくすぐります。あっさりと炊き込まれたしめじ、そしてご飯にまぶしてある山椒の実や一味。いずれも効いています。創意工夫がしっかりとなされている印象を受けました。冷めていても美味しい。甘露煮の味の濃さを抑えた理由は、ご飯とのバランスにあったんですね。
ということで、今回は大満足でした!星5つ!ということで、実はこの「鮎屋三代」、JR九州が実施している「九州の駅弁ランキング」3年連続1位という記録を持っているほどの人気駅弁なんです。その人気はどのようにして生まれたのか、駅弁と熊本の鮎のルーツを次回探ってみたいと思います!
観光型の港「沼津港」へ行ってみよう!沼津駅・三島駅 二色まぐろ重【後編】
そして、マグロの「部位」ではどこが好きかというと、やっぱり皆さん「トロ」をイメージしますよね。トロリととろけるような食感がなんともいえず美味ですが、一説には「トロリ」という食感が「トロ」の語源であるとのこと。うーむ納得。ただ、美味な分、お値段が張ることも事実。お寿司屋さんでも「マグロ(赤身)」と「トロ」は同じ魚でありながら別物扱いです。一本のマグロから取れるトロの量が微々たるものであるため、致し方ないといえますね。ただ、トロは昔から高級品だったわけではありません。変色しやすいため、輸送技術が未熟だった昔はあまり人気はありませんでした。近代化が進んで輸送技術が発展したことと、西洋の文化が流入して「脂身=美味」という認識が少なからず生まれてきたことから、現在の隆盛に繋がったとのこと。しかしそうなると人間の欲求はたくましいもので、現在は圧倒的にトロの部位が多い「畜養マグロ」なるものが生まれています。獲ったマグロを生簀(いけす)で飼い、人工的に脂身の多いマグロを作り出しているんです。 さて、話を「静岡」に戻しましょう。駅弁「二色まぐろ重」を販売している沼津駅から約2キロのところに沼津港があります。沼津港は国土交通省の各地方整備局によって登録される「みなとオアシス」に認定されています。港周辺には新鮮な魚介類の丼物などを提供する飲食店が立ち並び、展望施設を備えた大型水門「びゅうお」や、朝のセリの風景も一望できる水産複合施設「沼津魚市場 INO(イーノ)」などがあり、単なる「港」ではなく、れっきとした「観光地」として楽しむことができるように整備されています。
2つの味を楽しむ「づけマグロ揚げ」駅弁!沼津駅・三島駅【前編】
この駅弁は、今年1月に京王百貨店新宿店で行なわれた「第43回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」に登場した一品。千葉駅の駅弁「勝浦鰹のたたき漬け炙り盛り」とともに「伊豆と房総の“半島対決”」企画として大会を盛り上げました。 葛飾北斎が描く「波」と「富士」をモチーフにしたパッケージを開けると、カラリと揚がったマグロがドーン!駅弁名に「二色」とあるように、「黒」と「白」が二片ずつご飯の上に乗っています。容器自体は小ぶりなのですが、これはなかなかのボリュームですよ。 さっそく「黒」から食べてみます。これはいわゆる「竜田揚げ」ですね。特製のタレで「づけ」にして揚げたマグロを、自家製甘ダレで絡めてあります。ちょっと身の硬さは感じるものの、そんなには気になりません。というか美味いですよコレ。身が厚いのでマグロ本来の味もしっかり伝わってきますし、外側に絡められた濃厚なタレの旨味もたまりません!ご飯がどんどん進みます。ご飯は酢飯なのですが、その上に刻みショウガとシイタケ煮がまぶしてあります。それらが絶妙なアクセントになっていて、これがまた美味し!
考えてみればマグロのみならず、ワサビやシイタケも静岡の名産品です。ご当地の食文化を「駅弁」というスタイルで全国へ伝えている同駅弁、大変美味しくいただきました!さて次回は、旬のイベント情報を交えつつ、グルメどころ静岡の魅力をタップリと伝えたいと思います。
現代に通じる「近江商人」の経営哲学~草津駅・淡海のてんびん弁当【後編】
では、「てんびん」の由来は何か?これは、かつて全国で活躍した「近江商人」のシンボルです。近江、とりわけ草津は東海道と中山道の合流点でもあり、いわゆる宿場町でした。交通の要となった近江の商人達は、この町での商いにとどまらず、天秤棒を担いで全国を行脚しました。近江の産物を他の地域で売り、帰りは地域の産物を近江に持ち帰って売る。そして今では一般的な「支店」の考えも導入し、全国にネットワークを築いて富を得ました。丸紅や伊藤忠、デパートの高島屋など、近江商人を源流に持つ企業はじつにたくさんあります。 「近江の千両天秤」ということわざがありますが、これは「たとえ千両という富を築いた場合でも、天秤を担いで行商せよ」という意味合いです。現状に満足するなという心に、「初心忘るべからず」の精神がミックスされたような言葉ですよね。 このような経営哲学を、近江商人達は常日頃から意識していました。その哲学は現在でも通じるものばかり。近江商人に学べ!といった主旨のビジネス書も多く出版されています。 彼らの哲学を現した、代表的なフレーズが「三方良し」。この「三方」とは「売り手」と「買い手」、そして「世間」です。商売とは、これらすべてを満足させるものでなくてはならないという考えでした。売り手と買い手までは分かりますが、江戸時代に「世間を満足させよ」という考えはかなり先進的。今でいうところの「地域貢献」に近いと思います。
出張先での食事はなかなか時間がままならず、駅弁で済ませているという方もいらっしゃるはず。「淡海のてんびん弁当」は、そんな方にぜひ食べていただきたいお弁当です。
「肉」と「魚」を両天秤にかける!~草津駅・淡海のてんびん弁当【前編】
草津駅といっても、群馬県にある「温泉の草津」ではなく、滋賀県の琵琶湖を望む草津市。混同されている方も多いらしく、草津市観光物産協会のホームページによると「オススメの温泉宿を教えてください」という問合せがよくあるそうです。ちなみに「草津」とつく地名は全国で5ヶ所あります。 さて、さっそく駅弁を食べてみます。見た目は文字通り、天秤です。お箸が天秤棒となっています。封を開けると、片方は「肉」がメイン。もうひとつは「魚介類」がメイン。これはいいですねぇ。肉も魚も食べたい、でもどっちにすればいいか迷う。そうこうしているうちに列車の出発時刻が!という状況下に陥ったらすぐさまこの駅弁を担いで乗車したいところです。
そしてもうひとつ、魚介類がメインのほうは、いわゆる海鮮ちらしです。しっかり酢が効いた酢飯の上に、エビ、うなぎ、わらび、れんこん、錦糸玉子が乗っています。特筆すべきはうなぎ!味が濃厚で、口に含むとホロッと解ける柔らかさは絶品。これは思わぬ掘り出し物です。たくさんのおかずがある中で、こうした逸品が発見できる・・・これぞ駅弁の醍醐味です! ひとつの容器の大きさは、手のひらにすっぽり収まるくらい。わりと小ぶりなのですが、容器がふたつあり、おかずもバラエティに富んでいて、お肉も存分にある、ということで、非常に満足度と満腹度の高い駅弁に仕上がっているなと思いました。さすが近江商人のお膝元の駅弁です! 「美味しいのはわかった。で、この駅弁のどこが“ビジネスのキャリアアップ”に繋がるの?」と思った人も多いはず。その答えは次週お届けしますので、ぜひチェックしてくださいね!
秀吉が禁じ、博文が禁を解いたフグ JR下関駅・ふく寿司【後編】
「フグは食いたし、命は惜しし」の慣用句どおり、フグには毒があります。そのため、フグの俗称は“テッポウ”。昔は鉄砲自体の精度も、扱う人の腕前も未熟だったゆえ「なかなか当たらない。でも当たれば死ぬ」ということになぞらえていました。フグの鍋の呼称「てっちり」や、フグの刺身「てっさ」、フグの皮「てっぴ」の「てっ」も、“テッポウ”からきています。 そのため調理には一般の調理師免許だけでなく、各都道府県の定める免許や資格が必要です。この“行政のお墨付き”を最初にもらえたのは、明治時代の下関でした。 時は遡り、豊臣秀吉の時代。朝鮮に出兵する兵士達の間でフグの毒による中毒死が相次いだため、秀吉は全国にフグを食べることを禁じる通達を出しました。時は流れて明治時代、一説には、かの伊藤博文が下関でフグを食べ、あまりの美味さに感激して、地域限定で禁制が解かれたといいます。その際、伊藤博文がフグ料理を食した下関の料亭「春帆楼」は、今もなお健在です。
そして 5 月 3 日・4 日に、下関の春の一大イベント「しものせき海峡まつり」が開催。3 日には豪華絢爛な衣装を纏った太夫が市内を練り歩くほか、「武者行列」や「源平船合戦」(海上パレード)が行なわれます。4 日は「巌流島フィスティバル」と題し、宮本武蔵と佐々木小次郎の決闘で有名な巌流島を舞台にさまざまな催しが実施されます。 駅弁「ふく寿司」に舌鼓を打ちつつ、春の下関を満喫してみませんか?
フグの身と皮、酒漬けウニの「オトナの駅弁」 JR下関駅・ふく寿司【前編】
下関など一部地域では、フグのことを「ふく」と呼びます。フグは「不遇」に通じるので、「福」に通じる「ふく」となった等、呼び名の由来には諸説あります。たしかに「ふく寿司」というと縁起いいですよね。 丸い容器にはユーモラスなイラストが入っています。その色合いは、白を基調に黒、青、黄色と、ちょっと地味め。しかしフタを開けてみると、あたかも竜宮城のような色とりどりの美しさ。いわゆる「ちらし」ですね。さっそくフグからいただいてみると、なるほど、少し身が硬いものの、フグ本来の淡白でありながら上品な味わいが楽しめます。とエラそうなことを言っていますが、実は普段あまり食べたことがないので、あくまでも個人的な想像と印象です(笑)。ご容赦ください。 お次はフグの「皮煮」。お酢で仕上げてあって、面白い食感。チビチビと食べるならお酒、一気に頬張るならご飯との相性が良さそうです。同じく酢の物のわかめ、こちらはまぶしてある白ゴマの香りが食欲をさらに増進させる感覚です。
「ちらし寿司」の真髄は、どれが主役ということなく、バラエティに富んだ味を堪能できるところにあります。この駅弁も「ふく寿司」と銘打っているものの、フグ以外のおかずに趣向が凝らされていて、全体として良い出来になっていると思いました。パッケージはかわいらしいものの、中身は「オトナの駅弁」といえるでしょう。 さて次回は、「ふく」の食文化と、下関の春の一大イベントについてご紹介します!
宍道湖が育んだ「七つの珍味」と「十の名勝」 JR松江駅・大和しじみのもぐり寿し【後編】
1970年代初期には、この宍道湖だけで約2万トンの水揚げがあったといいます。しかし年々獲れる量が減っているのが現実です。そのため宍道湖では、1日の量は140キログラムまでと制限され、漁の時間帯や曜日も決まっています。漁の方法は、駅弁「大和しじみのもぐり寿し」のパッケージにもあるように、長い棒の先に金網をつけた「鋤簾(じょれん)」と呼ばれる漁具で、湖底のしじみを砂とともに掬い取ります。鋤簾の金網の「目」の大きさも決まっていて、小さな稚貝を取っても金網の「目」から抜け落ちるようになっているんです。 さて、宍道湖にはしじみ以外にも「珍味」となる魚介類が生息しており、総称して「宍道湖七珍」といわれています。ひとつづつご紹介しますと、まずは「白魚」。天ぷらなども美味ですが、釜揚げや「吸い物」にする際、白魚だけでダシがとれるのが特長です。魚本来の味がそれほど濃厚ゆえ、二杯酢で活きたまま食べる「おどり食い」なる食文化も登場したのでしょう。江戸時代には東京湾でも獲れ、徳川家康も好んで食べたそうです。額に浮き上がった斑点が、徳川の御紋である「三つ葉葵」にも似ていることから、殿様魚などとも一部地域では呼ばれていました。 白魚と同じく、将軍様の御膳料理として親しまれていた「鯉」も、宍道湖七珍のひとつ。身を細切りにし、塩で茹でた卵巣と和えて食べる「鯉の糸作り」は島根県の郷土料理として親しまれています。
また、宍道湖には「七珍」のみならず、風光明媚なスポットを厳選した「十景」もあります。「松江城の雪」「天倫寺の晩鐘」「秋鹿の出雲富士」「一畑寺の月」「平田愛宕山の秋色」「宍道の宿の夕鴨」「玉造灘の春霞」「嫁ヶ島の残照」「白潟沖のえびかがり」「大橋の朝霧」です。 「十景」と「七珍」を巡る宍道湖の旅、いかがですか?
濃厚しじみとあっさり白魚の競演! JR松江駅・大和しじみのもぐり寿し【前編】
しじみの一大生産地といえば、鳥取県に広がる宍道湖。同駅弁は鳥取県松江市の駅弁です。昨今、駅弁ブームの影響もあって、派手なパッケージの駅弁が次々に登場していますが、この駅弁は至ってシンプル。白地に朱色で文字が書かれ、紺色でしじみ漁が描かれています。派手な駅弁の中で、これは逆に目立ちますね。さっそく封を開けると、中身はなかなかの賑わいぶり。しじみに白魚、ちくわ、エビ、あなご。大人好みのするラインナップです! さっそくメインのしじみをご飯とともに一口。甘辛く煮込まれたしじみが実に濃厚。さらに貝特有のほろ苦さが加わって、ご飯が進みます。身がアサリなどに比べて小さいがゆえ、まさに「ご飯のおとも」といった佃煮風の感覚。お酒ともよく合いそうです。 そして、白魚。パッケージを一見しても、白魚が入っていることは予測できませんでした。なので嬉しさ倍増!あっさりと湯がいた釜揚げの白魚は、白魚特有の甘味、その裏にあるかすかな塩味が絶妙のバランスです。そして天ぷら。「カリッ」ではなく「モフモフ」した食感ではありますが、こちらは駅弁のフタと中身の間に敷かれていたシートが程よく油を吸い取っているため、しつこくなくて美味いです。冷めていてもこれだけの味が出せるということは、油そのものも良質なはず。
そして完食。パッケージがシンプルゆえ、ここまでおかずが多彩だとは思いませんでした。
“本場”は大館、“発祥”は鹿角 JR秋田駅・あったけぇきりたんぽ弁当【後編】
一方、秋田名産きりたんぽは「うるち米」です。うるち米を秋田杉の棒に巻きつけて焼いたのち、棒を外して食べやすい大きさに切ってあります。切る前の段階では「きり(切り)」を外した「たんぽ」と呼ばれます。この「たんぽ」、一説には槍の刃身に被せる鞘を「たんぽ」と呼んでいたことから、形状が似ているとあって名づけられたとのこと。たしかに形状が似ていますよね。 こうした食べ方を最初に始めたのは猟師だったといわれています。仕事を終えた猟師が、残ったご飯を棒につけて炙り、きのこや山菜などの山の幸を煮た鍋に入れたり、味噌を塗って食べていたことに端を発し、現在では秋田を代表する郷土料理になりました。昨年、農林水産省が選定した「農山漁村の郷土料理百選」にも、秋田の料理として稲庭うどんとともに名を連ねています。ちなみに秋田では学校の給食としてきりたんぽが出ることもあるとのこと。
そしてもうひとつ、鹿角(かづの)市。こちらは“発祥”としての地位を確立しています。鹿角(花輪)地方に料理として広まったのは明治10年代といわれています。時とともに鍋のスープは味噌から塩、醤油と変遷し、現在では醤油ベースの鶏ガラスープが本流といえます。鹿角市でも秋になると「発祥の地 鹿角きりたんぽ祭」が開催され、きりたんぽ料理コンテストなどが行なわれています。 大館も鹿角も県北に位置し、海に面していません。よってきりたんぽ鍋は魚介類を使わないのが王道。なお、県の南は山形県の郷土料理「芋煮」の文化が色濃くあり、北部に比べるときりたんぽにあまりなじみがないそうです。 ともあれ、秋田を訪れた際に一度は食べたいきりたんぽ。駅弁でその味覚を存分に楽しんでみてはいかがですか?
秋田比内地鶏ガラスープの「鍋駅弁」!~JR秋田駅・あったけぇきりたんぽ弁当【前編】
同駅弁は、お馴染みの加熱式。容器から出ている紐をシュッと引いて8分程度待つとホッカホカになりますが、他の加熱式駅弁と異なる点がひとつ。紐を引く前に、スープをいれます。このスープ、なんとあの秋田比内地鶏のガラスープです!さすがに鍋のように「グツグツ」はいわないものの、湯気とともに鶏ガススープの香ばしい香りが漂ってきます! そして、アツアツになったところをご開帳。うーむ見た目も素晴らしい!色合いは少々地味ではありますが、なんとも身体によさそうな色彩、とでもいいましょうか。さっそくメインのきりたんぽからいただくと、なるほど!これは美味!きりたんぽはお米で出来ていますが、口の中でぬくもった米がほろりと解きほぐされていくような感覚。鶏ガラスープがよく絡まって、程よくジューシーです。ヘンな言い方ですが「米よりも米らしさを感じる」とでもいいましょうか。お米の旨味がしっかり堪能できます。さらにきりたんぽは杉の棒に巻いて作るゆえ、中は空洞になっています。この量で中までギュッと詰まっていたらすぐに満腹になり、飽きてしまうような気がします。なんとも程よい量の加減ですね。
脇役も秋田の名産です。漬物はいぶり大根。「いぶりがっこ」とも呼ばれますね。もともとは大根を早く乾燥させるため、囲炉裏の上に干し、燻って生まれた「がっこ(漬物)」です。コリッと噛むと、フワッと香る燻製の美味さ。「雅(みやび)に香る」ことから「雅香(がっこ)」の名がついたといわれています。 東北の漬物は関西などに比べると塩味が効いています。そんな配慮からでしょうか、もうひとつの漬物は「ちょろぎの酢漬け」です。おせち料理でよくみかけるちょろぎも秋田の名産品。秋田ではお正月以外の時期にも食卓に上る家庭も多いそうです。きりたんぽや煮物の食感が柔らかいだけに、これら漬物が程よいアクセントになるんですよね。 そして完食。なんだか田舎の家に招かれて、一晩泊まったようなホッコリした気持ちになりました!やはり暖かい駅弁はイイ!さて次回は、きりたんぽの歴史や「町おこし」の現状などについてご紹介します。
カニまるごと8杯!知る人ぞ知る「開高丼」 越前ちゅんちゅんかにめし【後編】
そしてズワイガニの「メス」は「セイコガニ」と呼ばれています。地元では価格の安さ、身の甘さもあって、セイコガニがよく食べられているとのこと。ズワイガニは地元でも高嶺の花なんですね。ちなみに越前ガニ漁の解禁は、毎年11月6日の午前0時。今シーズン、福井県三国港の初セリでは、例年2割安ながら越前ガニが1杯3万円、セイコガニが1杯2500円の最高値がつきました。 「越前ちゅんちゅんかにめし」に使われているのはズワイガニ、そして紅ズワイガニの名も原材料名の中にありました。ズワイガニよりも深海に棲む紅ズワイガニは、その名のとおり茹でる前から赤味がさしていて、身は甘くて瑞々しいのが特長です。 そして、ズワイガニが水揚げされる港が点在する地といえば越前海岸です。海岸の近海は、海底が段々畑のようになっていて、カニの棲家として適しているとのこと。水揚げされたズワイガニは、近隣の旅館やホテルにとって冬場の貴重な観光資源といえるでしょう。
「こばせ」へは、福井駅からJR北陸本線・敦賀行でおよそ20分の武生駅からバス、もしくはタクシーでのアクセスとなります。付近には越前岬水仙ランド、越前がにミュージアム、日本海の水平線が一望できる露天風呂「漁り火」など、レジャースポットも多々あります。そして国道305号線を北上すれば、福井きっての名所、東尋坊。思う存分、冬の福井を楽しみ、カニを満喫し、帰りの電車の中で「カニ尽くし」の締めに「越前ちゅんちゅんかにめし」。そんな旅、いかがですか?
温めて食べる究極のカニ駅弁! JR福井駅・越前ちゅんちゅんかにめし【前編】
“ちゅんちゅん”とは福井弁で「アツアツ」のこと。紐をひっぱるとシューッと湯気が出て温まる加熱式容器の駅弁ゆえのネーミングです。福井駅といえば一年を通して販売されている「越前かにめし」が有名ですが、冬場のみ、この「越前ちゅんちゅんかにめし」が売店に並びます。 紐をひっぱって8分待って、文字通り“ちゅんちゅん”になった駅弁の封を開けると、当然ながらあふれ出すカニの香り!そしてご飯を埋め尽くすカニのほぐし身と足の棒肉。さらに駅弁には珍しく「カニミソ」までついてます。これぞ冬の幸福なる風景!目で見て、香りを嗅いで存分に楽しんだところで、さっそく舌を喜ばせるべく、ご飯と共に一口。うまっ!ご飯はうるち米、しかもカニの風味を伴っています。どうやらカニからとったダシや外子(お腹についてる卵)などと炊き込んであるようです。カニミソも少し入っているかも。
そして、カニミソです。お箸の先で少し取って舐めてみました。これは・・・脳天に響く美味さです(笑)。なんたる濃厚さ!まぁカニミソは大抵濃厚なものですが、まさか駅弁でコレが食べられるとは思ってみませんでした。海苔の佃煮風にご飯にちょっとづつつけて食べてみましたが、これだとあまり味気ないかも。はやりカニミソをケチらずにパクッと食べる。そこでピュアな味を楽しんだのち、後味が残っているところにご飯を食べる!そして欲をいえばその後に日本酒をクイッ!これぞ北陸の冬の醍醐味だと思います。 そして完食。いやはや、満足です。この満足感は、カニの美味しさもさることながら、「量」に起因するのではないでしょうか。ご飯の量がカニに比べて多すぎると、得てしてカニ(おかず)をケチって食べてしまいます。ご飯を消化するために、おかずを食べるペース配分を意識しなくてはならないわけです。それがこの駅弁には、ない。カニの量が多く、ご飯そのものもカニの味。おまけにカニミソまでついている。最初から最後までカニ尽くし。これで1500円。昨今、加熱式駅弁は最低でも1000円はすると思います。ともすれば1200円などもあることを考えれば、このカニの味と量で1500円は適正価格もしくはお得だ!と感じました。 日本人の心を舌を魅了してやまない、冬のカニ。次回は福井の「越前ガニ」について、さらに食通で知られた作家・開高健が愛した「究極のカニ丼」を食べられるスポットをご紹介します!
かつて沖縄の地を走っていた電車があった 海人がつくる壷川駅前弁当【後編】
全国にはいくつものモノレールが走っていますが、「沖縄ならでは」の特長が「ゆいレール」にはあります。まず、始発が遅いかわりに、終電は比較的遅くまであること。始発は沖縄空港駅、首里駅ともに6時。終電は23時半です。日没が遅いことと、「夜が長い」沖縄県民のライフスタイルに合わせているといえます。 また、各駅にはそれぞれの駅をイメージしたアートガラスや、その駅特有のシーサーが飾られているのも楽しいところ。「海人がつくる壷川駅前弁当」の壺川駅は、豊漁を願う海の祭り「ハーリー」や、マングローブが描かれたアートガラスがあります(各駅のアートガラスは、ゆいレールHPのオンライン美術館で見ることができます)。
しかしながら、かつて沖縄に「電車」が走っていたこと、ご存知ですか?大正初期から昭和8年にかけて、那覇港から首里まで沖縄電気軌道、いわゆる路面電車が走っていました。昭和になると庶民の足代わりとして台頭してきたバスにお株を奪われたかたちで廃線となったとのこと。 そしてもうひとつが軽便鉄道。那覇を中心に、与那原行き、嘉手納行き、糸満行きの3路線を要した鉄道は、県民の足代わりであるとともにサトウキビの重要な輸送機関でした。空襲によって被害を受け、そのまま廃線となった悲劇の鉄道です。現在では、市内の数箇所に線路が敷かれていた形跡が残っています。また、名護市にある「ネオパークオキナワ 名護自然動植物公園」には、当時の軽便鉄道を3/4スケールで再現した列車が園内を走っています。 始発駅から終着駅まで乗ったとしても約30分。通常の駅弁のように、電車に乗りながら食べるといった行為はちょっと難しいかもしれませんが、旅の思い出にぜひ食べてみてはいかがでしょう。壺川駅で駅弁を買い、同沿線の赤嶺駅(日本最南端の駅!)で食べてみる、というのもなかなかオツだと思いますよ!
南国沖縄・日本最南端の駅弁!海人がつくる壷川駅前弁当【前編】
包み紙には「沖縄発 日本最南端の駅弁!」とあります。しかし駅構内での販売ではなく、壺川駅から国場川沿いを少し歩いたところにある「壷川直売店さかな」で販売しています。同店は那覇市沿岸漁業協同組合の直売店ゆえ、新鮮な魚介類を駆使した駅弁に仕上がっているところがポイントです。 ちなみにこの駅弁、先日京王百貨店新宿店で催されていた「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」でゲットしました。昨年も同じ名前の駅弁で出店していましたが、その時はクロカワカジキの「ヅケ」と、グルクン、ゴーヤ、もずくの天ぷらの駅弁でした。今回は中身が違います。ちょっと調べてみますと、駅弁の中身がこれまでちょくちょく変わっているようです。それもまた一興じゃあないですか。沖縄的なおおらかさを感じます。
そしてもうひとつが、カジキマグロの「ヅケ」を使ったお寿司。あめ色の身が上品な和菓子を彷彿とさせます。こちらは一転して濃厚!しかし「濃すぎる」印象はありません。鹿児島などでよく使われる甘めのお醤油を使っているからでしょうか。ねっとりした身が口の中でじんわり旨味となって広がります。 これは一般的に言われる「大東寿司」の製法です。「大東」とは沖縄本島の東に位置する大東諸島のこと。なぜ大東諸島にこのような寿司が生まれたのか、そのルーツは1900年頃に遡ります。八丈島出身の商人、玉置半右衛門が開拓民とともに南大東島に上陸。そこでサトウキビを使った製糖産業を興し、島は発展の一途を辿りました。人が流れ込めば、文化も流れ込む。八丈島は東京、つまり「江戸前」の握り寿司文化です。さらに今ほど保存技術がない江戸時代の頃は、生魚の寿司より「ヅケ」や押し寿司など、日持ちさせる調理法がもてはやされていました。それら製法に、大東島で獲れるカジキやサワラがマッチして、大東寿司が誕生したというわけです。 思えば、サワラは「鰆」、つまり春に旬を迎える魚です。一方、カジキマグロの旬は冬。そしてグルクンは一年中獲れる魚。駅弁の中身が様変わりするのは、その季節の良いものを駅弁に使う、というコンセプトなのかもしれません。 さて次回は、沖縄都市モノレール「ゆいレール」と、戦前の沖縄を走っていた鉄道についてご紹介します!
北九州で生まれ、新幹線が運んだ辛子明太子 JR小倉駅・明太子辨當【後編】
新幹線は昭和39年の開業以来、「人」だけでなく、多くの「文化」を運んできました。福岡名産の「にわかせんべい」や「ひよ子饅頭」はお土産として重宝され、今や全国区となりました。辛子明太子もまた、新幹線の開通などと時を同じくして全国に広まった「北九州発」の名産です。 一般的に、スケトウダラの卵巣を塩漬けにしたものを「たらこ」、唐辛子などの調味料で漬け込んだものを「辛子明太子」と呼びます。では、北九州がスケトウダラの水揚げ地として有名かというと、答えはNO。北九州の地で加工法が編み出されたことが名産となった由来です。 スケトウダラを加工して食べる文化は、もともと韓国にありました。また、当初は野菜のみを漬け込んでいたキムチも改良がなされ、塩辛などの魚介類と野菜を同時に漬け込むようになりました。魚の卵巣ではなく内蔵を漬け込んだ「チャンジャ」も、韓国料理店のメニューとして昨今よくみかけますよね。
創意工夫により生まれた辛子明太子に、さらに工夫を加えて生まれたといえるのが明太子辨當です。ぜひ小倉へ訪れる際は、食べてみてください。今秋フィナーレを迎えるO系新幹線や、3月14日で運転終了となる熊本・長崎~京都間を走る寝台特急「なは・あかつき」の車両内で食べると、感激もひとしおのはず!
アツアツご飯じゃなくても美味い辛子明太子駅弁!明太子辨當 【前編】
もっとも、加熱式の駅弁でない限り、辛子明太子と相性の良い「アツアツご飯」との共演は実現しません。そこで必要となるのは創意工夫です。アツアツご飯でなくても美味しく明太子を楽しめる駅弁。その工夫がこの駅弁には満ちていました。 まず封を開けると目に飛び込んでくるのは、辛子明太子の天ぷら!関東在住の方にとっては、かなり物珍しいのでは?さっそく一口食べてみると、これがなかなかの味。衣はカリッとしているというより、小麦粉を多めに使用したモッチリ感が出ています。逆にその食感が、火を通した辛子明太子にマッチしているんです。辛味をやさしく包み込んでいる、とでもいいましょうか。 もちろん、この駅弁の真髄はそれだけではありません。錦糸玉子をチラリとめくってみると、おお!辛子明太子が見事にご飯に混ぜ合わせてあります。しかも明太子一粒一粒が「微粒子」のようになって、お米一粒一粒に絡まっている!そのため味の偏りがなく、全体的にふんわりとした美味しさが生まれています。これは幸せ!今までいろんな駅弁を食べてきましたが、ご飯だけ頬張ってここまで幸福感が味わえる駅弁は他にありませんでした!錦糸玉子のほのかな甘味が辛子明太子の味の濃さをうまく和らげている点も見逃せません。
アツアツご飯でなくても、明太子は美味しいお惣菜であることをまざまざと感じさせてくれた明太子辨當。ズバリ、これは「買い」です!そして次回は、博多や小倉を中心とした北九州でなぜ辛子明太子が生まれたのか、そのルーツに迫ります。
江戸の頃から「銀」に匹敵する輸出品! 潮さい三陸あわび弁当【後編】
三陸のあわびは小ぶりではありますが、その味が高く評価されているため高級品として扱われます。そもそもあわび自体が成長が遅いことも、あわび=高級品という図式を作るひとつの要因です。そのため乱獲は当然ご法度。地域によっては解禁日が数日間に限定されていたり、エリアが指定されていたり、1日の数量が限定されてるいところもあります。もちろん育ちきっていないあわびも獲れません。 そんなあわびは、古くから貴重な輸出資源でした。江戸時代、長崎の出島を利用した貿易では銀や銅が輸出されていましたが、次第に採掘量は減少。そこで着目されたのが、干しあわび、ふかひれ、干しなまこを俵詰めした「俵物三品」でした。輸出先は中国。中華料理で扱われる食材ですね。これら三品は今でも輸出されています。 もちろん、輸出だけでなく、国内でも尊ばれてきました。といってもかつては「神様の食べ物」。実際、伊勢神宮などでは今でも神前にあわびが供されます。干したあわびもあれば、紐状に裂いて乾燥させた「のしあわび」もあり、「熨斗(のし)袋」の「のし」は、この「伸し(のし)あわび」から派生した言葉といわれています。 のしあわびは「打ちあわび」ともいわれ、武士が出陣する際に縁起をかつぐ食材でもありました。他には勝ち栗と昆布。「打ちあわび」は「打つ」、勝ち栗は「勝つ」、そして昆布は「よろこぶ」です。
反対に、一ノ関駅から西への旅は、東北本線で北上駅まで出て、そこから北上線で横手駅まで向かうローカル列車の旅はいかがでしょう。途中下車して温泉を満喫するもよし、終点の横手では2月15日(金)、16日(土)にかけて有名な「横手のかまくら」が開催されるので、日時をあわせての旅もよさそうです。 新春はゆったりと、北国で大人の休日を満喫してみてはいかが?
あわびがまるごと!岩手名産駅弁 JR一ノ関駅・潮さい三陸あわび弁当【前編】
この駅弁は、JR東日本のキャンペーン「大人の休日」に伴って登場。JR東日本線・JR北海道線のきっぷが5%割引になる「大人の休日倶楽部ミドル」、30%割引になる「大人の休日倶楽部ジパング」など、旅を愛する大人の皆さんから好評を得ている「大人の休日」ですが、その一環ということで駅弁のお値段もちょっと高めの1300円。ただ、なんといっても「あわび」が味わえるわけですから、お値段にも納得です。 封を開けると、まず眼に飛び込んでくるのはやっぱりあわび!小ぶりとはいえ、殻つきの1個分が入っています。さっそく一切れ食べてみると、うーむ、実に柔らかい!そして煮込まれた味付けも◎。こりっとした食感を楽しんでいると、後から後から旨味が押し寄せてきて飲み込むのが惜しい、と思えるほど。ふんわりとした磯の香りが鼻腔をくすぐります!身もさることながら、一番端には緑がかった・・・肝かな?苦味のあってこってりとした風合い、おそらく肝ですね。あわびの肝は「としる」といって高級珍味として人気があります。得した気分です!
その他のおかずについては、にんじん、ごぼう、くり、こんにゃく、しいたけをあしらった煮物。ちょっと濃いめの北国風の煮込みで、あっさりとしたくるみご飯によく合います。そして食用菊をあしらった酢の物。菊もまたこの地方の名産だとか。食用の花にありがちな苦味、えご味はなく、目にも楽しくなかなか美味。そして焼き物は魚。このときはブリでしたが、正直ちょっと微妙。後味として魚の臭みが若干残る感じでした。そして季節のフルーツは、これも地元名産のりんご。焼き魚に絞りかけるためのレモンの輪切りがちょうどりんごの横に配置され、りんご自体の変色を避けるようになっているようです。細かい配慮ですね。 一ノ関市自体には海はありません。しかし海の幸の宝庫、三陸からほどなく近く、さらに山の幸も豊富。あわびが主役ではありますが、海と山の合作駅弁といえるでしょう。
相模湖や西沢渓谷など、旅路の味が満載! JR新宿駅ほか・新宿弁當【後編】
「公魚(わかさぎ)の天ぷら」。湖水に恵まれた中央線沿線ならではの一品です。青海苔をまぶした磯辺風の天ぷらにしてあるところが良いですね。香ばしさとわかさぎの身の旨味がうまく絡んでいます。中央線相模湖駅といえば、レジャーの宝庫、相模湖の玄関口。相模湖のわかさぎは、最大で20センチに迫るような「三年物」がときおり釣れることで有名です。寒い冬には、まるで湖面に浮かぶビニールハウスのような「ドーム船」も出現。寒さをしのぎつつ釣りを楽しめる、相模湖の冬の風物詩です。 「雷こんにゃく」。こんにゃくを炒って一味とうがらしを振った一品です。ほどよいピリ辛さが駅弁全体のおかずのアクセントになっています。でもこんにゃくといえば上州、群馬や栃木、茨城などが名産のはずでは?そこで調べてみましたところ、謎がとけてきました。 中央線塩山駅からアクセスしやすい行楽スポット、西沢渓谷。山梨、長野、埼玉の三県にまたがるようにして広がる渓谷は秩父多摩甲斐国立公園に指定されています。滝や沢などの名勝も多く、それらを巡るハイキングコースも整備されていて、四季を問わず多くの観光客が訪れます。この渓谷の入り口にあたる部分にあるのが、西沢渓谷蒟蒻館。こんにゃく農家、向山商店が栽培したこんにゃく芋を製品化し、販売しています。こんにゃくのアイスやソーセージ、ラーメンなど、物珍しさも手伝ってお店は人気の的。こんにゃく料理のフルコースなど、お食事もできます。渓谷を訪れる人々の胃袋をヘルシーに満たしてくれる、そんなお店です。あくまでも想像ですが、きっとこのお店の存在が、「新宿弁當」に雷こんにゃくを採用させたのだと思います。
「山桃の甲州煮」。これは口直しのデザート的な一品。これも煮貝の要領がアレンジされて生まれたものです。甲州煮とは、甲州名産のワインを使って煮込んだ料理のこと。現地ではホタテやハマグリ、鶏肉などの甲州煮もあります。山桃(やまもも)は梅雨に最盛期を迎える珍しいフルーツ。ちょっとライチの味に似ていますね。ワインで煮ることによって臭みがとれ、柔らかく豊潤になります。 さて、その他にも富士高原鶏を使った鶏そぼろや、蓮根、人参、がんも、絹さやといった素朴な田舎料理もおかずとして楽しめます。そして最後まで「なぜにこれが中央線?」と疑問が解けなかったのが、プチオムレツとコーンコロッケの存在(笑)。ま、美味しいからいいんですけどね。個人的には、高円寺駅や国立駅など、若者が住む街の「安くて良心的な定食屋」が頭に浮かびました。もしどなたか、これらと中央線のつながりがわかる方がいましたら、ご一報ください。 中央線沿線の味覚をイメージして作られた「新宿弁當」。甲州や信州への旅行の際に、ひとつ味わってみませんか?
馬肉や信州焼・・・これぞ「中央線幕の内」 JR新宿駅ほか・新宿弁當【前編】
「新宿」と銘打ってあるものの、八王子駅や甲府駅などでも販売しています。現在、東京駅から新宿、塩尻を経由して名古屋駅までを結ぶ中央線ですが、この駅弁が登場した2003年は、甲府駅まで延長された明治36年から数えてちょうど100周年。その記念として生まれました。よって、新宿の名物・名産ではなく中央線沿線の味覚をイメージして作られた駅弁です。 パッケージには「中央線限定」とあります。描かれているのは、山武羅誠祐が描いた鳥瞰図。明治時代に新宿から高尾方面を見た風景です。当時、鳥瞰図はいわば旅行パンフレットの役割を果たしていましたので、小金井桜や玉川などの名所を記した画は、駅弁の掛け紙として理に叶っていますね。趣きがあります。 封を開けるとおかずが満載。「中央線幕の内」といった印象です。ではさっそく、おかずひとつひとつを吟味していきましょう。 「とろさくら肉の旨煮」。これは武田信玄の騎馬隊など「馬」とのゆかりが深い甲州の一品です。馬肉独特の甘味の強さで満足度は抜群。「トロ」と銘打つだけあって、舌触りのよい脂肪の旨味が味わえます。にもかかわらずヘルシーなのが馬肉のいいところですね。
「芋の煮っころがし」。一見、全国どこでも見受けられる家庭料理ですが、中央線竜王駅のある甲斐市(旧・竜王町界隈)は200年以上の歴史を持つサトイモ(八幡芋)の名産地。野趣がありつつどこか上品な、もっちりとした食感が魅力です。この地方では「お月見」の際に、その秋の収穫物として芋の煮っころがしをお供えする風習があり、十五夜のことを「芋名月(いもめいげつ)」と呼んだりします。なにげない一品でも、それぞれ名産や「ゆかり」があるものですね。 さて、まだまだおかずはたくさんあります!腹も三分目といったところでしょうか。続きは次回お送りいたします。
峠の釜めしの「峠」たるゆえんとは?JR横川駅・峠の釜めし【後編】
その際、軽井沢の前に立ちはだかっている碓氷峠を越える必要があります。そして峠に差し掛かる手前の駅が横川駅。海抜387メートルの横川駅に対して、お隣りの軽井沢駅の海抜は939メートル。どれだけ急勾配だったかがわかりますよね。そのため横川駅では、列車を押し上げる補助機関車の連結が行なわれていました。下り列車も機関車のブレーキを利用して下ってくるため、連結の取り外しも行なわれます。その「待ち時間」に乗客は何をしていたか?そうです、皆こぞって横川駅の駅弁「峠の釜めし」を購入したのです。 これからリゾート地に赴くわけですから、否応なしにワクワクしています。峠をゆっくりと登る電車に揺られ、車窓の風景をみながら味わう釜めし。美味しくないわけがありませんよね。まさに「峠」の味です。
軽井沢まで着かず、終着駅となった横川駅。代わりにバスが運行しているものの、往年のピーク時に比べるとどうしても客足は減ります。そのため、おぎのやさんは釜めしの販路を拡大。現在では諏訪インターや横川サービスエリア、ドライブイン横川店などで販売され、クルマで訪れる人々にも愛されています。 一方、横川駅や一時代を築いた電気機関車たちはどうなったのか?廃線や横川運転区の跡地を利用して、現在では碓氷峠の鉄道の歴史をまとめたテーマパーク「碓氷峠鉄道文化むら」がオープンしています。歴史資料を集めた鉄道資料館や、Nゲージなどの模型で再現された碓氷峠のジオラマ、そして当時使われていた車両庫を活用した実車展示、EF63形電気機関車や189系特急あさま号のシミュレーターなどが楽しめます。そしてなんといっても目玉は、実際に碓氷峠専用EF63形電気機関車の運転体験ができること!!1日かけて講習を受けて、修了試験に合格すれば、晴れてホンモノを運転できるんです。詳しくは同施設の公式ホームページをご覧ください。 現在は百貨店の駅弁大会などで「峠の釜めし」を食べられる機会は増えていますが、やっぱり現地・横川で堪能したい、そんな気持ちになりました!
峠の釜めしは「サイボーグ009」だった!? JR横川駅・峠の釜めし【前編】
フタを取ると具材がぎっしり。思わず顔がほころびます。まず最初に味わいたいのは鶏肉。鶏肉自体は駅弁の具としてまったく珍しくありません。でも、峠の釜めしの鶏肉は美味!ほのかに甘味があって、仕込みの良さと素材の良さを感じます。
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